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初めての作家さん
普段頭の中でぼんやり考えていることが、ことごとく言語化されたような気持ちになった
人間は食物連鎖に入っていないから高みの見物だと思っていたところは
黒岩さんと熊の話で矛盾として書かれており、熊に襲われることで矛盾が消えると書かれていてストンと心に落ちた。
海で死ぬことも矛盾が消えると思っている、自然に還る=他の生物に食物として扱われると思っているのをズバリ言語化していただき感謝ですという気持ち
他にも苦痛のない絶滅方法を見つけるはすごい言葉だなと、読んでよかった
流行りのスマホゲームはハマりすぎて身を滅ぼす未来しか見えないので手を出さないようにしている
この本を読んで隊長とハルオ、ハチワレ、未央のパーティーみたいなこともあるのかと羨ましくなってしまった
前野氏の伏線回収が見事で、あそこで助けて欲しいと言われた前野氏は救われたのではないかと思った
しかし、ポメラニアンを想定していた犬小屋にハスキーの琴ちゃんはおさまるのかしらと笑ってしまった
最後まで読んで、もっと読んでいたいなと思った稀に出会える最高の小説でした
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読み終わった後につまりどういう話だったの...の感情が止まらなくなっちゃった...
でも別に文章が読みづらいとか途中で飽きたりとかもなくてそれはすごいなと思った
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行間を読み切れないように感じる物語だった。300ページ少々でそれほど長くもなく、読み出すと惹き込まれてどんどん進みたくなるのに、読み終えるのに結構かかった。
一方的な「かわいい」や矛盾をはらむ「かわいい」。現実世界とソーシャル世界の関係性や各々が感じる密度。社会が問題視する事柄と個人の感情の隔たり。思いやりと下心。知ることで理解して出来上がっていく人物像がその人の全てではないし変化することも有り得るのに、いざ目の当たりにすると受け入れられなくなることもある。味方でいることはとてつもない覚悟が必要だと感じるし、1歩踏み出す勇気さえあればなんとでもなるようにも感じる。
総合出版社勤務の橘は人権に関わる社会問題を扱う小冊子の編集者であり、スマホゲーム「リンドグランド」の迎撃団員。児童福祉専門家の黒岩の担当者であり、黒岩から届いたメールによってある女児との関係性を知る。
この物語は、自分の中での感じ方を変えながら常に心の中にあり続けるように思う。変わったときにまた読んでみよう。
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今や世界共通語になった「KAWAII」。ハローキティに代表されるように日本の「かわいい」はポップでキッチュで無毒なキーワードのようについつい思ってしまっていますが、この本の中では「かわいい」という感情の凶暴さが吹き荒れています。物語の舞台はふたつ。漫画、週刊誌、ライフスタイル、文学、さまざまなジャンルを包含する総合出版社、その中で人権に関わる社会問題を取り扱う「立像スコープ」という小冊子の編集というリアル、もうひとつはパーティを組んで戦う「リンドグランド」というスマホゲームの中のバーチャル、いやリアル、バーチャルという区分けでは語れないパラレルワールド。ビジネスメールのやりとり、ゲームの中のチャットトーク、そして電話の声、対面での会話…いま当たり前のコミュニケーションがテンポ良く紙面を埋めながら「立象スコープ」の執筆者のペドフィリアの問題と、ゲームの中でチームを組む隊長の実生活での家庭の問題が,次第に重なり合ってきます。どちらも嗜好としての「かわいい」ではなくて生死を掛けた「かわいい」という感情の噴出なのです。主人公のゲームの中での役割がヒーラーという役割がリアルでもそうなってしまっているっていう設定が現代的な気がして、「受け身の中のプロアクティブ」ってもしかしたらもっとも必要とされている能力なのではないか?と思いました。最終章に向かって、加速度的にすべての問題を抱えていく主人公の行動は、ちょっと感動的でした。いまはやりの「推し」という言葉では捉えきれない「かわいい」という気持ちの派生の禍々しさとそれに向き合う力の物語として読み終わりました。いろいろ頭の中、ぐるぐるしています。1ページ開いた時の期待を大きく上回った本でした。
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著者の作品を読むのは初めてだが石井千湖さんの推薦(ポリタス)に推されて読んでみる。
児童虐待や小児性愛が大きなテーマだし、誰のために何をどうすれば良かったのか、どんな選択肢があったのか、読む人の経験や立場に依って、まったく違う読み方がされるだろう本書。すごく凹むし、キツいな…と思う場面もあるけれどそれだけじゃなくて愛もかわいいも信頼もある。それを頼ってなんとか生きていけそうな気もする。安全第一。これまでまったく知らなかったオンラインゲームの楽しさ(と紙一重の怖さ)を垣間見ることができたのも収穫。
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オンラインゲームの話いいよねーと思って読んでいたらそれだけではなく、いろんなテーマが詰め込まれていた。知らず知らずの内に物語にひきこまれる。
オンラインゲームとは不思議なもので、リアルではないが、一緒にパーティーを組んでいる仲間は確かに現実に存在している。
