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元情報員の妻と姑の争い。フリーの配達人に託された謎の手紙。時空を超えて繋がる二つの物語。運命は変えられるのか。創作秘話を明かすあとがき収録。
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私の螺旋プロジェクト、二作目!
伊阪幸太郎さん、お久しぶりです。
たぶん、グラスホッパー以来?
実はそんなに手に取らない作家さん。
伊阪さんと言えば、映画化の常連といったイメージでプロットにした時に面白い設定なんだろうなと原作を読むと思う。
殺し屋がメインキャラなんてまさにそうよね。
今回も昭和と近未来が繋がるという流れで、え、そんな設定なの?ってなるお話だった。
相変わらずユニークで、日常に本当にあんのそれみたいなキャラ設定が加わってドキドキさせてくる。
けれど、読むうちに人の核心にせまるような展開になっていって深い部分まで抉っていく。
ちょっとしたドンデン返しも急にきてまさに緩急ある作品だった。
伊阪さんの考える海族と山族はこーゆう感じか。
そして、「審判」
たぶん伝承と関係するキャラなんだろうけど、まだ2冊じゃ分からんぞ。
早く!3冊目を!!!
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螺旋プロジェクト2作目とのことですがこちらから最初に。ものすごーーーく久しぶりな伊坂幸太郎だけどやっぱ面白いな、、、話の展開が早く、次は?次は?とドンドン読み進めてしまう。本の厚みが結構あって時間かかるかなー?と思ったけど3時間ちょいくらいで読み終わりました。短編?中編?2編なので結構サクッと読めました。山族と海族の対立、大きなものを想像してたけど嫁姑っていうのがよかったね。今後の螺旋プロジェクトも気になるし、他の伊坂幸太郎作品を読みたくなったな、、、
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伊坂さんの文庫の新作が出たんだな、と書店で手に取ってみた。ん、螺旋プロジェクト?面白いかも。隣にあった朝井リョウさんの「死にがいを求めて生きているの」と一緒に購入。
■シーソーモンスター
凄腕のキャラクター作品。「AX」では夫が妻に裏稼業を隠してたけど、この作品は逆。妻が夫に対して隠し事をしてる。最後のどんでん返しはさすが伊坂さんという感じ。ただ、キャラが強すぎてバブル期が時代設定だけに使われてる感があった。時代性を超えたセリフとか人物設定は伊坂さんの味ではあるのだけど。
■スピンモンスター
時代設定は近未来。逃げ惑う主人公、スピード感があって、居場所がどんどん変わり、回想を織り交ぜた展開は「ゴールデンスランバー」っぽい。あっという間に読んだ。人工知能が自分の敵となる人間を情報を操作して追い詰める、という重いテーマを中心に持ってこないで、物語を進めるための設定として使うあたりが伊坂さんだよなーと思う。
人間の見たものをすべて記録させる、というSF仕掛けはテッド・チャンも書いていたなあ。
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またまた凄い作品を。
螺旋プロジェクト、この名前聞いた時から
ワクワク止まらないです。
中編が2つ収録されてますが、
『ある種族同士の対立』が全然違った方面で
描かれていて、時代に沿った背景も唆られる。
そしてやっぱり止まらんワクワク。
「シーソーモンスター」の方は、緻密な駆け引きと
たくさんのサプライブを用意していただき
伊坂ワールドを堪能できました。
「スピンモンスター」は、
近未来を伊坂さんが描くとこうなるんだ!の感嘆。
全てがデータで張り巡らされた世界で、
アナログの価値を感じ、記憶に踊らせれる〜。
久々に伊坂さん読みましたが、好っきだーーーーー!
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ブクログを始めたことも切っ掛けとなり、ここ暫くは初読みの作家さん達に多く触れていた。
だから久しぶりの大好きな伊坂さんの文章に
「来た来た!コレコレー!」と冒頭から嬉しくなった。
皮肉のようなジョーク。
笑う程ではない。けれど言い回しは巧み。
海外ドラマにあるような、小粋な言葉のやり取り。
随所に織り込まれる絶妙な例え。
大事(おおごと)であるにも関わらず軽いタッチで運ぶのもいつもの伊坂節。
やっぱり彼の小説が好きだ。
場面転換の際に挟まれる記号の仕掛けも健在。
シーソーモンスターでは天秤だ。
自宅で繰り広げられる嫁姑合戦に挟まれる、製薬会社勤めの平凡な夫(北山直人)。
嫁と姑の間は緊迫する一方だし、直人は直人で仕事上仕方なくワガママで横柄極まりない若先生を接待しなければならず、天秤は右へ左へ傾きまくる。
瞳の青い嫁は海族の血筋?そう言えば耳が大きいらしい姑は山族の…?
