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【収録作品】六十五歳デス/太っていたらだめですか?/異世界数学/秋刀魚、苦いかしょっぱいか/ペンローズの乙女/シュレーディンガーの少女
「六十五歳デス」プログラムされた死が65歳前後に訪れる世界。ヒロインがかっこいい。著者は「かっこいいおばあちゃんを書きたかった」と言っているが、65歳は「おばあちゃん」ではないと思う。
「太っていたら……」肥満者を集めた公開デスゲーム。出場させられた女性たちはタッグを組んで抵抗する。
「異世界数学」数学嫌いの女子高生が、数学を禁止する異世界に飛ばされる。
「秋刀魚、……」秋刀魚が遠い過去のものとなった世界。少女は小学校の自由研究で秋刀魚の塩焼きを再現しようとする。再現方法が未来だった。
「ペンローズの乙女」フェルミパラドックスとのこと。時間軸の長い話だというが、途中からついていけなくなってしまった。
「シュレーディンガーの少女」「量子自殺」のアイディアに触発されたという。多世界解釈とあるが、これまた私には難しかった。
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ディストピア×ガールがコンセプトのSF短編集。最初の65歳で確実に死が訪れる世界で恰好良い老女が少女と出会う「65歳デス」や肥満者が公開デスゲームに強制的に参加させられる2話目「太っていたらだめですか?」はそうSF色は強くないけど、最終話の表題作と1話前の「ペンローズの乙女」は結構濃いSF。頭使った。どの話にも何らかの喪失があるがコミカルに纏まったり寂寥感が残ったりとバラエティ豊か。コンセプトは「65歳デス」が一番合致していると思う。これと生贄の風習がある島に流れついた少年の話から超壮大な世界に繋がる「ペンローズの乙女」の雰囲気が好み。失われた秋刀魚の味を再現しようとする少女の自由研究「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」そう遠くない未来に起きる通過点に自分が立っている気がしてならない。
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女子が多種多様な理由で理不尽に退場させられる未来を描いたライトSF短編集。一話目の「六十五歳デス」がわりと好き。
■六十五歳デス:65歳になると強制退場の世界。64歳の紫さんの潔さがいい。母性と伝承の物語。
■太っていたらだめですか?:デブコンテストで負けたら強制退場の世界。いくらなんでもありえなすぎか。
■異世界数学:数学禁止法で強制退場の世界。かくれんぼの人数問題でひっかかりそうになった。
■秋刀魚、苦いかしょっぱいか:秋刀魚が食べたくなる話。強制退場無し。
■ペンローズの乙女:生け贄で強制退場の美少女に恋する少年。ドレイク方程式。
■シュレーディンガーの少女:生き残り確率50%の量子自殺
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満足度高めのSF短編集。SFぎらいでも読めた!どころか引き込まれた!
・六十五歳デス
完全ディストピアの世界観に強おばあちゃん入れて、漫画映えすごそう。読んでる間すごく脳内で映像化できた。紫さんかっこよすぎる。
・太っていたらだめですか?
いちばん血なまぐさいのに友情エンドでよし、とはならない。短いから箸休め的なギャグなのか?
・異世界数学
好き。キャラも立ってて小ネタも楽しい。
タイトルまんま。
・秋刀魚、苦いかしょっぱいか
視点をちょっと未来にすることで秋刀魚にノスタルジーを感じさせるの天才。秋刀魚食べたくなったしSFに地続きの未来を唯一感じられた。SF苦手でも触れやすい。
・ペンローズの乙女
孤島の少女に漂流少年が初恋、っていうと可愛らしいけど独特な因習が出てきて……で終わらない視点構造が好き。
・シュレーディンガーの少女
さすがの表題作。これ最後に持ってくることでいい感じに締まるしまとまりもいい。ガール・ミーツ・ガールAI、切ないこの読後感も無限の世界のひとつ……
面白かった!!
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★なんでも早めに引退するのが好きでね(p.40)
[○]「六十五歳デス」/カッコいいおばあさん/人口減らすため六十五歳前後で死ぬ人工病原体/六十五歳までにしたいことリスト/喫煙率増加/死の恐怖を癒す無免許医/自分と同じ痣のある少女を引き取る/少女との心の交流。
[△]「太っていたらだめですか?」/政府が行う肥満者撲滅デスゲーム。その(二重の)結末は?
