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「自殺」とか「死」という言葉は書かれていない。
でも、橋の上から飛び込んでみたらどうなるかを、ずっと考えながら川を見つめる少年。
どれだけの時間、そこにいたのか?
とても心配。
おじさんが話しかけてくれて、
本当に良かった。
そして、すごい魔法を教えてくれる。
素敵な魔法だと思った。
技?
湖が見える魔法みたいな技。
ただの湖ではない、暗い地底の水路を通って少年のところにやってくる湖。
無罪なのに本を盗んだと疑われたことや、
上着をゴミ箱に捨てられたことや、
辛いことがあり、
川に飛び込みたいと、考えた少年。
話しかけてくれたおじさんは神だったのかもしれないと思った。
少年は成長して、その意味を知る。
酒井駒子さんの絵が、とても素敵。
ラストのカラーで描かれた湖の場面は、
光がさすようにパッと明るくなり、
救われた気持ちになった。
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文・湯本香樹実、絵・酒井駒子。豪華なコンビから贈られた心穏やかになれる絵本の第2弾。
前回の『くまとやまねこ』とは少し違った作風。
けれど共通するテーマはやはり生と死。
そして前回同様、グレートーンで統一された絵の中で最後に差し込む色彩(今回は緑と青)に救われる。
少年が抱える現実の深い闇。
この年頃の悩みに自分の過去を照らし合わせて、胸塞がれ気分も落ちこむ。
橋の上で寂しそうに一人佇む少年を、そっと抱きしめたくなる。
耳をぎゅうっとふさいで目を閉じて、地底の水の音を確かめる。
水路を伝いやがて辿り着くのは大きな”みずうみ”。
湖面のきらめきに穏やかな波紋。
そして水辺に集まるたくさんの人・人・人…。
自分を見て微笑む人だって、きっとそこにはいる。
自分は一人じゃないことに気づいてほっとする。
なかなか眠れない寂しくて長い夜も、心穏やかにして自分だけの”みずうみ”を見つめると、きっと深い眠りへと誘われる。
夜が明けるまでの時間に、頭と心を休ませれば、きっと本来の自分も取り戻せる。
大人になってから長い年月を経た私も、この少年のように耳をぎゅうっとふさいで目を閉じて、心を落ち着かせて自分だけの”みずうみ”を見つめてみようと思った。
寂しくて長い夜も、きっと怖くなくなるはずだから。
湯本さんの優しい文章と酒井さんのやわらかな筆のタッチが心に沁みる。今回の絵本にもくたくたに疲れた心をほぐされた。
またこのコンビの絵本第3弾にいつか出逢いたい。
それにしても、雪柄のセーターのおじさんは天使だろうか。
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湯本香樹実さん(文)と酒井駒子さん(絵)のコンビ。知る人ぞ知る あの「くまとやまねこ」のコンビです。「橋の上で」、2022.9発行。生と死を扱った絵本でしょうか。結構難しい内容でした。
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学校帰りにひとりで川の水を見ていたぼく。考えていたのは飛び込んだらどうなるかということ。そこにあらわれた雪柄のセーターを着た知らないおじさん。おじさんはぼくにふしぎなことを教えてくれる。誰かの言葉で死を考えることもあれば救われることもある。思いつめないでほしい。自分の心を守ってほしい。子どもたちがギリギリになった時におじさんのような人がいてくれますように。
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「くまとやまねこ」がとても好きで、楽しみに待っていた本作。悲しみも併せ持つ、大人のための絵本。酒井駒子さんの描く子どもが本当にかわいい。
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二回読み返した。自身の中の閉塞感の出口がどこかにあるかもと一時的にでも思わせてくれた読書感。絵がとても素敵で説得力がある。ラストの湖の辺りの絵に、味方はいるのだとあらためて思わせてくれて救われる思いだ。
勇気づけてくれた絵本。
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文も絵もすばらしい。
でも、本当に苦しい状況にあるときにこの本を読んで、思いとどまれるだろうか。
だからこそ、そのような状況になる前にこの本に出会ってほしいと思います。
高学年以上。
家に置いておいて、何度となく開いて読んでみることができるといいかな。
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図書館本。湯本香樹実さん文、酒井駒子さん絵の贅沢な絵本。自殺願望を持ってしまった少年の葛藤を描く、行間を読んでいく絵本。
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橋の上で出会ったおじさん、少年はこのおじさんに生きることを教えられた。