徘徊男の三太郎、急に現れ海族山族の話をちらつかせる石黒市男とは?
気になる人物を巧みに登場させつつ、
あれよあれよという間に、激しい嫁姑合戦と直人の職場問題は絡み合い、怒涛のラスト。
それなのに、スケールの大きな話になりながらも、何故かホームドラマのように明るく平和に終演。
とは言え、これは『螺旋』という大きなプロジェクトの一話に過ぎない。
所々に残る謎のシーンや人物は、参加作家さんの作品に絡んでくるのだろうか?
本書は昭和を舞台にした「シーソーモンスター」に続いて、もう1つ「スピンモンスター」がおさめられている。
各章ごとの記号は移動手段(乗り物)。
こちらは近未来が舞台であり、この世界の設定は、本当に今現在の世界線に有りそうなほど巧みだ。
完全デジタル社会の利便性故の脆さに人々が気付き、重要な情報ほどアナログへと回帰した世界。
水戸直正はアーカイブを残さずにアナログな方法で手紙を運ぶ「配達人」だ。
「ジュロク」など、今はまだ人目を引いていないだけの、本当に存在する音楽ジャンルであるかのような錯覚を起こしそうだ
終盤の「タルトマンが転んだ」なんて、伊坂さんの悪戯?笑
水戸直正に対峙するのは警察組織の檜山影虎。
大きな耳、とあるので影虎は山族か。
そして突然、物語は大きく動き出す。
嫁姑問題が発端の「シーソーモンスター」なんて可愛いもの、時が流れてみればとんでもない海山合戦へと発展してゆく。
目的を果たす為に先を急ぐ者と、それを追う者。
その二人に共通する過去のトラウマ。
何故か交錯する記憶。
え?待って、捻れてるじゃん。
読者がそう思っても、次々と事態がスピンして、思考する前に先へと回転して行ってしまう。
そんな感じだ。
どれが正しい?誰が正しい?
そして伊坂さんが持ち出したスピンとは、回転するスピンの意味だけではなかった。
スピンドクター、情報操作だ。
後半に向かう程にどんどん話が大きくなるものだから、383ページ辺りで思わず「いやいやいや…」と苦笑してしまったほど。
また、劇中で宮沢賢治の「オツベルと象」が象徴的に登場する。
あぁ、そんな童話があったっけ。
誰に対しての言葉か分からない「おや、川へはいっちゃいけないったら」で、唐突に終わる童話。
しっかり読み直したことはないが、当時、子供ながらに宙ぶらりんで奇妙な心持ちにさせられたのを思い出した。
さて、各章に付けられた記号だが。
「シーソーモンスター」の「天秤」は、その物語の展開を示すだけでなく、別の意味合いも含んでいた事が「スピンモンスター」の中でさらりと明かされる。
そして「スピンモンスター」の「移動手段=乗り物」の別の意味もまた、物語の終盤で直正の口からさらりと飛び出す。
うっかりするとスルーしそうなほどの伏線回収だ。
そして怖い。
前述した通り、その世界線が有りそうだからだ。
(遺伝子の乗り物、これが編集者さんの言葉だと後書きで知り、笑いました)
『螺旋』のルールに加え、クロスオーバー等の様々な仕掛けで、伊坂ワールドを存分に楽しめる2作品だと思う。
あとがきにかえて作家本人が『螺旋』プロジェクトへの思いを寄せているのも楽しい。
『螺旋』プロジェクトは、共通のルールのもと8作家が共作するもの。
伊坂幸太郎の文庫と同じタイミングで発刊されたのは朝井リョウの「死にがいを求めて生きているの」。
う~ん。。。重そうだな。。どうしたものか。
でも例えるならこの『螺旋』は、文学界のフェスのようなもの。
ルールが決まっているので全ての作家さんがいつも通りの作風なのかは分からないが、
こんな企画でも無い限りなかなか読書の幅を広げられない。
よし、参加しよう、読もう!
