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この本で面白かったのは「世界対戦とニューディール」の章で、戦争が労働条件向上に役に立つという事実。アメリカは第二次世界大戦で国内の労働者の協力を得るために、勝ったあかつきには労働環境含め社会保障を充実させることを約束した。それだけ勝つためにはなりふり構っていられなかったのだろうと思う。戦後はその約束のもと労働者階級の発言権を認め、格差の少ない社会を実現した。その状況も長くはつづかなかったわけだが、日本の戦後社会も似ていたように思う。今や労働者の経営者に対する交渉力などゼロに等しい。戦争が正しいなどと言う気はさらさらないが、アメリカの歴史上労働者が最も恩恵を受けたのは戦争中だった事実には複雑な思いがする。
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保守もリベラルも労働者を代表しなくなり、エリート層が政治経済さらに文化領域を支配するようになった欧米社会という理解がベース。基本的には非エリート層の労働者に如何にして権力を取り戻すかという話。寛容な移民政策によって彼らが被った経済的な影響を思うとポピュリズムに狂じた反乱にも理解ができる。不法移民による低賃金労働によって富む企業とのコントラストは憎むべきもので、是正されなければ今後も混乱と分断は深まるばかりだろう、日本の進むべき道のヒントにもなる一冊と感じた。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12795349901.html
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東洋経済にて、新しい封建制がやってくると合わせて紹介されていたので入手。いわゆる「西側」諸国(ぶっちゃけ欧米)を今までリードしてきている新自由主義が何をもたらしているか、を解説する。基本思想が強者総取りのところに更にテクノロジーによる支配を加速させて、少数のテック貴族によって多数の下流層(中流層は下流層にに叩き落される)が支配され、民主主義が蔑ろにされていく現状が語られている。そのような状況だからこそ、トランプのようなデマゴーグがそういった層のニーズをすくい取って伸びていく、と解説される。筆者は多元民主主義(地方の有力者に率いられた集団が多数ひしめき合う状況)の復活を提示しているが、テックオリガリヒによる支配って、サイバーパンクのメガコーポによる支配と同じだなぁ、と思ってみたりする。
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1970年代から上流階級のエリート層が上からの改革により、新自由主義に基づくグローバル化推進策が徐々に取られることよって、庶民層との新しい階級闘争が生じた。それに対する庶民層からの反発として、ブレグジットやトランプ大統領の誕生など、下からのポピュリストの反革命が生じている。
ニュースを見て、世の中がおかしな方向に動いているとの実感があったが、ようやく構造が理解できた気がした。解決のためには、労働組合などの様々な中間単体を再生し、庶民層の利益や見解を代弁し、政治に反映させる拮抗力か必要とのこと。
様々な物事は、振り子のように動きバランスをとるものなので、今は振り子が元に戻ろうとしている過渡期という事だと思う。
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「右と左の対立」から「階級の上と下の対立」へと変化しているとするが、ポピュリズムは鎮圧される運命にあるとしている。この辺はやや楽観的かなという気がしないでもない。
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新自由主義改革がもたらした経済格差の拡大。これはもう否定できない事実だろう。
格差がスゲーよ。
政治的な国民の分断。
この原因って、日本の場合、縁故資本主義じゃね?
アホノミクス以降、自民公明党の奴らは、もうやりたい放題やりまくってる。
日本がオワコン化したことを、全世界に発信したショボ過ぎる「東京オリンピック」では、電通や、関連企業が一丸となって利権に群がり、美味しい中抜きチューチューやって、私腹を肥やした。
オワコン化した新聞各社もそこにガッツリ絡んでるから、不正な利益誘導を批判するはずのジャーナリズムの側には、もはや、誰もいない。
2023年 今回のマイナンバーカードの一件でも、自民公明党から、政治的な利益誘導してもらえる大企業ばかりが、市場での公正な競争もないまま、莫大な利権を得て、これから後の運営においても、永遠にチューチューできる構造になってる。
これって縁故資本主義じゃね?
99ページに、ちょっとだけ、出てくるけど。
Wikipedia
縁故資本主義(crony capitalism)
官僚や政治家、役員、利益団体との「密接な関係」がビジネスの継続に決定的な要因となっている「資本主義経済」を指す批判的な用語である。法的許認可、政府認可、優遇税制措置、公共事業発注先の選定に不公平さが見られるときにこう呼ばれる。
縁故資本主義は資本主義の根幹となる市場経済による効率的な資源配分、競争力の向上、技術革新を阻害する一方、特定階層による経済支配を固定化することで経済的格差を助長する、政府官僚や政治家と大企業との癒着による経済支配といえる。
例として、1997年のアジア通貨危機前のアジア各国の経済が挙げられる。例えばIMFによる韓国救済の局面では、IMFが救済条件の一つして縁故資本主義を解消するために財閥解体を求めた。
統一教会と自民党のズブズブの関係だって、まだナニも解決していないのに。
旧統一教会のイベントで、韓鶴子総裁を「マザームーンさまさま」とか連呼してた、自民党のバカ議員、山本朋広衆議院議員を、次の衆議院選挙に向けた支部長の選任会議で、神奈川4区の支部長=事実上の公認候補に決めやがったぞ。
2023.8.5.現在、問題になってる、クソガキ木原誠二官房副長官の、妻の元夫の殺人事件疑惑だってそう。妻の実父の、元公安?のジジーが、やったんじゃないかと騒がれてる。
もー、上級国民さまは、やりたい放題だ。
