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銀行とデザイン デザインを企業文化に浸透させるために
著:金澤洋, 金子直樹、堀祐子
デザインを活用してその価値を高めようと奔走してきたが、ここにきてようやく「デザイン」という言葉が社内外に受け入れられるようになってきた。
サービスやプロダクトの品質を上げるために、銀行という組織の中でどのようにデザインの重要性を伝えてきたのか。それを行うためにどのような課題があり、どう乗り越えてきたのか。うまくいったことだけでなく、失敗や反省点も含めての取り組みが紹介されている。
本書の構成は以下の5章から成っている。
①銀行のデザインシフト
②チームとしての始動
③デザインチームの足跡
④デザインチームの今
⑤これからのデザインチーム
餅は餅屋と言われるものの、そんな枠組みもなくなりつつあるのかもしれない。経営や実務やデザインもそれぞれが個別にあるのではなく、それを踏まえて、理解した中でいかにお客様に対して便利さ・使いやすさ・使い心地を提供できるか。ビジネスや収益目線でそれを提供するのではなく、まずは顧客ファーストが実践される必要がある。
デザインや美意識等、つい最近までは、ビジネスの世界とは距離があると思われた概念がいまや、壁にぶちあたったビジネスを救い出す救世主的な扱いで取り扱われている。
今の時代、協働でデザインを外注したり、協力を仰いだりすることだけではなく、内製化したり、それだけではなく、一人一人の意識の中にその概念を植え付けて学ぶことが求められる。
餅は餅屋ではあるも、それだけではないと思い、貪欲に首を突っ込んでいきたい。
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インハウスデザイナーが当たり前ではなかった銀行において、2016年に1人目デザイナーが入社した時から、デザイン文化を社内浸透させ、組織拡大にあたって試行錯誤したことが具体的内容をもって解像度高く説明されている。
打ち合わせに何でも顔を出す、やれることは何でもやることにより社内の信頼を確保。縦割りのプロジェクトが多い中、上記ステップを踏まえながら表層の見た目だけではない全体を横串で見た提案を行うなど、デザイナーのプレゼンス獲得にあたってのマインドセットとプロセスショウ
外部パートナーのデザイナー とは役割の違いを認識しつつ、場合によってはいい意味で垣根を作らなくするなど、柔軟かつ連携のとりやすい関係性を作っていった。
上流工程からデザイナーが関わるために、リサーチ文化醸成のために、重複プロジェクトを出来るだけなくして横断的かつ全社的な開発体制とするために、ワークショップや社外を含めた発信は積極的に
・2016年はじめてのインハウスデザイナーが入社
・ネット銀行などが交流してきており、スマホを使う若者にとって使いやすいUI/UXが銀行選びのポイントになっていた
・外部デザイナーとやりとりをしてデザインの有用性を認知、会社の内側から変えるために社員として採用することを推進
・デザイナーへの理解がまだまだの中、以下のことを実践した。
①とにかく顔を出す(何でも会議に出席)
②できることはなんでもやる(パワポのリデザイン)
③ちょっとした相談が増える
④領域が増える
⑤全体の動きが見える
⑥横串でデザイン提案もできる
①…
・少し抽象化すると以下の4ステップ
①デザイナーとしての信頼を積みあげる
②ユーザーにとって価値あるサービスを作る
③複数チャンネルのデザインを統一して、シームレスにつなぐ
④価値あるサービスを生むための仕組みを作る
・表面的なデザインだけではなく、企画スタートの初期から参入、UXから良くしていきたい旨を伝える
・地道に信頼を勝ち取っていくことで、人脈も拡がり、上流に加わるチャンスも生まれてくる
・経験豊富なデザイナーにアドバイスを求め、以下を賜る
【よくない点】
・他のデザイナーが何をやってるか把握してない
・各自が業務でいっぱいいっぱい
・将来の見通しがたたず、このままでよいか不安なまま業務してる
・どんなに頑張っても何も変えられないと思ってる
【やるべきこと】
・インハウスと受託デザイナーの違いの認識合わせ
・デザインチームの連帯感強化
・チーム一体化のためのミッション策定
・ミッション策定のためワークショップ実施
①各デザイナーが考える理想の状態を書きだす
②理想とのギャップを課題として洗い出す
③課題を分類する
(operation, management, process, culture)
・デザインチームとしての方向性を決定
・デザインチームのミッションを策定
・デザイナーのプレゼンス向上のため、デザイナーが入ったことによる効果(before, after)���わかりやすく提示 ※数値実績があるとなおよし
・企画担当者にUXデザインの重要性を理解してもらう(お客様にとっての理想の体験とは何か、お客様のゴールは何かを自然と考えられる)ために、社内で課題発見ワークショップを何度か行った。具体的には↓
①ペルソナになりきってサービス体験をするウォークスルーを実施
②社内のサービスを俯瞰するワークショップを実施。サービスブループリントを作ってお互いの認識合わせをした。 ※似たサービスが複数存在するときに共通点の洗い出し&一本化するために有効
・社外へのプレゼンス向上、人材獲得のためデザイナー向けイベントに登壇、note発信
・国内外のアプリベンチマーク(○×表作り)
・デザイナー自身がサービスを体験する
・迷わないための軸設定
①なぜこの色?→トンマナで悩む→ガイドラインに立ち返る
②なぜこの使い方?→機能の方向性で迷う→コンセプトに立ち返る
③使いやすい?→画面設計で迷う→ユーザーテストの結果を振り返る
・オンラインのロビーがコンセプト
・リニューアルプロジェクトの進め方
①スコープを決める
特に全体の構造に影響するヘッダー&ナビゲーションについて
②ステークホルダーを明確にする
③古いページで、削除できるものは削除する
④リサーチの実施
定量調査、ユーザーテスト、デプスインタビュー、カルチャーコードの調査
⑤コンセプト策定
⑥古いページのブラッシュアップ
・改善のポイント
①文字量の削減&図解の併用
②イメージの被りがちなストックフォトは使用せずにオリジナルイメージを使う
③スマホ、タブレット、PCが個別に作られてる(レスポンシブ対応していない)ならそれを見直す
