紙の本
皆もが超える罪の境界
2023/03/11 16:24
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投稿者:コーサク - この投稿者のレビュー一覧を見る
単に犯罪の被害者側と被害者側の境界という話しではなかった。
犯罪の境界を超えてしまった人の心情、
それを超えた人に殺められ人の心情、
誰かが主人公ではない、登場人物の様々な気持ちが
境界を分かれ目にして、描かれている。
犯罪は良くないこととはっきり言えるが、
犯罪の背景は、闇に包まれていて
分からない。
人間の持つ性を通じて感じさせてくれた。
紙の本
薬丸岳さんらしい、被害者・加害者の背景が丁寧に描かれた作品
2023/01/30 08:09
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
薬丸岳さんらしい、被害者・加害者の背景が丁寧に描かれた作品。何が正解なのかが見えない難しいストーリーの中、読み手も気合を入れて構えないと押し潰されてしまいそうでした。あたたかい気持ちで読み終えることのできるラストで良かったです。
電子書籍
加害者とは
2022/12/20 19:34
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
加害者と、被害者が……。一人しか殺さない、死刑にはならないため。こんなの、理由になりますかね……。納得のいかないことばっかりですよ。しかし、自分をかばって死んだ男性がいたら。この気持ちは、わかりますね
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無差別通り魔事件の加害者と被害者。
決して交わるはずのなかった人生が交錯した時、慟哭の真実が明らかになる。
恋人との約束をドタキャンされ、無差別通り魔事件の被害者となり重症を負った明香里。
自分を助けるために、身代わりとなって死んでしまった飯山の最期の言葉を伝えるために、彼の人生を辿り始める。
「約束は守った……伝えてほしい……」
この言葉は誰に向けたものだったのか、約束とは何なのか。
顔に大きな傷痕をつけられ、PTSDに悩まされ、いっときは恋人を恨んだり、家族に八つ当たりしたり、自堕落で自暴自棄な生活に陥りつつも、明香里は私が好むキャラ「頑張る女の子」だった!!
犯人の身勝手さと降りかかった理不尽な仕打ちや、テーマの重さに辛さはあるけれど、それぞれの場所で生きる人の内面が丁寧に書き出されていて、泣けちゃう!感動長編!!
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渋谷駅前のスクランブル交差点で通り魔事件が発生。
飯山晃弘は明香里を助けようとして死亡。
彼が語った最期の言葉を届けるため
明香里は、飯山と関わりのあった人たちを探す。
加害者の生い立ちを追うライターの省吾と並行してストーリーは進む。
少しずつ、それぞれの過去が見えてくる。
困窮さえしなければ、犯罪に手を染めることとは無縁だと思える。
〈社会の大きな歪があるような気がしてならなかった〉P40
この一文は序章の段階で書かれている。
本作でも事件の真相を追いながら厳しく断罪し
そう生きるしかなかった人たちを描いている。
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渋谷の交差点で通り魔による犯行で1人が死亡2人が重傷。最近こういった犯罪が増えている。この事件を加害者に寄り添って本を書こうとしている記者と自分をかばって死んでしまった恩人の過去を知ろうとする被害者明香里。2つの異なる立場が共鳴しあってひとつの犯罪が浮かび上がる。また被害者家族の苦しみも胸に迫ってくる。
犯罪に至る過去の悲惨さ、それでも超えてはいけない罪の境界というものが存在するというところ、至言です。
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「約束は守った…伝えてほしい…」 それが無差別通り魔事件の被害者・飯山晃弘の最期の言葉だった。明香里は自分の身代わりとなって死んだ飯山の言葉を伝えるために、彼の人生を辿り始める。
犯罪の加害者と被害者…薬丸岳らしいテーマで、本作も相変わらずの力作。考えさせられるところもあったが、残念ながらどの登場人物にも感情移入できなかったのはなぜだろう。単なる想像力の欠如かもしれないけれど。
(B)
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無差別通り魔事件の被害者:明香里
守ってくれて亡くなってしまった被害者:飯山晃弘さんの
最期の言葉「約束は守った。伝えてほしい・・・。」
平和な日常を突然奪われた被害者の心情
被害者の彼氏の心情。二人の関係性の変化も。
丁寧に描かれていて、読んでいて辛い。
飯山の最期の言葉を伝えるため、
飯山さんの関係者を探していく。
まさかの・・・いい人という評価ではない事実もわかっていく中で
飯山さんの人生をめぐっていく事になっていく。
一方で、加害者の小野寺圭一と同じような境遇であったライター:溝口は
溝口のことを調べていく。
虐待・・・。
この連鎖は怖い。
子どものころの親の言動は人格形成の影響は計り知れない。
こわいなと思いました。
罪の境界線を越えてしまう。
超えない心を育てたいと思いました。