何をやっても許される。逮捕されない。
一方で、就職氷河期の世代や、都市部のシングルマザーなど、持てざる階級は、もはや、後進国なみに貧しくなってる。
いや、後進国以下かも。
さて、この本だけど、もともとの文章か、または、翻訳された日本語が、そもそも、ヘンだぞ。
途中、意味の通らないところが何箇所かあった。
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11
昔は、労働者階級の声は、労働組合、市民団体などが、代弁できてたのに、今じゃサッパリ。
民主的多元主義が終わってる。
エスタブリッシュメントたちが、労働組合や市民団体���弱体化させてきた。
covid19への対応
16
トランプは、扇動的ポピュリストの典型
17
もとは、ヨーロッパの過激な反ファシスト集団のアンティファは、過去30年間、アメリカで勢力を拡大してきた。
アンティファは、白人至上主義者がスパイ行為をしてるという陰謀論を煽り立てた。
22
1789年
ルイ16世はバスティーユ陥落の報を聞いて
「それは反乱か」と尋ねた。
「いいえ、陛下、革命です」と、公爵は答えた。
2016年
ブレグジットの賛否を問う国民投票で
有権者の過半数が、EUからの離脱を指示した。
この政治的激震から数カ月後に、トランプが大統領に選出された。
2018年の夏
イタリアでは、右派ポピュリスト政党「同盟」と
反エスタブリッシュメント政党「5つ星運動」が連立政権を組んだ。
スウェーデン、ドイツ、スペインで、ポピュリスト政党が議席を獲得した。
41
ジェームズ・バーナムの経営者革命論は、アメリカの中道左派の間で復活している。
それを補完する、ガルブレイスの経済社会学は、すでに過去のものとされているが。
43
ジョージ・オーウェルは1946年の論考の中で、バーナムの主張を要約している。
45
バーナムの経営者革命論は、ガルブレイスの経済社会学に通じるものがある。
二人が描こうとしたのは、ヴェブレンが理想的な技術者の評議会として期待した、技術者支配ではなく
国内の大手企業や、多国籍企業、政府機関、非営利だんたいを運営する民間と公的機関の官僚。
98
ハイエクやフリードマンら新自由主義者は、毎年スイスのモンペルランに集まり、グローバルな自由主義のユートピアを築くことを夢見た。
99
1970年代に、上からの革命が始まった。
リバタリアンの経済学者らが、そうした制度を「縁故資本主義」と批判した。
102
新自由主義の経済改革は、1970年代の欧米を襲った、スタグフレーションへの対策として、当初は、正しいとされた。
109
多国籍企業のアービトラージ「裁定取引」戦略
アップルは、中国人労働者を不当に安く働かせている。
2013年
米上院国土安全保障・政府問題委員会の常設調査小委員会によると
アップルは、アイルランドに子会社を設立するなど
租税アービトラージのあらゆる汚い手段を駆使して、租税回避をしてきた。
2015年
アイルランドが税法を改正すると、アップルは、子会社の一部をひそかに、別の国際的な租税回避地であるジャージー島に移した。
アダム・スミスは『国富論』で述べている。
「資本の所有者は、実際には世界市民なのであり、一国から離れないとは限らない。厄介な税金を課す国を捨てて、もっと気楽に事業を行えるか富を使える国に資本を移したいと考えることも多い」
スミスは、現代のグローバル経済における労働力アービトラージの重要性に、驚かないだろう。
118
上流階級の勝利
ウォーレン・バフェット「階級闘争はある。それを仕掛けているのは、われわれ富裕層側だ。しかも、我々は勝利しつつある」
1960年代に、リバタリアン経済学者ジェームズ・ブキャナンが、モンペルランと、ヘイトアシュベリーの中間地点で、アレン・ギンズバーグと密談し、政治、経済、文化という三つの領域で、労働者階級から、上流階級に権力を移行させようと画策したわけではない。
大衆参加型政党、議会、労働組合、草の根運動の諸団体、市民団体は、弱体化するか、壊滅してしまった。
欧米諸国の非エリートたちは、怒りを喚き散らす以外に、公の場でいっさい発言することができなくなった。
122
ドイツでは
2015年から、突然、中東からの移民が流入し、物議を醸した。
フランスでは
逆進性の強い税金が労働者階級に重くのしかかった。
アメリカでは
何百万人もの不法移民が流入した。
2016年の
ブレグジット投票と
トランプの大統領当選
イタリアのアウトサイダーのポピュリスト連合政権誕生
フランスの黄色いベスト運動など
階級タイルtの炎が轟々と燃え盛った。
その火種は、半世紀も前からくすぶっていた。
127
上流階級の政治的スペクトルは、ミルトン・フリードマンが提唱した、過激な自由市場リバタリアニズムによって、右派と結びついている。
137
トランプが、ハッピー・ホリデーズではなく、メリー・クリスマスと挑戦的に使ったり
イタリアのサリヴィーニ内相が、イタリアの公共施設にカトリックの十字架を設置するように命じたりするのも
ポピュリズムの例。
204
人種や宗教の異なる大多数の労働者階級が必要としているのは、彼らがかつて持っていた力、今は失った力、
拮抗力(countervailing power)だ。
管理者、経営者エリートの不正をチェックする団結力を一般市民に与えることのできる、旧来の、草の根政党や、労働組合や、宗教団体に匹敵する、大衆参加型の組織がなければ、姑息な改革によって、人間の顔をした寡頭支配を生み出す。
233
フリードマンとは対極に位置するクルーグマンも
このフリードマンの政治的主張には賛同する
現代のアメリカは福祉国家であり
スキルの低い移民は、彼らが受ける便益の費用を賄うに足るだけの税金を納めていないから
低スキルの移民が福祉国家にもたらす政治的脅威は、より深刻だ。
と、クルーグマンも主張する。
252
権力をチェックできるのは、権力だけだ。
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例示が多く少し長いが、良著。
何に苛かされているのか、の解像度を上げることができたように思う。
Politically correctness への不快感。
いろんな分析があると、面白かった。