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注目する著者のこれまでとは方向性の異なる作品で、本来地球には存在し得ない巨大な〈木〉が世界の中心に聳えるパラレル世界の数千年にわたる歴史を5つの断章で紡ぐSFファンタジー的な小説。
地球が舞台というものの完全な架空世界の話で最初はとっつきにくかったが、だんだん世界観に引き込まれた。生きる意味、文明の行きつく先など現実世界にも通じるテーマが織り込まれていて、読み応えがあった。
ただ、小説中の年代の設定と話の内容に辻褄の合わない部分(具体的には、第3章と第4章の間が254年あるのは、登場人物の家族関係等から無理があるのではないかという点)があるように思い、そこは気になった。
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個人的に難しい本だった。
数年前に『星に願いを、そして手を。』で知った若い才能で、『凪に溺れる』でグッと心掴まれた著者の、初めての青春小説以外の作品。
元から全般的に共感しやすいわけではなく、どこか超然とした思考や真意があり、それらを掴むまでには時間がかかる印象だったけど、今作はその感じが顕著だった。
幾千年もの時間を跨いだ舞台や、巨大な木の恩恵という設定は興味を惹かれるしワクワクするけど、どこか自分とはかけ離れたところで物語が進んでいるような、一種ののめり込めなさが常にあった。もちろん、個人的な読解力の問題ではあるけど。
いろんな変遷を経た上での最終章の、「もう死んだようには生きたくない。ちゃんと生きているうちに死にたい」という考えへの帰結で、やっと自分の範疇に収まった感じがあった。
16歳で受賞しまだ22歳。経験と共にこれからも色んな変容を見せていくであろう著者が進み到達する場所が気になってしょうがない。
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枝の上に街が建てられるほどの巨大な〈木〉。ある学者は気付く。「こんなものは地球に存在しえない」壮大なる謎に挑む幾千年の物語。
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青羽悠さんが初めて青春小説以外を書いたというので期待して読み始めた。
プロローグ、エピローグを別にして5章からなる物語は、ファンタジーからSFへと変貌していく。世界の置かれた状況が見え始め、それまでの謎が解けていく構成はうまいが、結局何が言いたいのかが不明瞭なまま終わってしまった。
章ごとに独立したストーリーで、そこにはそれぞれ数百年の時間が経過している。当然ながらキャラクター同士の繋がりなどはなく、文化や技術もガラリと変わってしまう。そのため読者は一から世界を学ばなければならず、集中力が途切れる。
そもそも物語の舞台が〈この惑星〉である理由も必然もなく、説明もされておらず不親切だ。過去に読んだSFやファンタジーの名作のあれこれが頭を過るのもマイナス要因。
アニメにでもなれば面白いかもしれないけれど、小説としてはイマイチだった。
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ひとつの「木」を中心に5つの時代を歩む
完結しているようで中盤繋がりが現れる
時が進むにつれ明かされる「木」のことや、各章の展開は面白い
SFへの移行でついにきたか!と思ったのだけどな
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古来に突然現れた謎の巨大な木。地球上には存在し得ない構造、一体何によって何のために生まれたものなのか、、?
舞台となる時代が異なる5つの短編集になっていて、人々と木の関係性や生き方の変化に注目です。
1つ目は原始的な世界で、木を中心とした信仰の中で生き、祈りを捧げる少女の話
2つ目は木の上に建つ天文台で星を観察することに全てを捧げる青年の話
3つ目は国の危機に、生まれながらに木を中心とした信仰の拠り所となった少女が立ち向かう話
4つ目は人生に絶望した配達員の男が、木に関する研究によって時代が変わる瞬間を目の当たりにする話
5つ目は科学技術が限界まで進み、人々が退化し機械化していく中で、人間らしい姿を取り戻そうと奮闘する男女の話(木の真相にも辿り着きます)
1〜3話までは古代〜近現代まで4、5話は近未来〜という時間軸に沿った話で、特に未来の姿は科学技術の発展によってもたられる弊害について考えさせられます。その時代ごとの建物や風景などの描写によって作り出される映像が壮大で、実写化したら面白そうだなって思います。
この小説はどの短編も人はなぜ生きるのか、生きる意味、宿命、何のために生まれたのかといった存在意義について考えされられる話だと思いました。明確な答えはないので難しくて、読むのに苦戦しましたが、自分の存在理由を信じ、それを全うしようとする登場人物たちの姿に心を撃たれました。
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※
長い長い時間を人と木が繋いでゆく壮大な物語。
政治、宗教、人の営み、綿々と受け継がれ
続いていくそこに生きる人の歴史と記録。
与えられた義務を探し見つけて、
全うするため真っ直ぐ生きる人の姿が眩しい。
時間もスケールも特大なお話でした。
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世界の中心に聳える巨大な〈木〉。
人々は枝の上に家を建て、各地から人が集まり、やがて国ができ、文明ができた。
だが、他国から〈木〉のもとを訪れた学者は気がつく。
「こんなものは本来、地球に存在しえない」。
この〈木〉はいったい何なのか?
宗教の長となった少女、天文学に人生を捧げる青年、革命組織に身を置く男――
数奇な運命に巻き込まれた人々の叡智と苦悩が積み重なり、やがて壮大な謎が解き明かされていく。
これは力ではなく、知性で世界を変えようとした人たちの、幾千年の物語。
(アマゾンより引用)
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カバーがとても綺麗で、カバーを取ると表紙は物語の『木』の表面のような模様で素敵!
大樹である『木』の元で暮らす人々の幾千年の営み
ある時代では病が流行り、ある時代では機械文明になり
変わらない木と共に変化していく世界の文明
幾千年の民の移ろいを木と共に、様々な人の目線から窺い知る
1話目から3話目まではファンタジー感が強く4話と5話がSF要素がお強め
どの話も1部だけは繋がっているようで独立した物語
物語の中で触れられる木の存在は不可思議要素満載
最初はただの町にそびえる巨大樹なのかと思ったら、物語が進むごとに木の秘密が出てくる
私の理解力の足りなかった部分もあるけれど、物語の雰囲気はとても好みで読むのが楽しかったなと思う
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時が流れる中で変わらない存在と、存在が消えても確かにそこに居た証。
何を伝えんとするか分かりにくいけれど、「存在」の意味を考えさせられる壮大なストーリー。
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表紙デザインが鮮やかで綺麗だと思い手に取りました。
架空の世界で、ある宗教が時代を越えて形を変えながら、人々のくらしあるいは政治に関わり存在する様子が描かれていると思います。
ファンタジーの世界観を楽しむことができました。
個人的に第四章からは世界観が自分の趣味でなくなり、途中で読むのをやめてしまったので、時間があれば再チャレンジしたいです。
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我々の住む世界とは違う世界なのか、それとも我々の住む世界が時を経てこうなるのか。
謎に満ちた巨大な「木」のある世界。そこで人々は暮らしていたが反乱が発生する。
ファンタジーかと思いきやハードSFの世界観だ。読者を突き放すような作風だから評価もパックリ割れるだろう。木は何者が持ち込み、そして何の役割を果たしているのか。人々はこの世界でどう生きていくのか。不思議な一冊だった。
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とある場所に生える一本の木。距離感がくるうほど大きく、低いところの枝と高いところの枝で違う葉が茂る。現実にはありえない木。
そんな木と人類の途方もなく長い時間を描いた話だった。
SFのようなファンタジーのような。どちらにせよスケールが壮大。