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かわいい表紙だが、さすが哲学者が書いていることもあって読み応えがある。
今はスマホから簡単に刺激を得られる時代だから、難しいこととか、消化しきれないこととか、モヤモヤすることは遠くにやりがちだ。これらのことと向き合うには、他者から切り離され、自分自身と向き合わなければならない。
そこで筆者が薦めるのは趣味を持つことだ。ただし、ここでいう趣味はSNSで見せるためのものではダメで、何かを育てたり、作ったりするものだとする。昨日の作業で作られたものはすなわち昨日の私であり、今日の作業を通して私は昨日の私と対話する。そんな経験が今の時代には必要だと筆者は言っている。
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だーっと話が進んでいくことに私の頭は追いつかなかったけれど、それでいいのだと思う。つまり、「感じた」ものがあった。映画「君たちはどう生きるか」を観た人の感想が二分されているのを興味深く思っていたけれど、その事とこの本は近いところにある。私のなかで。
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学生選書ツアー2023選書図書
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https://sistlb.sist.ac.jp/opac/search?q=9784799329139
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個人的に著者のことが好きになれなかったのが残念
やっぱり好きな人の言葉のほうが刺さると実感できたのは良かった
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スマホにつなぎっぱなし、SNS見っぱなしでは、寂しさは募るだけ。一人で何かを作る趣味を持とう。
言ってることはどこにでもある内容だが、そこに至る引用(有名な哲学者からエンタメアニメまで)がなかなか読ませる。
いくらか、うーん?そうかな?って思うこともまた哲学書の醍醐味。
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哲学書っぽくて読み進めるのに時間がかかった
自己啓発させ問題解決を求めると責任を個人に向かわせ、環境が悪くてもそちらは変えなくて良い事になる
というのは新鮮だし納得だった
スマホによる人への悪影響はやはりよくないなと以前に増してさらに感じた
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自分自身への過剰な関心は、自分の中にあるたくさんの声を押し殺して、自分の中にある対立や矛盾をなかったことにして、「今の自分が自分の声だと思っているもの」を増幅させかねない。
現代は孤立がないため、孤独になれない、孤独とは自分と自分が対話するために必要なものであり、寂しさのせいで、快楽的な娯楽で感覚を麻痺させて、孤独の暇をなくしている。孤独は自分自身の対話を通して自己を作り上げていくプロセスともゆえる。
好意と敵意のいずれも、寂しさの現れであり得る。
もっと感情を働かせるために、そしてもっと自分らしく感じるために、私達は接続する。ところが、どんどん接続しながら、私達は孤独から逃避している。そのうちに、隔絶して自己に意識を集中する能力が衰えていく。ひとりきりで考える習慣がないと、自信をもって堂々と自分の考えを話題にのぼらせられなくなる。協調する力がつちかわれない。革新も生まれない。それは常時接続によって衰えていく、孤独を味わう能力を要するものだからだ。
(シェリー・タークル)
寂しさに振り回される時、人は一人ぼっちだ。自分の心から多様な声が失われ、たった1つの声だけを発する一枚岩の人間になってしまう。一枚岩の人間は、自分の中の目立った声を反響させて増幅し、自分の内面ばかり気にするか、他者の声に飲み込まれそれを「自分の声」と同一視してしまう自体になりかねない。寂しさは他者を求めているようで、実際には自分が依存したり都合よく扱ったりできるような限りでの他者を求めているという点で、自分への強い関心の延長線上にある。スマホが可能にするマルチタスキングや諸々のつながりは、こうした自意識を刺激し、増大させるところがある。
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p116 スマホを通じで注意を分散することに慣れた私たちは、スマホを使っていないときでさえ、気もそぞろで対面のやりとりをしているらしいのです。
p118 一つのことに十分注意を向けて、それについてあれこれ考える習慣そのものが衰退しているのだとすれば、やはり孤独が重要になってきます。
p121 ハンナ・アーレント 孤独を3つの様式に分けている
孤立 isolation 孤独 solitude 寂しさ loneliness
孤立は何らかのことを成し遂げるために必要な、誰にも邪魔されずにいる状態を指しています。創造的・生産的なことでなくても、何かに集中して取り組むためには誰かが介在してはなりません。
孤立は、何かに集中的に注意を向けるための条件になっている
孤独 沈黙の内に自らとともにあるという存在のありかた
孤独にあるときの私たちは、心静かに自分自身と対話するように思考している
p123 寂しさは他の人々と一緒にいるときに最もはっきりあらわれてくる
p124 常時接続が可能になったスマホ時代において、孤立は腐食し、それゆえに孤独も奪われる一方で、寂しさが加速してしまうのにも関わらず、私たちはそうした存在の仕方の危うさに気づいていないように思えます
p130 衝撃と向き合うためには孤独が必要であり、いつもで何でも安易にネットに発信したり、だれかとすぐにつながってばかりいたりするのは、なにか大事なことを見失うための努力をしているようなものです
p131 自分の感情や感覚を何かで埋めたり押し殺したりせず、適切に理解し位置づけていくためには、自分の心を侵している情緒に目を向ける必要があります。そのために、孤立が必要です。スマホをつかって安易に接続したり、刺激を入れたりしないことです。そうしてはじめて、私たちは自分自身をみつめ、自分自身と対話していく反芻処理の時間を、つまり孤独を持つことができると考えるべきではないでしょうか
p135 SNSやゲームなどのオンライン生活を通じて自分と向き合い、自分を発見し、理解しようとするとき、私たちは、知らず知らずのうちにその場で暗黙に期待されている役割に合わせてしまうことがあります。タークルが指摘するように、そもそも私たちは、他人の目にさらされると、他人に合わせた自己(他人が期待する自己)、へと無意識に調整してしまいます。
p137 私たちが共有すべきスローガンは、「注意の分散に抵抗せよ、孤独を持て」です。
p138 タークルがいうように、ソーシャルメディアを最大限利用する人たちは、自分自身の感情を含めて、人間の感情をなかなか読み取れない傾向にあるのです。
シェリータークル つながっているのに孤独
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今自分がモヤモヤしてた部分を文章で表現して頂いた感覚が強いです。まさに孤独を避けるためにソーシャルな部分に没頭することで避けてきた感じがあります。一方でわ自分と向き合わないと、仲間といい話もできないんですよね。自分と向き合う時間を意識的に増やしつつ、仲間との時間を楽しんで行こうと思いました。良い本でした!
