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街の中の施設などで目にする看板や標識、表示。
それらは、「サイン」と呼ばれる。
情報を示し、伝えるというコミュニケーションのひとつの手段である。
本書は、サインデザインに携わるエキスパートが、世界各地を訪れた際、何に注目し、何を感じ取り、何を考えたのかを、彼らならではの視点で撮影した写真とともに紹介している。
改めて見てみるとその国ならではの文化や歴史や伝統や信念といったものがわかる。
モナコでは街の美観に対する高い意識とそれを反映したサインの少なさに驚くが、これも国民ひとりひとりが美観を意識しているからだろうか。
ブダペストは、彩度を抑えたサインが美しい景観を保っている。
サインの数が少なく、色も抑えてグレイッシュである。
映画「暗い日曜日」の世界観そのまま。
ベトナムは、色鮮やかなものが多く、ピンク色が目に付く。
ピンク色はベトナムの人にとって、聖なる花である蓮の色を想起させ、家族や恋人の幸せの象徴として親しまれているそうだ。
台湾は、日清戦争以降、半世紀ほどは日本が統治していたため、台南にも日本の影響を受けた当時の建造物が未だに数多く見受けられる。
確かに日本のどこかにありそうな雰囲気が…。
バンクーバーは、人工的に造られた建造物より、周囲にある大自然のほうが街並みの主役になっている。
こういう自然ありきがほっとする。
光輝く街の夜景が圧巻なのは、ラスベガス。
エンターテイメント力が高い。
ボストンは、歴史と伝統を感じさせるサインとモダンなサイン何引き出す街の魅力とあり、落ち着いた雰囲気である。
アメリカは日本ほど長く続く伝統がないことで、かえって日本以上に伝統を大切にしているよう。
世界旅行をしている気持ちになれた。
世界は改めて広いなぁと感じた。
知ることのなかった国の大切にしてきたものを街並みを通して少しだけわかった気がする。
自分の足で歩いて、肌で感じることはなかなかできないがこの本で楽しめた。