④手続き中にさまざまなリンクが置かれていて別ページに遷移できてしまう(離脱しやすい)→文脈と関係ない動線は極力省く
⑤ボタンにはレベル(6レベル)を持たせて優先順位づけ
・プロジェクトごとに縦割りで見えにくいユーザー体験→一連の流れを可視化するストーリーボードをみんなで作るワークショップを実際
・ストーリーボードのイラストレベルはある程度イメージがしやすく、でも描き込みすぎないレベル
・デザインシステムの作成
①OKNG例の記載
②UIの用途説明
③近しい用途のUI同士を比較してのメリットデメリットの記載
④エラー&エンプティステートでは理由、解決策までわかるよう記載
※ショックや不安を煽らないようなライティングルールも定義
⑤アクセシビリティはWCAGに準拠したカラーコントラストで担保
・デザインシステム作るまでの段取り
①いつまでにどんなシステムを作るかの認識合わせ
②コンセプトを決めて、社内を巻き込んで問題提起
③デザインシステム浸透後の未来説明
④デザインシステムを企画担当に使ってもらう
・企画担当者をデザイナー化するとりくみ
①ワイヤーフレームやライティングの勉強会
②デザイナー以外も参加できるレビュー会
・過去プロジェクトのプロセス洗い出し
→理想のプ��セスと照らし合わせ、何が必要だったかを確認する
・カスタマージャーニーマップマネジメント
→全社横断的なマップを作ることで重複案件を避ける、プロジェクト間の連携を強化する
・ライティングのポイント
→無駄な言葉を省く
→長すぎる分は分ける
→抽象的な装飾語ではなく、具体的な訴求ポイントとして書き出す
→専門用語、社内用語を避ける
→過剰な丁寧語は避ける
→結論は最初に伝える
→主語を明確にする
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SMBCでの実体験を基に、デザインの重要性がわかる良本でした。
自分もIT企業で企画を担当する1人として、デザインの重要性を理解していますが、「デザイン=画面の見てくれを良くする」という考えの人もまだまだ多いのではないかと思います。ビジネスデザイン、デザイン思考、という言葉もありますが、ビジネスにおいていかにデザインが重要か、多くの人に読んでもらいたい本だと思います。
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インハウスデザイナーが企業に入り込んで改革していく流れを追体験できるような本。概要レベルだけど、それでもデザイナーが泥臭い仕事をこなしているということを理解するには十分だった。
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銀行のインハウスデザイナーがサイトやアプリのデザインを改善したプロジェクトの話。
単にデザインの話だけでなく、プロジェクトマネジメント的な視点の話も多い。
読んでみると、改善ポイントは「そりゃその方がいいよね」という部分が多いが実際にそれを精緻に実現したところが素晴らしい。
人が動くUIを考える面白さを感じた。
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インハウスデザイナーがどのようにしてデザインの考え方を組織に浸透させたのかよくわかりました。詳しくは触れられていませんが、パートナー会社の負担も大きいんじゃなかったかなぁ、と思いました。
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・体系的な話が読みたい方
・そんなことはいいから今使えるTipsが知りたい方
どちらが読んでも、持ち帰るもののある本。
仕事仲間から「デザインが素敵になったからってお客さんが増えるわけじゃない、そこにはお金も時間もかけられない」「UXデザインって、どうせ一時の流行りなのに。社員みんながデザインだけできるようになっても、流行りが終わったら役に立たない」という言葉をもらい、苦しい気持ちになった。
デザインという言葉の一般的なイメージ(ビューティフィケーション、アート)に引っ張られる傾向がある。「顧客体験を設計する工程」が無用、とは誰も言わないはず。
企業文化を100%変えるのは困難だが、20%でも、10%でも、変わらないよりマシなんだし、伝えることを諦めてはいけないと思った。
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この本自体がすごいデザイン。
目が覚める思いだった。デザインに携わる仕事を20年やっているが、ここまで会社を動かそうと思って仕事をしたことがなかった。
一番参考に買ったのはデザインシステムとライティング。特にライティングはデザイナーの仕事ではないと考えられることが多いが、ユーザにわかりやすく伝える文字のデザイン。
デザインシステムはコツコツ作り続けていこうと思う。
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本腰入れていていいな。他部署と連携して話を進められるのは意識改革もそうだし良いものが作れて羨ましい。
カラーについての記載もあったけど白黒だからメイドしか分からない…そこまで大きいことでもないけどせっかくならフルカラーが良かったな。
あとわかりにくい文章をわかりやすくする流れはあるあるで直せていいな〜〜と思った。
長ったらしくて分かりにくい文章のオンパレードだけどそこを直すのは後回しにされてずっと治らないままなんだよね…
インハウスデザイナー経験してみたい。
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具体的であり、かつ実践型。
苦難を包み隠さず提供してくれる。
対象者は、デザインの意味を理解したい人、理解を広めたい人。
但しここで言うデザインは単なる見た目ではないことが注意。
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組織に属するインハウスデザイナーだからこそできること。ただクライアントから依頼されてデザインを作るのではなく、組織を巻き込んでデザインの力で顧客満足を追求していく。
デザイナーもここまでやれる。
けっこうダラダラ読ませてくるので、ノンフィクションのストーリー仕立てにしたらより理解しやすかったかも。