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エヴァや燃えよドラゴンなどエンタメを引用してくれるので、その部分は引き込まれるし印象にも残るのだけど、話が前後したり逆説みたいな言い回しが多くて読むのが大変でした。
本書ではモヤモヤをすぐ解決しようとせず、とことんむきあうべきと主張されているのですが、一方で哲学を含めて他の人の考えをインストールすることも言われている。それこそインスタントなふるまいなのでは?とどうしても矛盾を感じてしまいました。
哲学を理解しようとしても、初心者にむけた『3分で〇〇』といったインスタント書籍が目立つからですかね。
モヤモヤとスッキリのバランスを取るのは難しいけど、とにかく本一冊読んだだけで簡単にわかったような気にならない、ということは意識してみようかな。
この書籍をテーマにした読書会で、インスタントなコミュニケーションの話題になりました。SNS時代はすぐ解決を導きたがるインスタントな人が多いわけですが、親・部活・上司など「教えるほうも」すぐに答えを与えてしまう行為はインスタントだよね。という話がなかなか興味深かったです。
「ウチはウチ!ヨソはヨソ!」とか「つべこべ言わずにやれ!」って理不尽でモヤモヤさせるけど、大事なことだったんだな。
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たまたまなんだけど、直前に読んだ「さみしい夜にはペンを持て」と同じように、自分の時間、一人になる時間の大切さが書かれた本だった。本質的には同じことを書いているような気がするけど、視点や書き方が違う。「考えないのってそんなに悪いこと?」の考えることをより深めていく感じだった。
まあまず「自分で考えること」の危うさを指摘してくるんですけどね! 確かに自分で考えることって美化されがちだけど、結果出てくるものって良くて平凡、下手すると状況を悪化させるようなものも多い……。ではどうするのか? というと、自分を疑うことから始めるわけですが、ただただ疑心暗鬼になっても仕方がないので、考える技術を哲学から学ぼう、と繋がっていくのですね。
その技術の学び方として、知識だけでなく「想像力」もセットで学ばないといけない、という話が面白かった。想像力とは、知識の使いどころや使い方のこと。
この学び方、小説書く人は結構日常的にやってる気がするんですよね。資料読みのとき、お話のどういうシーンで使おうとか考えながら読むわけなので。
そして、そうやって他の誰かの考え方をインストールすることで自分の中に他の視点を持った自分を持つことで、自分自身と対話できるようになる。一人だと対話できないもんな……。
後半はスマホで常時ネットワークと接続される時代に、どうやって「自分の時間」を取り戻すか。エヴァンゲリオンの加持さんがスイカを育てているシーンを引用して〈趣味〉を持つこと、趣味を通して孤独になること、孤独の中でもやもやと向き合うこと。
これやっぱり私としては「小説を書くこと」なんですよね! あ~、書きたくなってきた~! 連続して書きたくなる本に当たったの、そういうタイミングなのかもしれないな。
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返事をするためじゃなく、相手を理解するために話を聞きなさい、と注意されたのを思い出した。スマホを一旦置いておいて、作る系の趣味に没頭する時間を作ってみようかなと思う
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途中エヴァの話は興味があまりなかったのもあるからなのかよく分からなかった。意識してSNS退会したり、ネット検索しないようにして以前よりはマシになったけどYouTube利用時間はいまだに長いと感じてるので減らしていきたい。みんながデジタル生活してる中、アナログ生活へ逆行していこう。
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【目次】
第1章 迷うためのフィールドガイド、あるいはゾンビ映画で死なない生き方
第2章 自分の頭で考えないための哲学―天才たちの問題解決を踏まえて考える力
第3章 常時接続で失われた“孤独”―スマホ時代の哲学
第4章 孤独と趣味のつくりかた―ネガティヴ・ケイパビリティがもたらす対話
第5章 ハイテイションと多忙で退屈を忘れようとする社会
第6章 快楽的なダルさの裂け目から見える退屈は、自分を変えるシグナル