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読点馴染めず
2023/01/15 21:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだか読みにくい文体でした。この作家のファンの方は、こういう文体に、慣れておられるのでしょうか。表題作のこの世の喜びよは、喪服売り場勤務の「あなた」が、フードコートの常連の少女と知り合って……コレは、不思議な感覚。 マイホームやキャンプは、まだわかるが。
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句読点の使い方が独特で、まるで詩を読んでいるかのよう…と思っていたら、著者は詩人でもあると知って納得。全体的に幻想的な雰囲気が漂っている。描かれているのは現代の日常なのに、どこか別世界のような、ぼんやりと霧のかかったような不思議な空気感。最後の「キャンプ」の子どもたちが、何かをやりながら全く別のことをポツポツと話している姿が微笑ましかった。
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「これはあの駅前のショッピングセンターかな?」と思ってしまうほど日常の中の日常が描かれている。激情的な人も出来事もなく静かな川の支流ような時間が過ぎていく。
読み終えて、文章力がないとこれは作品として成り立たないと思った。ということは著者の文章力は途轍もないということなんだろう。
著者さんは詩人さんでもあるんですね。詩で書き綴られた日常をしみじみと読むことができました
#この世の喜びよ #NetGalleyJP
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自分が子どもだったことも子どもを育てる母親だったことも渦中のときはすぐそばで温度と色と匂いがしたのに、記憶になってしまうとぼんやりと断片しか残らなくて淡く淡くなっていく
どれだけ一生懸命にどれだけ大きく愛していてもそれが伝わるわけでも報われるわけでもないのはさみしいし受けた傷を不快をぶつけずにはいられない燻る苛立ちも苦しい
差し引かず慮らず伺わず体当たりできる若い青い無防備さが眩しいけどそれは若くて青いからあるんじゃなくていろんな我慢と優しさなんだと思い直す
思い出すことは世界に出会い直すことの帯の言葉通り淡い記憶も浮かぶと過去と出会い直せるのが明るい
他者と出会い関わり合えることはこの世の喜びよ
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中篇と短編2作
小説風ではあるが流れてくる文章を受け止めるような感覚
余分なものはない代わりに句読点に躓いて足元を見る
ちょっとだけ考える余白
なんとなく寂しい
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表題作含め3作品が掲載されている小説集。タイトルと表紙に惹かれて読んだが、読点の使い方に非常に違和感を抱くばかりであった。鍵括弧を多用せず会話を表現する技法は面白くはあるのだが、文の区切りが難解だ。詩としては評価できるやも知れぬが小説としては読みにくさが先行するばかりである。内容に関してもただ写実的に登場人物の内心を羅列しただけの、小説的にも全く旨味のないノイズとしか思えない部分も多く世界観にも入り込みにくく、薄さの割りに読了まで時間がかかった。斬新な小説を求めている人には良いかも知れないが少なくとも私には合わない本であった。
ただし場面を想像させる程度の文章力、イロモノとして尖らせているわけではなくあくまでも小説作品として内容で勝負しようとしている気概は感じられるため星3の評価はできよう。
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どこか寂寥感を感じさせる作品でした。
3編から連なる短編集で、どの作品も読みやすい
文章でした。3編に共通しているテーマは、「子供」だと、私は感じました。表題作の「この世の喜びよ」は、スーパーの喪服売り場で働く女性の大きくなった子供たち、いくら大人になっても、親から見ればいつまでも子供なんだと、いつまでもほっとけれないんだと、どこか過保護な部分も、自分で認めつつも心配になる、そういう部分を上手く文章に取り込んでるなと感じました。「マイホーム」では、小さな双子の母が、1日だけ、一人でモデルホームに宿泊体験する話なのですが、やはり、子供の
事を気にしてしまう。当たり前の事だと、感じるのだが、育児の難しさも感じながらも逆に子供たちに助けられている。最後の「キャンプ」は、子供たちで集まってキャンプを楽しむのだが、それぞれの家庭環境が垣間見れる、子供が各々に探り合っている描写が、とても良かったです。
私個人的には、芥川賞の候補になってほしい作品の
一つです。
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読んでいて心地よい文章な気がする。
内容は私には合わなかったのか、あんまり面白いとは思えなかった…。
でも最後まで読めてしまった。