やはり、親の愛情を感じて育ったか、育ってないかっていうのは
大きいと思います。
自己肯定感をもっているか持っていないか・・・。
飯山さんが前向きに生活していたこと。
あかりが前向きになれてきたことで締めくくられていてよかった。
あちら側に行ってしまった溝口、小野寺もどうか心が整えられるように
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薬丸岳さんの小説は、刑事事件を扱ったものが多いが、いつも被害者、加害者、事件の関係者の心情が丁寧に描かれている。
事件解決までのミステリー的な要素のみならず、様々な人間模様が作品の厚みを増している。読後には、自分も成長しているような気分になった。
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無差別通り魔から明香里の命を救ったのは飯山が残した言葉は「約束は守った……伝えてほしい……」だった。重症を負った明香里は身代わりとなって死んでしまった彼の人生を辿り始める…。
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通り魔殺傷事件の加害者と被害者双方の今までの人生と事件後の軌跡を丁寧に描いた長編ミステリー。被害者で重傷を負った主人公が、楯となって亡くなった男の今わの際に残した言葉の意味を追いかけることによって、自分を取り戻していく過程は非常によく描けていて秀逸。ただ、被害者の人生の軌跡を、同じ境遇をもつライターが追いかけるが、その部分が弱い。加害者をあえて言動だけで描いていると思うが、ここは自身を振り返るスタイルで書いてほしかった。
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渋谷スクランブル交差点で斧を持っての無差別殺人事件。どこからどうみても「境界」という文字のカケラも思い浮かばない完全なる身勝手な犯罪。
命を取り留めたものの顔と身体と心に大きな傷を負った浜村明香里と、明香里を助けるために命を落とした飯山晃弘、そして事件を起こした小野寺圭一。その一瞬迄まったく無関係だった三人の人生。
通り魔事件が起こるたびその理不尽さと加害者が語る身勝手な理屈に怒りを感じる。
事件を起こして死刑になりたかった、という理由なら(の言葉が適切かどうかわからないけれど)だったら勝手に一人でどこかで死ねばいい、と思ってしまう。
この事件の加害者小野寺は刑務所に入りたかった、死刑にならないために1人だけ殺したと語る。そしてそんな事件を起こした自分を産み育てた母親に復讐したかったから、と。
その成育歴に同情の余地があったとしても、納得などできるはずもない。
その人の過去も、受けた痛みもその人だけのものであり、他の人が背負うものではない。
自分と母親の問題であるのなら、自分と母親の間でその問題を抱えるべきなんだ、他人を巻き込むべきじゃない。
無差別通り魔事件のその理不尽さと加害者の身勝手さを描きつつ、同じ根源的な問題を抱えながら同じ道を歩まなかった二人の男の人生を浮かびあがってくる。
二人の男の人生をたどることで薬丸岳が伝えたかったこと。
境界を越えてしまう者と、越えずにとどまる者の違い。薬丸岳は人が人として生きていていくために絶対に捨ててはいけない矜持を描き続けている。人として決して越えてはいけないその境界を。
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最後に境界の意味を知る。
加害者と被害者の人生を、加害者に似た境遇の男性と被害者の女性が辿る。
境界線を越えてしまったら人間ではなくなるのか。
贖罪、虐待、罪の重さ、犯罪被害者とその家族、いろいろなことを考えさせられた。
光も見えたラスト。
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それまで何不自由なく幸せに暮らしていた明香里は無差別通り魔によって酷いケガを負う。
犯人、彼女を助けた男、事件を追うルポライター、現代の社会問題でもある親による虐待に人生を狂わせてきた者たちが人生のスクランブル交差点の様に交差する。
母親の愛情とは?人生の境界とは?
男は思い通りに無期懲役を勝ち取るのか?
死刑判決がでるのか?男の心は動くのか?
最後まで楽しめました。
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スクランブル交差点で起きた無差別通り魔事件。
加害者サイド、被害者サイドの視点が同時進行で進んでいきます。また、加害者、被害者に関わっている人の心情はバックグランドもしっかりと書かれていて読み応え抜群。
被害者の明香里に対して、加害者の小野寺が『運が悪かった』という心理。無差別殺人、やった本人は自分中心の考えで事件を起こしてる。加害者の心理描写がわかりやすく書かれていた。現代でも似た事件はある中で、加害者はこのような気持ちなのかと思うと何だかやるせ無い気持ち。小野寺の過去もかわいそうではあるがそれで他人を傷つけていい理由にはならない。
明香里の自分の人生を呪うだけではなく、何かを変えようとしましたか?という問い、ごもっとも。
明香里を支え続けた航平、そして明香里の未来が明るいことがとても救われました。
薬丸岳さんの小説は本当に大好き。読書としての作品を楽しめる事と同時に考えさせられるところが大好き!あー!楽しかった!では終わらない!