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遺伝も環境もガチャ
2022/09/11 22:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:魚大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
想定問答集の形で遺伝について誤解されていることや疑問に思われていることを書き綴った書。
「日本人の9割が知らない遺伝の真実」の著者だとは知らずに購入したけれど、今回の内容もとても面白かった。専門用語など多少難しい言葉が出てきて全てを理解するにはもう少し時間がかかりそうだけど、行動遺伝学について興味がある人はオススメ。
人は遺伝と環境半々で構成されているが、どんなに環境を平等にしたところで遺伝素質の格差は出てくる。学力や知能も環境より遺伝の影響が大きい真実は、環境のせいにできない分劣等感を感じてしまいそう。
環境を変えても遺伝的素質の影響は大きく、その環境も遺伝次第。そう簡単には自分を変えられない事実は、落胆というか、飽きらめというか、納得することができた。全ては偶然、運で、起こった出来事に対して自分の遺伝とどう相互作用するのかによって人生がきまる。
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「音楽がやりたいと思った時点でそれは才能の発芽」等興味深い言葉も多かったです。
また年収に関しては若い内は遺伝の影響を多く受けるが、歳を重ねるにつれ非共有環境の影響が強くなってくるとも。これはよく感じます。
体型(痩せやすさ)に関しても遺伝の影響があるそうで、こちらはあまり他人をどうこう言うのはよくないですね。
とても面白かったです。
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タイトル通り、人は生まれたときに決まっている物(遺伝)が大きいという衝撃的な話。
よく親ガチャと言われるが、親ガチャの定義もその人の環境によって3種類に分けられる。ただ、一般的に言われている親の遺伝を受けるから、人生負け組的な発想はナンセンスであるということも理解できた。
統計的な話も多く、とにかく調べながら読み切った。
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行動遺伝学。面白い。
■脳は予測器
才能のある人は今よりも良い状態、完成形を予測し、そこに引っ張られるように学習してしまう
■知的好奇心の広さと知能に相関がある
パーソナリティの経験への開放性、つまり知的好奇心の広さに、知能との相関がある
■学校の影響は限定的
遺伝50%、家庭環境30%、学校は20%かそれ以下。
家庭環境も、その社会において一般的に行われているであろう子育てがあった上では子どもの発達への影響は大きくない。
*「学校」の部分は、自分の意志や教育、政策でコントロールできる部分
■没頭の対象に対する2つの基準
1.対象が学習性のある素材であるか
2.対象が「本物」につながっているかどうか。
『もしあなたの遺伝的素質がそこにあるなら、あなたの脳はその感動を知っているはずです。あなたがその世界の本物として、その文化をさらに高めることに貢献するかもしれません(P197)』
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面白かった
行動遺伝学から遺伝と環境が人に与える影響を知った上で、これからの人生をどう考えて生きていくか考える一つのきっかけになった
行動遺伝学的に「結局これってどうなのよ?」って疑問をエビデンスと安藤教授の知見をもって答えてくれて、読み物として読みやすくておもしろかった
もっと自分の内的感覚の声に耳を傾けよう
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行動遺伝学の視点から遺伝と環境の影響について述べられた本書。
安藤先生のお名前は橘玲さんの【言ってはいけない】で拝見して、もっと行動遺伝学について知りたい、原著にあたりたいと思っていたので読めて良かった。
とても学びの多い一冊だった。
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じっくり読み込む時間がなくて斜め読み。改めて読みたい。
親が才能溢れる音楽家や野球選手であっても、その子供は親以下の才能であることが多いこと、「鳶が鷹を生む」というように、子供が親の才能を超えてくるというのは自然な現象なんだと納得。
子供の知能や学力に効果がありそうな要因2つ。①静かで落ち着いた雰囲気の中で、きちんとした生活をさせる。②本の読み聞かせをする。
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もし子供を産むなら”いい遺伝子”が欲しいと思うのは至極当然であるということが分かった。
あとは環境。誰もが富豪になれるわけじゃないけど、子供ができたら子供がやりたいと思った事をやらせてあげられる余裕は絶対にもちたい。
・好きこそものの上手なれ
・自分の中にあるこれが好きこれは得意これならできそうそういったポジティブな内的な感覚は、自分の能力に関する重要な手がかり
・何かを好むということ自体がすでにその人らしさの表れであり、能力の萌芽
・自分にしか感じられない、心の奥から小声でしか囁いてくれない「素質」の芽生えを大切にする
・好きなことをやっていくうちに、その分野についてどんどん得意になっていくと言う事は、生物学的に見ても自然なプロセスだと思われる
・環境側の圧力が低下すればするほど、遺伝的な能力の差がストレートに出てくるようになる
・自分の好きや得意に関して、普段から自覚的になっておくこと