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「あなた」は誰なのか混乱するのは、淡々と綴られる言葉の中に自分と重なる思いがあるから。例えば、「もちろん楽しく過ごしてほしいけど、楽しくできるのはもう私ではないと、娘達が中学生になったくらいにあなたは思ったのだ。」の部分とか。
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この世の喜びよ
著作者:井戸川射子
発行者:講談社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
facecollabo home Booklog
https://facecollabo.jimdofree.com/
本書が2021年第43回野間文芸新人賞を受賞し、ほか「遠景」「する、されるユートピア」の作品。
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三作の中で「この世の喜びよ」がいちばん好みだった。どこかに落ちていそうな話は、いくらでも読んでいられる気がするから不思議。
しかし「その気」を破るためかのように「あなたは」「あなたが」と気を抜いているタイミングで書かれているので、少し自分自身に不安な気持ちを持ちつつ読んだ。
小論文の話の中で、心なんて少しも込めてやるかって、と言っていて強く共感。
真剣な時やふとした表情を見て母に「今の顔、小さい頃〇〇をやっていた時と同じ顔だよ」と何度か言われたことがあるのを思い出した。残っているのだろう、記憶に。
母にとってのわたしとの記憶が少しでもよいものであればいいなと思った。
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わりと読みやすい
「あなた」は恵まれた時代に育ち結婚した最後の世代のような女性
彼女の娘たちは「あなた」より優秀なのに難しい時代に社会に出る世代
「あなた」のぼんやりぶりは本来なら読んでていらいらするはずなのだが不思議とそうはならない
しっかりとしたドームのようなショッピングセンターに護られてる別世界みたいだ
読んでるときに芥川賞受賞作と知り驚いた
「膨張」のほうがずっと好みだった
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主人公を「あなた」と呼んで語られるいっぷう、変わった2人称の文体であるがそこに描かれている主人公とその周りの人物たち、或いはショッピングセンターという誰もを受け入れる環境、は、読んでいて決して不快感を覚えるものでは無かった。
いっぷう、変わった文体、と私が言うのは、句点読点が多用され、極めて短いセンテンスの連続で物語、情景、人物の心情、を語っていると言う点に於いてである。芥川賞候補にはなっているが、決して受賞は叶わないのではないかとは思う。しかしそのある種、実験的な手法は、読んで体験して、決して損や時間の無駄にはならないと思う。いや、むしろその新しい?手法から思い浮かべることのできる情景というのが、私が陳腐な人生経験しか積んでいないからかもしれないが、極めて穏やかで、平凡で、まさに「この世の喜び(よ)」であると言うふうにも思われる。
作者はそもそも詩人、歌人?、であるようで、なるほどその文体に納得した。繰り返しになるが、新しい手法、変わった手法、から導き出される世界観、を頭の中に描き切ることができる、と言うのは、なかなか新鮮な経験であり、私は大いに楽しむ事ができた。
追記、上記で「芥川賞受賞はかなわないのではないか…」などと書きましたが、見事に受賞されました。おめでとうございます。
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第168回芥川賞受賞
主人公を「あなた」と言う斬新さ。
子育てを経験した人は、しだいに自分の話におきかわっていきそうな世界観。
でも、それは世界ではなく日常。日常だった。
あれほど身を粉にして子を産み育てても、巣立っていき、残された「あなた」は、懐かしかったり愛おしかったり、苦しかったり虚無感が残った…
必死だった自分と、一人前のことを言うようになった子どもと、歳をとり重たくなった自分の現在と、織り交ぜて語られていく。
境目はない。
スーパーという生活の場が、一般の人にはこの世の「世界」で、主婦、女子中学生、バイトの青年、ゲーセンにいるおじいさん、重ねた人生が違うから捉え方も違う。
女子中学生の事情も然り、同情はしても踏みこめない家庭内のこと、他人に言える無防備さ、打って返ってくる言葉になんて怯みもしない思春期の反抗心、そういうのも垣間見える。
自分の子と他人の子、その一線は渡り切れるものではない。
なんか子どもを産まない選択する人が増えているのも分かる…とも思える作品だった。
ーー
最近の文章って、ふわ〜っとして、境目ないのがいいのかな?
そういうのばかり受賞してる?
精神面は曖昧模糊でも、文章はクリアなのが読みたい。
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読み終わった率直な感想としては
正直読みづらかった。
誰目線で誰視点なのかが掴みにくい。
何故このような手法で書くのか理解不能だ。単純に今の自分には合わなかったということか。他の方の感想を参考に考察したい。