[△]「異世界数学」/数学は好きやけど(ほとんど忘れてるけど)、さすがにこの展開は無理あらへん?/ま、も一回数学を学び直したくはなりました。
[○]「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」/まさか秋刀魚の塩焼きをSFにできるとは・・・
[△]「ペンローズの少女」/地球外知的生命体との遭遇率/コンデイ島=生贄の島/漂流してきた少年ヨーイチとコンデイ島の美少女サヨ/ペンローズ族。
[△]「シュレーディンガーの少女」/観測者/シュレーディンガーの猫実験/美少女アンドロイド対ゾンビ/時間軸の分岐/パラレルワールド/量子自殺。
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はじめましての作家さん
タイトル通りめっちゃ好物の理系ディストピアです。
しかも、シッカリ物理学や数学を題材にしているのに、お話として成立していて楽しかった。
作者はこれまで男性主人公ばかり書いていたのに、この作品では全員女性主人公にしてトライしたそうです。
ディストピア✕少女✕理系=面白い
を、松崎有理の定理とします。
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爆発的ではないけどジワジワおもしろい佳作揃い=かなり好みの面白さ。
この本を読まない世界、まだ読んでいない世界...どうなってるのかな。
本筋と全く関係ないけど、高校の描写が完全にあの場所でニヤリとしてしまった。
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またまた、本屋で帯とタイトルに惹かれて買いました。創元SF文庫だ。SFなんだ。
文字が小さくて詰まっているけど、難解な言い回しはないので読みやすいです。
「六十五歳デス」デスはdeathとかけてあるのね。人口の抑制のために、65歳で死ぬ世界。個人的にはそれもいいかもと思うけど、そのために、技術が継承されなかったんじゃないかっていう所は、そうでなくても、されていかない気がする。この話に出てくる「紫」さんが、64歳だけど、かっこいいです。
「太っていたらだめですか?」政府主催ダイエット王決定戦って、そこまでやるんですか?ノリはいいので笑って読めます。でも、あんまり好きじゃないかな。
「異世界数学」数学の苦手なエミが、数学を禁止された世界に紛れ込んでしまう話。面白かったです。中に出てくるヒルベルトさんの宿屋の話も面白かったです。こんな話、先生がしてくれたらいいのに。
「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」近未来の小学生が夏休みの自由研究で、失われた秋刀魚の塩焼きの味を再現する話。これも面白かったです。学童用アシスタントAIが、「現在、自分の力でがんばりましょうモードを実行中です」と言って、手伝ってくれないところで笑った。
「ペンローズの乙女」作者は東北大の理学部出身なんだっけ、と思い出させる話。途中、物理関係の話題は正確には分からない。でも、この終わり方は嫌いじゃないです。最後の一文の意味を私は捉えきれていないと思います。
「シュレーディンガーの少女」何度か読み返さないと私には分からないと思う。なんとなく感覚的には分かるんだけど。設定は面白いし、話の流れも面白いけど、基礎知識があるときっともっと面白いと思われます。学問が高度になってくると、数学は哲学に、物理は数学に、化学は物理に、生物は化学に寄っていくと聞いたけど、物理学は哲学までいっちゃうのね。この前読んでいて途中で挫折したブルーバックスとか読めると、ちょっとは変わるかな?
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SF小説は恐らく初挑戦?だったかも。「六十五歳デス」や「異世界数学」は設定が面白かっただけに、もっと物語を広げて、長編で読みたい気持ちになった。秋刀魚の話も良かった。
最後の2編くらいは、話がなかなか理解できないところもあったので星3
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「ディストピア×ガール」短編集。
様々なディストピアの世界でたくましく生きる女性たち。
とくに以下の二作品が好きだった。
「異世界数学」
数学嫌いのエミが、なんと数学が禁じられた世界に迷い込む。
私は数学が苦手なため、著者は苦手な人のためにも分かりやすいようにと工夫したそうだが、数学に関しての描写はよくわからず正直ななめ読み…笑
けれども、現実世界は数学でできている!ということを実感させられました。
「シュレーディンガーの少女」
自分が選択した世界とそうでない世界があって、それぞれの世界には違う選択をした少しずつ違う自分が住んでいて…なんていう解釈がおもしろかった。