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1975年だからかなり古いショート集
懐かしいにおいがする。魔法のランプ、タイムパラドックス、アルジャーノン、ベンジャミンバトンなんかも読める。楽しいな。
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「異色作家短篇集」より「幻想と怪奇」かな、二昔くらい前のSFホラーの掌編アンソロジーという感じで、懐かしくて愉しい。意外とアイデアストーリーでなく、「地下室のなか」あたりが典型だが、オチの分かりきった話を語り口で読ませる話が多いのが意外でもある。
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あの伊藤典夫さんが32歳で初めて編んだアンソロジーの増補復刊。1975年当時のあとがきでは「SFを中心とするファンタジイの花畑で」と書いているのに対し2022年12月の追記では「ぼく自身、この頃までのSFとファンタジイにもっとも愛着がある」と、SFとファンタジイを分けて並記しているのに、時の流れを感じます。収められた短編はどれも女性蔑視や女性嫌悪が如実なのがちょっとつらいですが、初出一覧をみればほとんどの作品が1950年代の作なので、そうした時代のなかで産生された作品として味わうしかないでしょう。粒より揃いなので悩むものの、ベストはアラン・E・ナース『旅行かばん』。
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翻訳ってこともあるだろうけどショートショートは日本の方がレベルが高いと思う。
『吸血鬼は夜恋をする』はよかった。
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・伊藤典夫編訳「吸血鬼は夜恋をする」(創元文庫)を読んだ。「SF&ファンタジイ・ショートショート傑作選」と副題がつく。本書は創元の SF文庫の1冊である。これくらゐ の副題がついても当然であらう。作者には私が知らない人のほうが多い。もしかしたらここにはSFで有名な作家が多くゐるのかもしれない。しかし私には分からない。私に分かるのは、マシスン、ブラッドベ リ、ライバー、コリアぐらゐなもので、この23編中ではほんの一握りである。ただマシスンは本書に多く入つてゐる。ブラッドベリは1編しかないのに、マシスンは5編入つてゐる。嗜好の差であらう。SFに詳しい人ならば、これを見て伊藤典夫の嗜好性を知ることができさうな気がする。それほど多くの作品のアンソロジーである。ただし作品は短い。ショートショート傑作選といふ だけのことはある。長くても10 ページ程度である。難しい作品はほとんどない。好みはあらうが、それは気にしない。
・レイ・ブラッドベリ「お墓の引越 し」はこの人らしい作品である。婆さまがシモンズの墓を引つ越すこと にした。簡単に言へばこれだけのことである。その中で婆さまはいろい ろと言ふのである。初期のブラッド ベリの嗜好がよく出てゐる作品である。墓場と言ひ、婆さまと言ひ、骨と言ひ、これらはブラッドベリの好きなものであらう。マシスンの最 の作品は「死線」である。妻の出産をひかへた大晦日、医師のビルは急患の電話で呼び出される。急患の老人の言ふことに「わしは一歳だ」(27頁)……さうして妻は無事出産をした、新年の最初に。といふわ けでビルは愕然とする。つまり、「毎週毎週二歳ずつ年をとってい」 き、一年で死を迎へる人間がゐるといふことである。3番目のマシスン、「白絹のドレス」は少女の話、妄想とでも言つてしまへば簡単なのだが……母が死に、祖母に育てられてゐる。メアリ・ジェーンと遊ぶが仲違ひする。さうして閉じ込められる。母親思ひの娘のありがちな妄想、たぶんそんなところなのだが、かういふのはショートショート向きのラストである。4番目の「わが心のジュリー」も同様である。最後の「このつぎは何かもっとおもしろい方法を考えよう。」(207頁)で この女がいかなる女かが分かる。つまりはすべて仕組まれていたといふことである。しつこいが5番目は「コールガールは花ざかり」であ る。この場合は、コールガールの訪 問を受け続けてゐて、それを警察等に報告するのだが何もしてくれないのでいよいよ引越しかといふところで、新たに「軽快なスポーツ・コー トをきた、ハンサムな、口ひげのある若者がいた。」(301頁)もちろん言葉は「奥さん、いる?」(同前)である。今ならさしづめホストといふところであらう。女から男に転換してまた続くのである。2番目 は手話をする女とそれを読む女の物語「指あと」、しばらくさういふ場面が続き、「わたし」との会話になる。さうして最後に読む女が欲情 (?)するが、結局はもとにもどる。ただし手話をする女は「ちらりと見えた顔は興奮に上気していた。」(71頁)といふわけで、どうやら見せるためにやつたらしいと知れる。といふわけで。ショートショートはラス��が命である。それがいかなるラストになつていかに意 表をつくか、これがポイントであ る。マシスンも苦労してゐるやうだが、見え見えのもあり、苦労してゐるらしいと知れる。
