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登場人物になんと訳ありの人物の多いことかびっくり、さらに内容が殺人事件でも通り魔による事件のその後を語っている。ホロっとする内容があったりトラウマに囚われている被害者の回復過程があったり、さらに殺人者も母親に頼るものなんだなと思ってもみた。
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浜村明香里26歳は渋谷の松濤のレストランで恋人で出版社に勤める東原航平と自分の誕生日のデートの待ち合わせをキャンセルされ、渋谷のスクランブル交差点を歩いている時、通り魔に斧で切りつけられます。
明香里は17か所の傷を負い重傷もう一人の女性も助かりますが明香里を助けようとした飯山晃弘という48歳の男性が、最後に「約束は守った…、伝えてほしい…」と言いながら亡くなります。
犯人は小野寺圭一26歳。
すぐにつかまり、拘置所に入ります。
小野寺は「こっちの世界に入りたかった」といい刑務所に入り、自分を捨てた母親に復讐してやりたかったとフリーライターの溝口省吾に語ります。
溝口は、自分の生立ちと似ている小野寺に共感し、小野寺の半生を本にして出版したいと思っています。
そしてなんと溝口は失意のどん底にいた明香里の恋人の航平の勤める栄倫社から本を出版することになります。
そして、溝口は航平の存在を知り、明香里に本の原稿を送りつけます。
明香里は実家を出て航平とも別れ、アルコールがなくてはいられない生活を一人で送っていましたが、その原稿を読み航平と再会します。
そして明香里は次第に立ち直り、航平とともに、自分の身代わりになって亡くなった飯山の最後の言葉「約束は守った…、伝えてほしい…」というのは誰に向けられたものなのか探そうとします。
飯山には身寄りがなかったのです。
ネグレクトについて書かれた小説だと思いました。
犯人の小野寺とライターの溝口はネグレクトを受けて育ちました。
しかし、身寄りがなくても飯山のように人を助けて亡くなった人間もいるのです。
明香里はいいます。
「飯山さんも私も罪の境界を超えなかった」
それが本作品のテーマだと思いました。
飯山の守った約束が最後にわかるのですが、泣かせます。
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罪を犯す人と踏みとどまる人の境界が描かれているのかと期待しながら読んだけど、期待外れ。
警察が捜査内容や個人情報をペラペラと喋るし、被害者も心の傷を追っているとは言えない行動。
あまりにも都合がよく進むし、被害者の心情や犯罪者の過去があまりにも薄っぺらく感じてしまった。
新人作家かと思ったらそうでもなさそうだし、もう1冊くらいは読んでみようと思うけど、期待はできない。
評価も悪くないみたいだが、私にとって久々に残念な作品に出会ってしまった。
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某作家さんが「◯◯さん(作家)は情景を思い浮かべながら書くって言うんだけど、僕は思い浮かべないし表現もしない。文字だけ」みたいな話しをされていて、そんな小説読んだことないなぁ、と思っていたのだが、本作はまさにそんな感じ。
景色とか心情はあまり描かれていなくて、セリフで進んでいく感じ。
それでも結末が知りたくて、面白く、読み進められるのだから、小説には色々な描き方があるんだな、と今更ながら思った。
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登場人物の誰にも共感できないのに、なぜか引き込まれて一気に読了。
この人たちはこれから一体どうなっていくのだろう…と、ページを捲る手が止まらなかった。
貧困や家庭内暴力が生む負のスパイラルをどこで断ち切るのか…
まるでノンフィクションを読んでいるかのようだった。
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スピード感を持って一気に読み切ることができた。端々に「うまく行きすぎでは?」という展開も見られたが、貧困や虐待などについて考えるきっかけになる一冊ではあった。
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明香里も省吾も都合よく真相を辿れるし、犯罪や虐待にばかり巡り合うし、明香里の回復は早過ぎるし、いろいろ出来過ぎだなぁと感じながらも、先が気になりぐいぐい読めた。読んでいる間はミステリーらしく楽しめた。
明香里のPTSDの症状はまさにテンプレートで、読んでいてとても共感できた。
晃弘の『約束』の内容がわかった時、それほど強い決意だったとしても、それでも赤の他人をかばって命を投げ出せるものなのかと疑問に思った。
最後、圭一は母親の本当の思いを聞かされて取り乱す。全て凶悪犯の思い通りに終わるわけではないところがやはり出来過ぎている。
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罪の境界を超えることとは?超えたらどうなるのか。
無差別通り魔殺人事件を起こした加害者の望みと被害者の願いを追いかけた先にたどり着いたものとは?
