紙の本
こんな話が本当にあったなら
2023/07/22 14:59
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投稿者:ろろろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「三つ編み」が素晴らしかったのでこちらも期待して読みました。貧困の中にある女性は、男性よりさらに厳しい現実の中を生きなければならないこと、なんともやりきれません。しかしそこに手を差し伸べようとするフランス人女性の勇気が読み進める光になって、ストーリーの着地点は透けて見えてるんだけど、がんばれー、ってなりました。
小説として話はちょっと単純かな、とは感じましたが、読みやすく、気持ちの良い読後感でした
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インドという国の知らなかった一面に触れ
そんなバカな…と何度も思い何度も愕然とした
決して西洋的な文化や進んだ教育が絶体的であるとは言わないが、やはり負の風習が続く事のマイナス面は
キチンと見ていかないと、その被害者になるのは
もしかしたら自分にとても近しい人だったのかもしれないと想像すると泣けてくる
人種も性別も年令も関係なくたくさんの人に
読まれて欲しいと心から思えた作品
※今回ゲラを読ませてもらう機会をいただけた事には
ただただ感謝しかありません。
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早川書房のモニターに応募して、ゲラを読了しました。
あっという間に読了。
表現は客観的で、ノンフィクションの記録を読むかのように淡々としているけど、インドが抱える問題は酷く厳しい。淡々としていなければ読めないほどの厳しさなのだろう。
主人公が作る教室は、火事をバケツの水で消そうとするものかもしれない。でも、少しずつ広がっていってほしいと願わずにはいられない。
本作は『三つ編み』とも関連があるそうで、是非とも読んでみたくなった。
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読者モニターに当選し、一足お先に読ませていただく幸運に恵まれた。『彼女たちの部屋』がよかったので、こちらも期待。
主人公レナにはかつて何かとても辛いことがあったようなんだけどそれはなんだろうという興味に導かれ、また初めての地での少女たちや人々との出会いでレナの世界がぐんぐん広がっていくのに連動してページを捲らされていく。
悲惨な問題は山のようにあり解決の道は険しいけれど、自分の培ってきた力で、出来ることから糸口を掴もうと行動していくレナの、まっすぐで果敢な姿は魅力的だった。
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フランス人教師のレナは、ある出来事が原因で教師を辞め、気分転換のためインドを訪れていた。そこで彼女を襲った悲劇から救ってくれた少女と、レッド・ブリゲイドと名乗る集団を率いるリーダーと知り合う。2人はインドにおけるカースト最下位の〈不可触民〉だった……。
『三つ編み』のあの子も登場し、不可触民の女性として生まれた悲劇が描かれる。どんな環境にあっても明るく元気で学習意欲が旺盛な子供たちの姿がいじらしい。
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伝統を守る
それはとても大切なことだけど、時に足枷になる
外から見て悪習だと思ってもそこで生きている人たちには大切なこと
何万歩も下がってそう考えたとしても、納得がいかない
カーストと貧困を甘んじて受け入れる、そのループを生むのが村の伝統を従順に守る家庭だなんて!
呪縛は果てしなく、子供にも自分と同じことをさせるのが当然なのだと信じて疑わないのだから、何も変わらない
だって、それが呪縛だと知らないのだもの
間違っていると思わず、声を上げる術も歯向かうこともしない受け入れるだけの人生
いま私と同じ時間が流れている別の場所で実際にあるということ
レナの奮闘は砂漠の中の一滴の雫に過ぎないかもしれないけれど、いつか水滴がたまる日が来ること、あの子の声が聞こえる日が来ることを祈ることしかできない
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『三つ編み』とかすかにつながるコロンバニの新作。
喪失と再生の物語…などという美辞麗句に落とし込んではならない、広く知られるべきインドの児童労働と児童婚、それに未来を奪われる子どもたちの現状をつきつけてくる。
かと言って強く「べき論」を問うのではなく、風景や食べ物、優しい瞬間を淡々と重ねていくのがこの人の持ち味だなあ。
悲劇にあいインドの田舎町に逃げてきたフランスの女性教師が、最下層の少女との出会いから学校を立ち上げ、絆に結ばれてゆく物語。
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生きている限り知ることのたくさんのうちのひとつにどこかで差別があり、今苦しんでいる人がいること。
自分に何ができようか…。
ただ、どうにかできないものなのかと思っているだけで、動けない自分にもどかしさを感じた。
この物語は、フランス人で教師をしていたレナが、不慮の事故で絶望感の中、旅をしようとインドに来る。
生きる意義もなく、鬱々としているときに海にさらわれて少女に助けられる。
その少女と出会ったことで、満足に学校へも行けず、読み書きすらできずにいることを知り、学校を作る。
その過程もかなり大変ではあるが、それからも苦難はある。
学校へ行き始めたとしても初潮で少女たちの人生は一変する。
十歳や十二歳で、娘を嫁がせて食い扶持を減らそうとするのが、貧しい家庭では普通にある。
夫の家族と同居し、その所有物となり、姑の権威のもとに服従し、日の出から日没まで家事をこなす生活となる。
女であるから、家事労働は当たり前で、「教育はいらない」のである。
これに抵抗できることなく、根強く続いている社会通念にレナたちは、立ち向かう。
学校は、学べるところであり、安心できるところである。
それは、どこの国でもそうであってほしいと思う。