モノトーンで描かれた絵が優しく、それでいて少年の心象を表している。だからこそ最後のカラーのページがより鮮やかで、生き生きしてくる。
何度も読み返したくなる絵本。
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グレートーンの絵がすばらしい。
酒井駒子さんの本だと知ってページをめくっているのに
いわさきちひろかと思っちゃったりした。
こうやって、耳をぎゅうっとふさいでごらん。
遠くからやってくる水の音が、きこえるよ。
子どものころ、耳を両手でギューッと押さえつけると
ドクンドクンと音がするのに気づいた。
なぜか祖母の家の近くにあったプレス工場みたいなところの音に思えた。
静かな暗い和室でお昼寝しているときに聞こえる音。
そんなことを思い出した。
もう祖母はいないし、その和室もないけど。
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扉絵の少年の、ふてくされたような、何かをあきらめたような表情が、丁寧な書き方ではないものの、だからこそ、とても印象に残る。
要するに、そうした気持ちを抱えた少年の、人生を続けるのか、否かといった、分かれ道に、早くも来たわけである。決して、本人がそう望んだわけではないのに。
そんな思いで橋を眺めていた少年の胸の内を、おそらく察したのであろう、雪柄のセーターのおじさんは、こう語りかける。
みずうみを見たことある?
ただのみずうみじゃない。
その水は暗い地底の水路をとおって、
きみのもとへとやってくる。
最初、私はよく意味が分からず、何やら崇高な事を言っているのかなと思い、何度も繰り返し読み直して、自分なりに考えてみたところ・・・
昔、人の視線や声が極端に怖かった私は、外出時に必ず、イヤホンをかけて、好きな音楽を聴いていたことがあり、この意味するところは、本書での、おじさんのアドバイスと一見似ているようでいて、全く異なる。
私の場合、音楽に無理矢理、意識を集中していただけだが、ここでは、外界の音を遮断することで、自分自身の内界だけに意識を集中することができ、その内奥にある水音を探し出すことで、これまでの無意識下にあった、自分自身の歩みという水の流れ(大切な思い出たち)に気付くことを促してくれるのではないかと、感じられた。
また、その気付きは、自分自身がどんな状況であろうと全く影響なく、楽しいときでも、辛いときでも、泣きたいときでも、変わらず促してくれる、素晴らしいものであることを実感させられて、それが、誰の内にも必ず存在する、『たったひとつの、きみだけのみずうみ』なのではないかと思ったとき、人間の内界の、その深い果てのなさは、誰かに貶されるような軽い物ではないと思うとともに、人間ひとりの生き様の偉大さを表しているようで、それを、酒井駒子さんの神々しくも繊細でやさしい絵柄が、また見事に、湯本さんの物語を彩っており、劇的ではないのかもしれないが、ジワジワと緩やかな感動をもたらしてくれて、ここまで来ると、絵本というよりは、文学作品だと思いました。
2022年、最後の感想になりました。
私の感想を読んで下さった方々、新しい世界を教えてくれた方々、ありがとうございます。
皆さま、よいお年を(^^)/
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独特な絵と文章
少し暗さとさみしさを感じる
湯本香樹実さんは、こんな絵本も書いているんだな。
評価は分かれると思うが、子供向けの楽しい、面白い絵本ばかりでなく、こういう絵本も好きだ
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小学生にも,幼稚園児にも読めるかなぁと思って入手してみたけど,これは結構難しいかも.
でも,それぞれの解釈で何度も何度も読んでみて欲しい作品.
結論めいたことを押し付けてくることなく,ただ一つ「生きる事へのまっすぐな肯定」だけがコアメッセージとなっている.
このジワッと感じる世界観を,感じられる感受性を,是非身につけて欲しい.
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7歳8ヶ月の娘に読み聞かせ
大好きな酒井さんのイラスト
内容はなかなか難しく
娘にはピンとこなかったみたいだけど
キレイな絵を見るだけで
優しい世界が広がる
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自死がテーマの1つとなっている絵本です。同じく自死について書かれた谷川俊太郎さんの「ぼく」ほどストレートではなく、これから訪れるだろう、あたたかい出会いをイメージできる本です。
なかなか難易度は高く、子どもに伝えたいメッセージではありますが、深く行間まで読み取れるのは、早い子でも中学生からかなぁ。最寄りの図書館ではYAになっていました。