紙の本
静かなおかしさ
2024/01/04 06:41
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
さり気なく面白い。
関西人とはいえ、大阪人ののりとは違う。
静かで言いたいこともやや内に込めて、そのくせちゃっかり面白いことを観察している。
その姿勢も何だかおかしくて楽しめた。
ただ、お若いのにもうお亡くなりになっていたとは…ショックだった。
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いいなあ、これいいなあ。好きなのは、『夏の葬式』『安全運転』『病院の夜長』『北の国から』『おはる』『昭和の家』『蝦夷梅雨』。そして岸本佐知子と赤染晶子という、この2人ならではの『交換日記』。
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結局私が手に取った本はデビュー作と芥川賞受賞作のみで、訃報のニュースを聞き、そして五年経った今こちらのエッセイを手に取った。
早いなぁ、勿体無いなぁ、、もっともっと赤染さんの言葉が聞きたかったなと思わせてくれるようなエッセイで切なくなった。
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ブクログのおすすめで見て気になって購入。装丁がノートみたいで可愛い。芥川賞作家とのことだけど筆者のことは全く知らない、しかももうこの世にはいない。タイトルから料理にまつわるエッセイかと思ったら全く関係なかった、生活や家族のことが書かれたエッセイ。京都弁が優しい感じのせいか、なんだかふわふわした文体。妄想?ってぐらい不思議と現実感が薄い。お寺の小僧さんに一目惚れをして密かに「珍念さん」と名付けて友人と女の戦いをしたけれど本当の名前が普通すぎて百年の恋も冷めた話がお気に入り。他にも蝿取り紙に蝿がくっつく瞬間を見たくて奮闘したり、編み物で手袋の右手を4つ作ったり、クスッとくる話が多数。家族も周りの人も愉快。ちょいちょい小児病棟の話があったけどこの人どういう経歴なんだ?って思った。他の人の感想読んで共感したけどもっと前の時代の人かと思ってしまうぐらいレトロな感じが漂う本だった。
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赤染さんが書く文に涙したり声を出して笑ったり、彼女の送った日々が優しく私の中で再生されて心にあかりを灯してくれるような素敵な本でした。
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このエッセイを読んでいる間ずっと考えていた。
この人の目でこの人の日常を短歌にしたらどんなにか素敵な歌ができるだろう。
『乙女の密告』で芥川賞を受賞した赤染晶子さんのエッセイ集である。
ユーモラスで、出会う人々への愛情に満ちている。
ときには、関西人のサービス精神?と作家の妄想力で日常をワンダーランドにしてしまう。
文章のテンポも小気味よいリズムで、まるでタップダンスを踊っているのを見ている感じ。
ラストの翻訳家岸本佐知子さんとの交換日記も、どこか同じ匂いのする二人が、お互いに気を使いつつも、仲が温まっていく。
もっともっと続けて欲しかったと思った。
クラシックで慎ましやかな装丁も好ましい。
読み終わると、読み始める前より、ひとが好きになっているのに気づいた。
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アトロクで、岸本佐知子さんが紹介していたときに聞いた抜粋朗読がおもしろすぎてすぐ購入。『安全運転』の続きがさらにおもしろかった!
赤染さんはきっとずっと真顔だけど、わたしは声に出して笑わざるをえない。
巻末の岸本さんと赤染さんの交換日記も最高でした。
オーディオブックがあればほしい。誰かに朗読してもらって録音して車で永遠に聴きたい。
こんなに楽しく読んだのに、この方の新作をもう読めないのはとても寂しいです。
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・面白かった。
・文章はリズムが重要。
・発想や表現ももちろん大事なのだけど、自分にとってはリズムがかなり重要なんだな、というのを読みながら感じた。
・非常に気持ち良く、永遠に読んでいられる。
・この文章のリズムの感覚、どうやって培ったんだろう?調べてみたくなった。
・京都(地元)への言及が多いので、そことも関係している気がする。関西、ではなく京都。
・本が物として可愛い。このサイズ、紙の本、好き。
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『洗濯物はいつもひらひらしていた。わたしの家の洗濯物は特に華やかだった。わたしは洋服の下に、金太郎の前掛けを身につけていた。洋裁の職人さんがはぎれで作るので、わたしの金太郎はピンクやオレンジや花柄だった。その金太郎がわたしの家の竿には並んでいた』―『異邦人』
十年以上前に書いた自分の感想文を読んでみて、随分とこの作家のことが気に入っていたのだなあ、と気付く。書棚には「うつつ・うつら」と「乙女の密告」。気に入っていたと言っても、それ以上でもそれ以下でもないが、もう新作を読むこともないのだなあとの感慨が急に湧く。