朝井リョウの作品も読んでみることに決めた。
読了してみれば、まだ伊坂幸太郎作品しか味わっていないのに壮大!
ここに皆さんの作品も連なるなんて、なんて大きな物語なんだろう!
11月22日には大森兄弟「ウナノハテノガタ」、薬丸岳「蒼色の大地」、吉田篤弘「天使も怪物も眠る夜」が発売になる。
12月21日は残る3作家の作品発売だ。
きっと私は作家の皆さんが作り上げる年表を行ったり来たりしながら『螺旋』に飲み込まれていくんだろうな。
楽しみだ。
それにしても「クジラアタマの王様」同様、伊坂さんには未来を見る力があるの?
455ページの中尊寺が言う「対立する者同士でも、相手のことを…」の台詞は、現実社会と重ねずにはいられない。
さて『螺旋』プロジェクトは第2弾が既に始動しているとのこと。
メンバーに凪良ゆうの名前もあったので今後も巻き込まれること確定だ。
【追記】
日にちが経ってしまいましたが。
伊坂さんの後で朝井さんの作品を読み、思ったことをここに追記します。
朝井作品では冒頭からある人物がある人物を見舞いますが、その海族と山族の関係性とは別の見舞いの形が、伊坂作品では描かれています。
螺旋プロジェクトならではの、これもまたある意味、作品を跨いだ回収のように思えました。
様々な仕掛けがあちらの作品からこちらへ、それがまた向こうへと、螺旋プロジェクトの醍醐味です。
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伊坂幸太郎「シーソーモンスター」読了。螺旋プロジェクトという8人の作家が古代から未来の各時代で、山族と海族の争いを描く企画ものの作品の1つ。企画が面白そうだったので読んでみた。好みのSF要素もあり、ストーリー展開も軽快で楽しめた。争いが変化を生み出し歴史が進展するとは興味深かった。
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「螺旋シリーズ」として読むならよいけれど、単体で読むと物足りないと思う。
8冊で1つのお話、という捉え方で、次は朝井リョウさん読むぞーと思っている方にオススメ
8冊目が終わった時に
第2段を読むか決めようと思います
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螺旋プロジェクト1本目。
ゆっくりのんびり読んでいきたい!
こういうきっかけがないとなかなか新しい作家さんの作品を読まないのでありがたい。
面白かった。シーソーとスピンの関係は魔王とモダンタイムスの関係を感じられるし(パワフルでキュートなおばあちゃんが出てくるところも!)、審判、進行係がいるのは大須賀めぐみさんの『VANILLA FICTION』らしさもあって楽しい。
後書きの途中で他の螺旋プロジェクト作品との関連が語られ始めた瞬間慌てて本を閉じた。つながりを知るのは読み終えてからでも遅くないので。
螺旋プロジェクト読み進めてから改めて後書きを読むことにする。
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これぞ伊坂幸太郎! という痛快な展開とウィットにとんだ会話でページをめくる手が止まらない!