・才能のある人の3条件: 特定の領域に対してフィットしていること、学習曲線が急上昇のカーブを描くこと、学習ができる十分な環境が与えられていること
・可愛い子には旅をさせよの現代的な意味はリアルな自己発見
・居場所を変えてみることで、今まで見つけられなかった自分の遺伝的素質に出会えるかもしれない(青い鳥効果)
・やりたいことがない人は偶然を信じて動いてみるしかない
・やりたいことがあるのなら、いきなりグローバルトップと比べるのではなくやりたい気持ちがあるなら、下手でもまずやってみる。そしてしばらく続けてみる。
・没頭している対象が学習性があり、本物につながっているかどうかは気にすべき
・個人技で輝く分野において、中途半端ななんとなく好き程度では頭角を現す事は難しいと言う事は理解しておくべき
・集中力、フロー状態でそのことに長時間没頭し、しかもその狙い所がちゃんと社会的にも評価されるようなものでなければならない
・子供の知能や学力に効果がありそうな要因: 静かで落ち着いた雰囲気の中できちんとした生活をさせること、本の読み聞かせをすること
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子供を育てて、また仕事で子供と接してきて、
生まれ持ったものが一人一人全然違うなと感じていたが、この本を読んで、やはりなぁと納得した。
「本人がやりたいと感じるのは、すでにれっきとした才能」
この言葉が良かった。
その才能を育てていく環境が、なるべく平等に与えられるように、大人が、社会や教育の場を作る必要があると思う。
親ガチャに外れたとしても、なるべく早く自立できる世の中で、自分を大切にできる場所など。
遺伝の影響があることを知ると愕然ともするけれど、考えようによっては「好き」や「得意」という感覚を大事にして、周りの大人もそれを尊重してあげられれば、一人一人自己肯定感が持てるようになる。
またどの王道分野もパッとしなくても、ニッチな部分の「得意」をいくつか掛け合わせていければ、ローカルトップに達せる。
希望を持って生きようと思う。
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人間のほとんどは遺伝と運で決まる、らしい。
がしかし、お金で人の可能性やきっかけ、やりたい事を与えられない、受けられないことへの不満や不平等は消えない。
親の教育や先生への過剰な期待よりも、システムや情報が広く、安く、手軽に行き渡っている事の方が重要。
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遺伝と環境と偶然の産物。それらの堆積物が人というもの。
極端に言えば、自由や意思などどこにもない。
そんな論考に、そのとおりだよなあ。
と思っていて…
でも、その遺伝、環境、偶然ってどう違うんだろう。
選べないという意味では、主体・自分にとっては、全て同じ。
全ては偶々。
と言っているに等しいようにも思う。
この本では著者は、
遺伝と言っても、それは親から子に引き継がれるもの、という意味あいより、たんに偶然に配られる生命の設計図であること。
共有、非共有環境と言っても、それは、受け止める主体の、生命の受け止め方でしかなく、特定の事実そのものとは違った、体験、感想・感覚を指すものであること。
を主張しているように受け止めた。
「環境というのは膨大な要因で構成されており、一つ一つの要因の効果量は極めて微小、なおかつしばしば遺伝的素質と複雑な交互作用をしているということです。誰にとっても同様に作用する、単純な環境というものは存在しません。あらゆる形質は、遺伝と環境が複雑に作用して形成されているのです。」(p60)
偶然に支配される、不平等な世界。
それは所与のもの。
そう認識した上で、雑に「賢い」「有能」などと、強く結び付けられて評価されがちな、社会的評価をどう受け止めるか。自らのこれからをどう考えるか。社会的な生き物である人間に生まれた以上、他者、社会からは逃れることはできない。
もっと考えてみようかと思った。
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興味深い内容でした。
P42:『親からの形質の伝達』に記載されている図、なるほどと思いました。
以下引用
P6:
『世界は遺伝ガチャと環境ガチャでほとんどが説明できてしまう不平等なものですが、世界の誰もがガチャのもとで不平等であるという意味で平等であり、遺伝子が生み出した脳が、ガチャな環境に対して能動的に未来を描いていくことのできる臓器なのだとすれば、その働きがもたらす内的感覚に気づくことによって、その不平等さを生かして前向きに生きることができるのではないでしょうか。』
P227:
『逆に「優性的現実」、すなわち遺伝的に優秀な人が有利に生きられる社会はそのまま残ってしまった』
P246:
『私たちは能力の個人差の問題から絶対に逃げられません』
単語
ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study:GWAS)
ポリジェニックスコア
Socioeconomic Status
優生学(Sir Francis Galton)
ブランクストレート説
自然主義的誤謬
事実命題と価値命題
目次
第1章:遺伝とは何か-行動遺伝学の知見/p15~p102
第2章:学歴社会をどう攻略する?/P103~P154
第3章:才能を育てることはできるか?/P155~P198
第4章:「優性社会」を乗り越える/p199~P246
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遺伝とはトランプで配られた手札のようなもの
本人の意思や努力、教育などでコントロールできるのは1〜2割程度
親の能力をそのまま引き継ぐとは限らない
平均回帰するので優秀な親の子は普通になりやすい(スポーツ選手など)