敬愛する翻訳家岸本佐知子氏推しの一冊。今秋創業したばかりの個人出版社palmbooksの記念すべき第一作が本書「じゃむパンの日」。岸本さんとの短いながら作家の個性が滲み出る交換日記がおまけのように付いたエッセイ集。そのほとんどは京都新聞に掲載されたものとのことで、それがこうして読めるというのは行幸のようなこと。「はんなり」とした京ことばで繰り出される可笑しみは、ほぼ全国民が貧乏だった昭和の時代の人の営みを思い起こさせる。ああ、そういえばうちの近所にもそんな風変わりな大人がいたっけなあとか、そういえば友達を呼びに行った時は引き戸を開けて「〇〇ちゃ~ん、あ~そ~ぼ~」なんて声掛けしてたなあとか。あれ、この人って同世代じゃない筈なのに、なんでだろ。
エッセイのテーマはどれも作家の身近な出来事。中でも祖父と祖母の話が矢鱈と面白い。そうかと思えば、博士号取得を断念して就職した京都のパスポート発行事務所の話とか、芥川賞受賞を待つ日の話とか、どれもかなり捻じれたユーモアセンスで書き綴っているのだが、その後ろに何故かほんのりとペーソスがある。そして、何も詳しいことは記されていないものの、ひょっとしたら作家本人の闘病生活に題材があるのではないかとも思える小児病棟の話。大人の目線で子供たちの病院生活を描いているようにも読めるけれど、きっとこれは作家自身の子供時代の出来事なんだろう。そうは思うけれど、どこかしら立原道造の「風立ちぬ」を連想してしまうのは、やはり、作家が急性肺炎で早逝したことを知ってしまっているから。そして、札幌。数は少ないながら、作家が見たであろう景色がありありと浮かび、その眩しい白に押しつぶされそうになる思いには、いたく共感を覚える。そういえば最近ようやく卒論の夢を見なくなったなあ。札幌の冬空って重いんだよねえ。冬、長いし。
どれも関西風(と言っても大阪の、ではなくて京都の。偏見だろうけれど)のサービス精神溢れるユーモアに満ちたエッセイなのに、何故かしんみりとする。泣き笑いするいい本。
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岸本佐知子さんきっかけで知ったのだが、岸本さんのエッセイ同様みずみずしくて味わい深い文章だった。とくに「病院の夜長」のマニキュアを落とす女の子の描写、「女の子は自由だ。」という締めがすばらしかった。あと「書道ガール」の雅号「生盛」には爆笑してしまった。
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どれをとっても面白いです。すべては孫のため、祖父手製の飛び出し坊やしょうちゃんが3つ置かれた道を通う小学校生の著者、祖母のこだわりの腹かけを着てプールのための着替えにのぞんた保育園生の著者がお気に入りの話です。
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2017年に永眠された赤染晶子さんのエッセイ集。
55篇plus岸本佐知子さんとの交換日記。
ユーモアたっぷりに描かれた日常が、ついこのあいだのことのような気にさせる。
温もりを感じさせるエッセイ。
とくに印象に残った3篇。
〈書道ガール〉雅号が「生盛」とは立派以上のものを感じてしまった…でも「村上弘明」がしっくりくるなんてお母さん最高だわ。
〈新記録〉確かに私も一時期よく編んだ。もちろんマフラーに始まり手袋もベストにセーターまで。
模様編みに凝りすぎてめちゃくちゃ毛糸を使用して、ずっしり重かったベスト。
編むのも着るのも肩が凝るので、今は編み棒を持つこともないが…。
「手袋の右手、四つ」には笑ってしまった。
〈いずこへ〉美術館へ行くたびに気にはなっていたイヤホンガイド。借りたい気持ちはあるのに借りる勇気がない。(ここに出てくるおっちゃんの勇気⁇なんて真似もできないことだが)
まぁ、いいか〜と思ってしまう。
だけど次回、足を運ぶことがあればぜひ借りようと思った。
岸本佐知子さんとの交換日記もとても楽しめた。
中学時代に男子と交換日記をする同級生がとても羨ましかったことを思い出してしまった。
過ぎ去った青春の日々…。
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こんな風に世の中を感じ表現できる人が、今はもう居ないなんて。
出版までを支えた多くの人たちに感謝です。
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とても楽しかった。ジワジワくる感じ。かと思えば切ないとこもある。現代を生きる関東人としては、一昔前だったり関西だったりの、良くも悪くもゆるくて適当で他人の領域にズカズカ踏み込んでいく感じに憧れてしまったり。無いものねだりなんだろうけど。
著者の新しいエッセイがもう読めないのかと思うと残念でならない。
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方々で話題になっていたのでbbbで買って読んだ。芥川賞を受賞した小説家だというのは読み終わるまで知らず、シンプルにエッセイとして楽しめた。しかも2017年に若くしてお亡くなりになっていることを知り新しい作品は読めないのかと思うと寂しくなった。
本著はエッセイ集で京都出身の彼女の身の回りのことが朴訥に語られている。特徴的なのは言い切りっぷりと一文の短さだと思う。子どもの口調のような短文、言い切りの連発で最初は面食らったけど、独特のリズムがあり、読み始めてすぐにそれが癖になり途中からはすっかり夢中になっていた。なおかつギャグセンスもハンパなくて声出して笑った箇所が何箇所もあった。本で声出して思わず笑うことはほとんどないけど、リズムとセンスの掛け算でオモシロさが爆発していると思う。ずっとふざけているのかマジなのか分からないテンションでエッセイが続き、ラストを飾る翻訳家の岸本佐知子との交換日記は2人が楽しくふざけている様が読めて楽しかった。小説も読んでみようと思う。