児童虐待、犯罪被害者とその家族、無差別殺人事件などなかなか重い内容が多いですが、小説でないと絶対考えないようなことを考えて読める作品です。
無差別通り魔殺人事件だけじゃなく、事件がある以上、加害者と被害者が存在します。
残酷な事件になればなるほど、加害者の生い立ちがかなり酷いものであったということも少なくないわけですが、今作の加害者も生い立ちはかなり酷いものです。
その酷い生い立ちは、読んでいる私も同情したくなるものなのですが、まずは、生い立ちが酷いから罪は少しでも赦されてもよいのか。
読んでいる途中、被害者でも加害者でもない無責任な読者である私はこういう生い立ちなら自暴自棄になって犯罪に手を染めてしまっても仕方ないのではないか?と思う場面もありました。
また、一方で被害者でしかも、被害者になったヒロインの命を救い命を落としてしまった被害者の最期の言葉を伝えるために、身元を探していく過程で明かされる真実では、どんな生い立ちでも自分の生き方を変えていこうとする姿が描かれていて、生い立ちが可哀想だから、こういう状況ならば何をやっても仕方ないのではないか?という考えに疑問をもつようになりました。
そして、最後に明かされる罪の境界を越えたものに対して下される真の罰が判明してからはなるほどと終わった読後でした。
あとは、子供を虐待する親は子供を本当に愛していないのか。
虐待もなく五体満足に今を過ごす私には親が子を虐待するというのは全くわからないですが、虐待する全ての親に愛情がないわけではないんだろうなと本書を通じて思った反面、やはり、そこにも罪の境界が生じてしまうのだろうなと感じる作品でもありました。
いろいろ重たい話が多くて疲れる作品で、読んでよかったと思うものの、読後はなんとも言えない感じになり、この心のなかをどう表現してよいのかよくわからない気持ちにさせられた作品でした。
また、いろいろ思いつつ、犯罪被害者でもない私には、全ての犯罪被害者の方々が少しでも前向きに生きていってほしいなと改めて願う作品でした。
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スクランブル交差点で起きた無差別通り魔事件。
加害者サイド、被害者サイドの視点が同時進行で進んでいきます。また、加害者、被害者に関わっている人の心情はバックグランドもしっかりと書かれていて読み応え抜群。
被害者の明香里に対して、加害者の小野寺が『運が悪かった』という心理。無差別殺人、やった本人は自分中心の考えで事件を起こしてる。加害者の心理描写がわかりやすく書かれていた。現代でも似た事件はある中で、加害者はこのような気持ちなのかと思うと何だかやるせ無い気持ち。小野寺の過去もかわいそうではあるがそれで他人を傷つけていい理由にはならない。
明香里の自分の人生を呪うだけではなく、何かを変えようとしましたか?という問い、ごもっとも。
明香里を支え続けた航平、そして明香里の未来が明るいことがとても救われました。
薬丸岳さんの小説は本当に大好き。読書としての作品を楽しめる事と同時に考えさせられるところが大好き!あー!楽しかった!では終わらない!
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薬丸岳さんの小説は、刑事事件を扱ったものが多いが、いつも被害者、加害者、事件の関係者の心情が丁寧に描かれている。
事件解決までのミステリー的な要素のみならず、様々な人間模様が作品の厚みを増している。読後には、自分も成長しているような気分になった。
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犯罪の話題を目にする度に、
「そんな理由で人を傷つける権利は無い」
と思ってきた。
だけど、「罪の境界」を超えなければならないほど
苦しい人たちがまだまだこの世の中に溢れている
どこにその苦しみが存在するのかは分からないけれど
今その苦しみのない私は、真っ当に生きていこうと思う
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読んでる最中にもニュースでストーカー殺人事件が連日 報道されていた。
本と現実の被害者と加害者の影が重なった
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無差別通り魔事件で重傷を負った明香里。そして明香里を助けて亡くなった飯山が残した「約束は守った」という言葉。それを伝えるために明香里は飯山の人生を辿る。犯人の過酷な人生と、そこから生まれた罪。それに巻き込まれてしまった明香里。どんな境遇だろうと越えてはいけない罪の境界。生い立ちとその後の人生の過酷さ、親の愛情を受けることがなかった男の果て。加害者と被害者の事件を経て続いていく人生が描かれている。
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長編ミステリー
罪の境界
なかなか読み応えのある作品だった
著者によってそれぞれの特徴があるけど、薬丸岳さんの今回の作品は衝撃的な導入から起承転結綺麗に流れが出来ていて尚且つ読みやすくその世界に入り込める小説だった。
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重たくて読み進めるのが辛い。
しかし、ニュースで毎日流される悲劇がそのまま投影されている。
人間の二面性(多面性)が環境でどうにでもなることが、人間だということか。
最後はべたな感じがしたけれど、救われる世界があると信じたい。