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吸血鬼もののアンソロジーだと勘違いしていたが、SFファンタジーとしっかり書いてあった…。読みやすいけど思ってたのと違ったのでざっと雰囲気だけ味わった
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短編集。ショート・ショート。
SF。ファンタジー。ホラー。
1930~1960年代の作品集。
ショート・ショート自体も、作品のジャンルも好きなこともあり、かなり満足。
全体的にはホラー作品に好きなものが多かった。
好きな作品ばかりだが、ベスト3を挙げるなら以下3作。
リチャード・マシスン「白絹のドレス」
クロード・F・シェニス「ジュリエット」
フレデリック・ポール「デイ・ミリオン」
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「アンソロジー」という言葉のもとになったのはギリシャ語で「花々を集めたもの」という意の「anthologia」に由来する、というのは読書家の方ならひょっとしたらどこかで一度は見聞きしたことがあるのでは、と思うが、本書は装丁の色味イメージも含めて、翻訳の感じなども‘ワインレッド系統でまとめられたシックな花束’という印象を受けた一冊。とはいえただ落ち着いて地味な訳ではなくて飄々とした居ずまいが魅力。
延べ19名にわたる作家の作品32編を収録。
初出が飛び抜けて古いものには1932年発表という作があるが、全体的には50年代〜60年代の作品ばかり。風刺だったり世相を反映したと思しき作品も見受けるため一筋縄では理解に至らない、手強い読書だった。
気になった話をいくつか。
《指あと》…リチャード・マシスンによる1962年の作品。男がたまたま夜のバスに乗り合わせた、聾唖者とその介助者という女性二人組。なんということもない一風景だったはずが、徐々に女性らから妖しく蠱惑的な気配が漂い始め…という微ホラーな作品。この頃のアメリカにはさすがにまだノーマライゼーションという考え方は無かったと思うので、聾唖者や社会的に弱い立場だった存在が、強い立場のビジネスマン風の男性(スーツケースを持っているという描写より想像)を性的に制圧する、というカウンターの様な風刺が込められているのではなかろうか??
《一ドル九十八セント》…アーサー・ポージスによる1954年の作品。ポージスは大学で数学を教えていた、という背景もあってかキチッと整然としたオチが超気持ちいい。最後の1行までどうまとめるのか、まとめられるのかやきもきさせられる。エクセレント。
《わが心のジュリー》…リチャード・マシスンによる1961年の作品。発表時の名義はローガン・スワンソン。これぞどんでん返しの手のひら返しのしっぺ返し。‘己が優先権を持っていると、いつから勘違いをしていたんだ?’非モテをこじらせた男の、青春ホラー。こういう話は遍くいつの世にも絶えないものですね。というか、‘男は本能的に支配欲・征服欲が強いのは狩猟を担っていた時代の名残’っていう言説は今も通用するのだろうか。人間以外にもハーレムを作る動物はいるよね。あ、でもそれは無理矢理服従させてる訳ではないのか…。
《ジュリエット》…クロード・F・シェニスによる1961年の作品。フランス人小説家・医師。女性的な自我・人格を備えた車と、所有者の男との交流を描いた作品。今でこそよくあるっちゃある話だけど互いの間に流れる空気の甘やかさ・洗練具合はさすがフランス仕込み。
《選択》…W・ヒルトン・ヤングによる1952年の作品。イギリス人小説家。たった2ページ弱の極短編。もしも未来へ行って戻って来たら、何を見たのか覚えていたくない気持ちについて考えてみるなど。
《恋人たちの夜》…ジョン・コリアによる1934年の作品。コリアはロンドン生まれの作家・脚本家。本作も舞台はロンドン。天使と悪魔という非常にわかりやすい対比を用いた恋人たちの群像劇。世界恐慌に端を発する不景気の波は天界と魔界をも直撃した、という始まり方はユニーク。資本主義世知辛い。せめて恋人と過ごしている時くらいは無上の幸福に包まれていたい、というのは当然だろう。
《コールガールは花ざかり》…リチャード・マシスンによる1956年の作品。喜劇だと思うんだけど、今ひとつよくわからなくて逆に印象に残った。作中舞台は1975年の設定なのでちょびっとだけ未来を描いた作品。もしかしたらマリリン・モンローの活躍という出来事、女性の性的魅力を全面に押し出した彼女のスタイルを‘娼婦の訪問販売のようだ’と風刺したもの、ということだろうか??
《不滅の家系》…マイクル・シャーラによる1956年の作品。ホワイトカラーの成金富豪に対する皮肉がすごく利いていて面白い話。しかし、家系を原始時代まで遡れるという設定も無理矢理だけどユニーク。
《ふるさと遠く》…ウォルター・S・テヴィスによる1958年の作品。のどかなファンタジーで〆。少年の紙袋に入っていたのは一体なんだったのか。ゲーリック語ってアイルランド圏の言葉?妖精かなにかだろうか。そして少年のひとつ目の願いとはなんだったのか。プールにリヴァイアサンがいたらそらびっくり仰天どころじゃないけどなあ。
1刷
2024.5.18