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原田眞人監督の『BAD LANDS』で特殊詐欺のグループが受け子、かけ子、指示役とかなり細かく描かれていた。そして下からは上の指示役に位置する人が誰でどういった人間なのか見えない。危ないと思ったらすぐ切られる。そんな現代の特殊詐欺グループが描かれていた映画だった。
それを観て、特殊詐欺ってどんなものなのだろう、と興味が湧き手に取ったのが『ルポ 特殊詐欺』という田崎基の著作。
特殊詐欺の実態と背景がどんなものなのかかなり細かく記されている。
そして知りたかった加害者側にいる人たちの側面もしっかり描かれている。
よく言われるTwitterなどSNSを使った闇バイトのリクルート。これを読むと結構簡単に闇バイトグループにアクセスすることは可能なようだ。そして募ったバイトたちの個人情報を把握し、簡単に逃げられたり告げ口が出来ないように逃げ場をなくす。
辞めようと思ったときには時すでに遅く、脅され、タタキと呼ばれる強盗にまで従わざるを得なくなっていく。
確かに安易に闇バイトに応募した側にも問題はあるのだが、彼らは同時に被害者でもあるのだ。
教育環境は出自に依存する部分も大きく、親が貧困状態にあれば、子供もその貧困のループに組み込まれてしまう。
そんな出自を抱えた人たちは社会に出ても仕事は限られてくるだろう。
当然、低賃金で使い潰されるだけだ。
そんな状況では最低限度の生活を営む権利すら与えられないのだ。
彼らはそんな状況を打破したく、稚拙な行動であることには間違いないのだが、闇バイトに応募してしまうのだ。
特殊詐欺は上のグループから根こそぎ潰さないと意味がない。だが、グループが細分化され上のグループの状況はわからないようにしていることで取り締まることも難しい。
闇バイトに組み込まれないよう若者側にもアナウンスが必要だ。それと同時に貧困率の低下など、広く社会の状況が変わる必要があるよな、と思ったりした。