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・心の底から喜びを感じられる刹那が本当に訪れるものなら、あの世でどうなった
ってちっとも構わない
・思考とは本来空白の時間があってこそ可能
・ちょうど美酒の醸成が閉じた空間で嫌気発酵性を必要とし、これがもし閉じずに酸素に触れてしまうと、アルコールではなく素が生成されてしまうのに似ている
・遊びの本質は無目的。メリットを考えない
・真の満足というものは決して結果ではなく、プロセス
・すべては極めて副次的な人生の役割すらこのような見方の中では無意味だし、茶番に過ぎない
・与えられるものが少ないほど想像力は満足する
・この時代に生きていて「空虚さ」を感じて苦悩する方がはるかにまっとう
・つまり大人は未熟で、小児は成熟
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空虚を感じ、生きている意味を感じないことは、効率重視、情報過多、進んだ文明がもたらす今の世の中で感じないことの方が異常だ。頭でしっかり考え空白を埋める作業をしなくて良い。考える事、悩む事があると言うことは生きている証拠なのだ。
それを念頭に、今の空虚感と向き合う。そして考える事が大切であり、素敵な時間と考えたいと思えるようになった。
面倒、手間、プロセスを楽しめるよう。本来そこが楽しいものなのだ。今の世の中に埋もれてはいけない。
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数冊目の泉谷閑示さんの本だが、いつも以上に熱が入っていて、著者が、最近の世に切迫した危惧を抱いているのが伝わってきた。
実は、私もここのところずっと世の中が気持ち悪く感じられて不安に囚われている。儲かるシステムを作り上げた一握りの者たちだけがどんどん強くなる一方で、弱者はより弱くなり、人間はより核となるものを失くし脆弱になり、若者は上っ面だけでキャーキャー騒ぐことに必死になっているように見える。
この本では、なぜそういう方向に世の中がなってしまったのか、そこから脱却するために我々はどうすべきなのかが書かれている。
【問題点】
・実存的苦悩がかなり早い段階から生じている
(行きすぎた早期教育、塾通いなどで疲弊し、生きることは、際限なく求められる課題をこなすことなのだ、と学習してしまう)
・行き過ぎた効率主義、効率重視のために、「頭」が遊び、学問、芸術、仕事、生活、すべての分野において支配を広げて「心=身体」が関与しなくなり、私たちに喜びや生きる意味を感じさせられなくなった。
・生きることを構成しているあらゆる事は、そのプロセス自体に喜びがなければ、どんなに立派な結果を残せたとしても、空虚に感じられてしまう。生きることの結果は「死」だから、極論すれば生きる事は、全てめんどくさいこと、役に立たないことに見えてしまいかねない 。
◎そこで、大切なのが教育のあり方。
○教育とは単に知識の伝承を行うことではなく、憧れに至る豊かな世界があるということを啓蒙するところにこそ本質がある。
○教育の真の目的は美を愛することである
(オスカーワイルドの言葉)
「もし、研究者や教育者が、真にある思想についてその真髄を理解し十分に咀嚼できているのであれば、必要に応じて、学生や読者に向けて、わかりやすい言葉で伝えることもできるはずだ。しかし、そうでないのが実情で、そのために、本当に伝えられるべき思想が、それを必要としている人たちに人たちに届けられずに終わってしまっている。」
○そろそろ、私たちは「親しみやすく」「わかりやすく」「手っ取り早く」「面白おかしく」といった段階を卒業して、専門家気取りの者たちが囲い込み隠してしまっていた本物たちを、じっくりと時間をかけ探し出して、自分たちのもとに奪還し、それらと静かに向き合うべきだと思うのです 。
【問題点】ロゴスとは、人間ならば持っているはずの共通認識や共通感覚のこと。このロゴスが近年になって、崩壊の危機に瀕しているのではないかと思われる。
・“ロゴス・クラッシャー”による不条理に満ちた世界。ウクライナ侵攻、過去の不正を認めない政治家、我が子を殺してしまっても「しつけだった」と言い、反省もしない親など…
・ハンナ・アレントがアイヒマンに関して述べている抜粋はとても興味深かった。
◎そこで、人間のあり方が大切になってくる
・ベートーヴェンの『エロイカ』からの考察
第一楽章、アレグロ・コン・ブリオ
第二楽章、葬送行進曲
第三楽章、スケルツォ(諧謔曲と訳される)
第四楽章、プロメテウスの創造物の主題の変奏曲
という並びになっている。この四つの楽章の並びが、そのまま人間精神の成熟段階を象徴的に反映したものになっている。という考察。
1、オプティミズムの段階
2、ペシミズムの段階
3、積極的ニヒリズムの段階
4、統合的人格の段階
○「頭」優位な価値観に覆われて、壊されつつある私たちの「ロゴス」。この人間的な知性を取り戻すためには、我々の「心」の発する声を、おびただしい情報のノイズでいっぱいになっている「頭」の声の奥に、根気よく聴き取ることが必要。
『冷蔵庫がいっぱいである限り、人々は、本気でものを見ないし、考えもしない。』
(アレクシエーヴィチの言葉)
すべての人間の中には、当人が自覚しているか否かは別として、男性原理も女性原理も存在している。
(多少強引であるがと著者は前置きし、)「頭」は理屈っぽく、物事をコントロールしたがり、支配や所有を思考するような能動的性質があることから、男性原理(アニムス)。
一方「心=身体」は、理屈抜きに感覚や直感によって瞬時に物事の本質を捉える叡智があり、自然原理と直接つながっていて、対立や支配ではなく融和的な受動性という美点を備えているので、女性原理(アニマ)。
✳︎両者がそれぞれの美点を尊重しあい、共働するような状態が人間のあり方である。
◎これからどうすべきか
待つ力、信じる力、憧れる力を取り戻さないといけない。どこまでもロゴスの側に立たないといけない。我々の「心=身体」だけが、人間的なものの有無を見分けられる重要なセンサーを備えている。
人生がいかに不条理なものであったとしても、「にもかかわらず」もう一度生きることを選ぶという、「信」「愛」「希望」という論理ならざる意志を待たねばならない。
と締めている。
一度読んだだけでは到底全部を掬いきれない。そして、著者が問題だとしている人間の姿にほぼ全部自分も当てはまっている。無気力で生きること自体を面倒だと感じ、たかを括って多くのことを諦め、思考停止してしまっている。反省することばかりだけれど、だからといって「にもかかわらず」の境地にはなれそうもないというのが正直なところ。せめて、物事の真の部分を、心の声を見聞きしようという姿勢をまず持ち、この本に出てきたいつくかの本を読んでみようと思う。
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#なぜ生きる意味が感じられないのか
#満ち足りた空虚について
#泉谷閑示
22/9/27出版
物質的な不足や社会的な不自由さはないけど
なぜか「空虚感」を感じることもある現代を
人間らしく生きるには?
#現代の空虚
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3S985Bn
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満ち足りたように思える現代に生きているのに、なぜ生きる意味が感じられないのか。
哲学や文学、様々な思想を引用して紐解いていく。
取っ付きにくい部分もあったが興味深く読めた。というより、よく理解できないな~とすぐ諦めてしまう事が現代の虚しさに繋がっている旨書かれているため、それはできなかった。
「ロゴス」を持たない人に惑わされないようにする。
量より質。
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共感できること8割、新しい気付き2割でとても面白い本だった。
古典の引用部分は理解しきれない内容もあったが、わかりやすく解説してくれているので読み進められた。
図書館で借りたが、自分の手元に置きたくなる本。
この人の他の本も読みたいな。