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教師を辞め大好きだった同僚でもある彼が行きたがっていたインドへ行く
インドで溺れかけ助けてくれた少女にお礼がしたいと思い少女のもとへ行くが
少女は学校へ行ってなく、文字が書けない
さらに家の店の手伝いを朝から晩までさせられてる
女だからという理由で学校に行けない女子たちのために学校を作る
なぜ、彼のことが大好きだったと過去形なのが最初分からなかったが後半にその理由が出てきてショックだった
生徒に銃で殺された…
狙って殺されたというよりは、巻き込まれる形
インドでの、子どもの結婚など問題となってることが書かれてる
三つ編みの本が読んでみたくなった
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「三つ編み」が良かったので、レティシアさんの本を読んでみたいと思った。
インドは世界最大の児童労働市場。
他にも、不可触民のような階級の問題、女性差別、児童労働、児童婚など、問題が多数あるように感じる。
フランス人は、衝撃を受けると思う。
レナを応援したい。
あとがきも良い。
SDGsのコーナーに置きたい本。
(たくさん含まれている)
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『三つ編み』に出てくる少女が重要なカギとなる小説。
主人公のレナはある理由でインドへ1ヵ月ほど滞在することになるが、その少女に助けられ、恩返しとして英語を教えることになる。そこから文化や言語の壁を乗り越えて仲間も集めて学校を立てることになるが、様々な試練が待ち受ける。
三つ編みと同様女性に対する差別や格差について言及する描写が多く、インドでの状況を細かく知ることができる。主人公が女性を守る集団リーダーであるプリーティに会うことになるが、本当に存在するのであればインドも少し変わってきているのだなと思った。インドならではの風習で女性が若くして結婚させられたり、女性の教育は必要ないといった固定概念が強くあることがよくわかった。
少し話の展開が遅かったが、とても読みやすい文章と描写が特徴だと感じる。
違う文化の環境の中で、周りの人の固定概念を変えることの難しさや自分の決断によって巻き起こる事件に永遠に繰り返されてしまう負の連鎖にうんざりしてしまうことが多いのでないかと感じた。NGOやボランティアで全ての貧困や教育の問題が解決できないもどかしさがあるのでメンタルやモチベーションを維持するのはとても難しいと感じた。
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フランスから来た元教師と、被差別階級の女性、少女、3人の交流から南インドの村に、学校ができる。
エゴや自己満足ではないか、これが正しいのか常に選択を省みるレナ。異なる文化、立場へと関わる覚悟と、連帯の心強さがあたたかく描かれていた。
前2作と同じく、社会問題から目を背けないのに、読み心地が軽やかに感じる文体…シナリオ寄りでセリフが少ないのに情景が浮かぶ。
『三つ編み』読んでから、こちらも読んで本当に良かった。
フェミニズム文学は、結末を明るく描いても課題が山積している現実を考えてしまうけど、目の前の問題に向き合い、乗り越えようとする登場人物を見ることで、物語と連帯できた気持ちになった。
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CL 2023.3.8-2023.3.9
インドの眼を背けたくなるような現実。
厳然と残る階級制度、女性蔑視、人権蹂躙。
国内がこれほど前近代的でも、政治や経済の世界では力を持つという矛盾に満ちた世界情勢。
まあ、日本でももちろん大きな力に潰されるような理不尽なことはいくらでもあるのだけど、それでも教育が絶対的に必要だと考えている人が多いのは救いになる。
「知識は力。教育は自由への鍵。」
ほんとうは過酷すぎる話なんだけど、客観的な描写でとても読みやすくなっていると感じた。
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一貫して女性の権利問題をテーマにした作風のレティシア・コロンバニ。『三つ編み』『彼女たちの部屋』そしてこの作品と続く。三つ編に登場したインドの最下層の女性。その女性の娘が主人公と関わることから物語は始まる。
「女に勉強はいらない」はらわたが煮えくりかえる!
それは日本の医学部入試の女性差別とも地続きでもある。
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『何があろうと、人生は続く。』
主人公でフランス人のレナ、レナを救い教育機会を得ることができたラリータ、現地で闘うプリーティ。
女性達の奮闘、そして残酷な現実の中でも希望を求め信じて進み続ける姿はただ感動だけではない力強いメッセージが込められている。
男性として生まれて、日本で生きている自分自身はこれを遠い国の物語として傍観していてはいけない。
人間社会で起きていることは身近にも起きている。ということを改めて感じた。
読後、一言では語り尽くせない感情が心を埋め尽くす。国、性別、親、環境…この社会におけるあらゆることを私たちは自分自身で選択することできずに生まれてくる。ある意味それは選択ができないがゆえ本当の意味で平等なのかもしれないが…生を受けた後のこの世では平等に生きていくことができない。
本小説ではインドが舞台となっており、性差別、階級差別、貧困、児童労働など多種多様な問題が複雑に絡み合いそこからさらに問題が派生している。
国全体でということだけでなく、村単位の文化によるものもありもはや簡単にその実態を掴むことはできない。
また主人公のレナが元教師ということもあり、やはり「教育」が本作品のメインであり、キーである。
『女の子を無知なままにしておくのは、願望や意見を封じ、服従させるいちばんの確実な方法だ。教育の機会を奪うことで、彼女たちを脱出不能な牢へ閉じ込める。社会に出て活躍する望みを奪いとる。知識は力だ。教育は自由への鍵なのだ。』
この言葉はまさに多くの女性の置かれた状況を物語っている。
著者の作品は一貫して『逆境にあきらめず抵抗する女性たち、その連帯、絶望からの再起』を描いている。他の作品も是非読みたい。