ゲーム上でのキャラクターを誰が操作しているのか知ることは禁忌に触れるような気が私はするのだが、この小説では主人公がプレイヤーの正体を知ってしまう。
そこからがまた面白く、想像していた姿とかけ離れた姿を見てなお、その人のことをより好きになる感情が不思議であり、好ましく思えた。
誰かを救いたいと思っても、それが歳の離れた異性や幼い子だからまずいことになるというのは、理屈では分かる。しかし、皆が理屈を大事にして動かなければ、自由に生活できない子はずっとそのままだろう。理屈抜きで突き進むことのできる人は、あまり存在しない。
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身の回りにあるだろう個人的、社会的問題が本人視点、関係者視点から書き出されています。それを織り込んだパズルピースのようバラバラな並列世界がスピードを増しながら収束していく巧みな展開が素晴らしいです。一気読みしてしまいました。文章が美しくてスルスルと頭に入ってきます。面白かったです。
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なかなか混沌としていて要約が難しい小説。児童虐待、小児性愛、LGBT、ソシャゲ中毒、ポリコレなど、いろんな要素が詰め込まれている。
「かわいい」の暴力性や切実性について思い至らされた。また、オンラインとリアルということについても考えさせられた。
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帯で書かれている単語については大小の程度はあるにしろ、起きてしまった事象とそれに対する判断を随所随所で問いかけてくる骨太な物語。
あとこれだけ詰め込んでいるのにとっ散らかってないのはすごい。
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総合出版社・立象社に勤務し社会派オピニオン小冊子を編集担当する橘泰介は、スマホゲームで対戦するのを趣味としている。
突然、担当著者である黒岩文子が、女児を触ったとの情報が出回り、時を同じくして本人から長文メールが届く。
彼女の行方を探すのと並行してオンラインのゲームの中でも問題が起こる。
自分は、ゲームはした事がなくその世界はわからないのだが、それでも対戦で熱くなり、激しくなる思いやその中での駆け引きやお互いのやりとりで個性が出ている様子がよくわかる。
「推し」や「愛でる」こと。
「ソシャゲ中毒」「ネット炎上」の世界。
「児童虐待」や「小児性愛」に社内派閥抗争までもが取り上げられている。
会社内での橘の立場や同期との様子に黒岩とのやりとり。
どこまでもしんどい。
最後には、どうなるのか先が見えない。
ずっと苦しいままなのだが、これが現代に普通に起きていることであり、驚くべきことでもないのか…と。
いや、この混沌としたさまが、異常では…とも。
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シンポジウム「戦争・コロナの先 文学で世界をよむ」
鴻巣友季子氏のおすすめ本
2022/10/28日経新聞
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小児性愛、児童虐待、ソシャゲ中毒、炎上、ルッキズムなど、およそ現代社会に蔓延る問題をこれでもかというほど詰め込んだ物語は、単なる社会派小説ではなく、それらを切り口に人間が生きるということの根本を問いかけてくる。
社会派雑誌からゴシップ週刊誌まで、あらゆる分野の出版物を提供する大手出版社という存在の自己矛盾を鋭く突きながら、会社の良心ともいうべき立場の編集者橘泰介に希望を託す。
小児性愛疑惑を持たれた児童福祉専門家、母親に束縛、軟禁され、ゲームだけが唯一他人と関わる手段の少年、橘のまっすぐな思いが彼らを励まし続ける姿に胸を熱くして、
世界が国を挙げて繰り広げているSDGsという胡散臭い活動に対しても、作中では至極当たり前な発言が投げかけられ、それには個人的にもう納得しかないし、
とにかく、何を書いてもとっちらかってしまうほどいろいろなものが詰まった、帯の言葉を借りるなら「カオス」そのもの。でも、読み切った後は不思議に清々しくて、ゲームのことよく分からないけど頑張って最後まで読み切って良かった。
世の中をわかったような小賢しい批評家になるな!
野に出よ!実践者(フィールダー)たれ!と背中を叩かれたような気持ちです。
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福祉とか社会問題とかとどう関わっていくか。
堅苦しいテーマではあるけれど、オンラインゲームが重要な役割を果たしていて興味がひきつけられる。躍動感があって面白かった。
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久しぶりに読んでみたいと思った本で
あれ?なんか思ってたのと違う、全然頭に入ってこない
と思った本
私には、合わなかったのかな
ゲームの世界の話にはちゃんとついてはいけたけど
結局、かわいい…とは?みたいになってしまった
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現場を研究するフィールドワーカーじゃなくて、現場で当事者となるのが「フィールダー」ということのようです、タイトルは。「推し」を「愛でる」行為に関する小説と言うことですが、オンラインゲーム(メタバース?)の世界の描写が冒頭から始まって、おじさんが読むにはちょっとつらいと言うかついて行けなくてしんどかった。