しかもこれ、8人の作家による「数千年の時を超える対立をテーマにした一大プロジェクト」らしい。共通のルールを決めて原始から未来までの物語をいっせいに書いたという。
たまたま知らずに、朝井リョウさんの『死にがいを求めて生きているの』も買っていたので、早く読みたくてたまらない。
8人のなかには知らない作家もいるのだが、文庫が出たら買おうと思う(まんまと企画にハマっている)
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何も知らずに買ったので、最初のページを見てちょっとビックリ。
『「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」という伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家による競作企画』って、へぇ~、なんだか面白そう。
その共通ルールというのが、①「海族」vs.「山族」の対立を描く、②共通のキャラクターを登場させる、③共通シーンや象徴モチーフを出す、というもの。覚えておこう。
というわけで、『ネタバレを含みます』という年表は飛ばして、“バブル期の気弱な勤め人の悩みは嫁姑の過激すぎるバトル”という昭和後期の話となる「シーソーモンスター」から。
語り手が交互に変わっていくスタイルで、バブル期の日本人に対する皮肉も利かせながら話は進む。
気弱な勤め人こと直人のパートもサラリーマンの悲哀や嫁姑の板挟みになる夫の溜息でユーモアとペーソス溢れて普通に面白いのだが、その嫁・宮子のパートになっては思い切り意表を突かれる展開。
宮子も宮子だが、お姑さんのセツも、そりゃ手強いはずだ。共通ルールの①「海族」vs.「山族」というのもあって疑心暗鬼が煽られたが、嫁姑の間柄って案外あんな感じでバランスが保たれているのかもね。
何にも知らない直人が安寧を取り戻せて良かったよ。
続いて“ある天才科学者が遺した手紙を携え、二人の男が世界を救うべく疾走する!”という「スピンモンスター」に入る。
主人公が新幹線の中で見知らぬ男から手紙を託され知らぬ間に警察から追われる身になるという巻き込まれ型のサスペンスで、主人公とともに読んでいるこちらも右往左往させられる。
「シーソーモンスター」とのリンクもあって楽しめたが、直人と宮子には子どもが出来ていたんだ。良かったな。
舞台が2050年頃の近未来とあって、こちらは随所に今の社会に対する批評も滲ませながら話が進むが、とりわけ、記憶の加工や情報の操作ということが話の肝となる。
あまりハッピーな終わり方ではなかったが、それでも『未来を創るのは、情報と事実だけじゃない。むしろ、人の感情だ』という言葉に、この作品でも人間の善い部分を信じる作者の気持ちが伝わってきた。
因縁の相手が登場したり、対立について語られたりすることはあるが、あまり共通ルールに囚われることもなく、話のスパイスとしてそれらが巧く使われていたという印象。
この「螺旋」プロジェクトやら、他の作者さんのものも読んでいこうと思った(もはや出版社の思惑に乗せられてしまったな)。
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海族と山族の何たるかは、結局曖昧模糊としたままでモヤモヤ感が残った。共通設定なので深掘りはできないということだろう。それでも、いつもの軽妙な台詞やテンポの伊坂節は健在で、ストーリー自体は楽しめた。特に表題作の方。対立する嫁姑の宮古とセツは、再登場を願いたい魅力的なキャラだった。「螺旋プロジェクト」の他作品も機会があったら読んでみようと思う。凪良ゆうさんや町田そのこさんらが名を連ねている第2弾はさらに期待できそう。
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伊坂ワールド炸裂
出てくるキャラが皆、個性的で魅力たっぷり。
セリフワードも面白く、テンポも良かった。
相変わらずの伏線回収、お見事です。
2部構成でしたが、個人的には「シーソーモンスター」が好きですね。
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面白かった。螺旋シリーズの1冊目なので、早速、朝井リョウさんの本を買いました。この本の結末は不完全燃焼(人工知能とか?)なんで、シリーズ全体で解決?されることを期待して読み進めます。伊坂さん以外はほとんど知らない作家さんばかりなんで楽しみ(ちょっと不安)です。
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8人の作家さんによる螺旋プロジェクトの1冊。
数千年にわたり、山族と海族の対立が描かれるプロジェクト。
昭和後期が舞台の「シーソーモンスター」と、近未来が舞台の「スピンモンスター」の2作品。
シーソーモンスターは、北山家の嫁と姑の争いが描かれます。本人たちは上手くやれると思っていたけど、2人は山族と海族で本能的に合わない。普通に見える家庭だけど、伊坂さんの作品が普通なわけないです。嫁は結婚前は情報機関のエリート諜報員。姑を調べると不審な点が、、、。カッコいいし、シュールだし、笑えるし、最後はスッキリしました。
スピンモンスターは、自動運転の車の事故でお互いの家族を失った水戸と檜山。海族と山族の因縁の2人は避けたとしても、出会い、ぶつかってしまいます。
大人になり配達員をしている水戸。新幹線内で依頼された手紙のせいで、訳がわからないうちに事件に巻き込まれます。追手の警察には檜山がいます。
人工知能の暴走、操作された情報に踊らされる人々、近未来に起こりそうな怖さがあります。
シーソーモンスターのほうが好みでした。他のプロジェクトも読みたいです。