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働き方の注目したアンソロジー
選者によると、働き方改革関連法が成立した2018年で、この頃から働き方の意識変化があったとの事
以下、公式のあらすじ
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別に出世なんてしたくない。自分らしい働き方を見つけるアンソロジー。
局のエースアナウンサー、研修中の医者の卵、冴えないテレビマン、子育てしながら新しい仕事を探す主夫、同僚とのささやかな会話を楽しむ編集者。仕事とプライベートの両立に悩むそれぞれの男性の働き方を描いた、マンガを含む短編5作品を収録。
バリバリ働いて出世を目指すか、自分の時間を大事にするか、本当にどちらかを選ぶことしかできないのだろうか。
今を時めく作家陣による、自分の「働き方」を探すためのアンソロジー。
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・ダリア・ダイアリー
夏川草介「勿忘草の咲く町で 安曇野診療記」収録
地方病院の研修医が現場の実態と課題点を突きつけられるお話
老人には最低限の処置せず積極的に看取りにいっているように思われる様から「死神」という渾名の指導医
医師の労働時間、働き方、使命、信念に正解はあるのか?
「神様のカルテ」と同様に信州の病院だけど、こっちはさらに田舎
あっちでも「看取る」エピソードはいくつかあるけど、こっちはより地域医療に深く踏み入ったテーマになってる
老人を生かすために医療資源をどこまで使うのか?
若者へのしわ寄せ、負債
自分が当事者だとして、患者側なら余計な延命処置はしてほしくないけど、家族からしたら手を尽くして欲しいという望みは矛盾するものではない
事前にわかっていればどの延命措置を希望しないかを書面で残せるけど、急病の場合は難しいですね
私の親はまだ80代にはなっていないけど、いつそうなってもおかしくないんだなぁと実感した
・泥舟のモラトリアム
一穂ミチ「砂嵐に星屑」収録
大阪のテレビ局勤務の50代男性
地震が起きて、徒歩で会社に向かう道中に考えたあれこれ
自らのキャリアの先が見え始めたこの頃
ちょっとしたきっかけで没交渉になっている娘
自分の仕事が「マスゴミ」と蔑称される事の葛藤
仕事の内容に関しては娘さんや若者寄りの意見ではあるけど
自分の年齢と仕事のキャリアという点では主人公に近い
まぁ、まだまだ先とは言えないけど、もうちょっと先くらいの感覚でしょうか
まぁ、私は今の会社を辞めようとは思わないでしょうけどね
・彼は本当は優しい
古市憲寿「文學界」2018年4月号 収録
自分の意見を表に出す事をさけている報道アナウンサーのお話
年老いた母の不調と、同居する姉からのとりとめのない連絡
果たして、自分は何を選択すべきなのか?
夏川草介のもそうだけど、自分の親を看取るという年齢になってきている事を再認識する
自分の親とあとどのくらいの日数を一緒に過ごせるのか?
私がこのままの生活を続けた場合、帰省する日数でいったら1年もないだろうなと思う
実家を離れて暮らした年数の方が長くなっているし、親は遠くに在りて思うものになってるよなぁ
著者はテレビでの発言は何かと取り上げられるけど
物語を書くとこんな感じなんだな
ちょっと意外だった
・わたれない
彩瀬まる「川のほとりで羽化するぼくら」収録
会社が倒産して「主夫」になる事にした男性のお話
男が育児をする事の世間の障害
男が大黒柱であるべしという呪い
まぁ、実体験として、育児がメインでやるケースを想定されていないと思われる仕組みは色々ある
イクメンという言葉ができてから一体何年経ったかわからないけど、未だにそう感じる機会がある
作中のエピソード全てに心当たりがあるわけではないけど、自分も似たような経験があるのでリアリティを感じる
ところで、今どき自衛隊に入って更生しろとか言ってくるジジイはいるのか?
あと、役立つ育児ブログを書いているペンギンさん
まぁ、そんな事だろうなとは思ったよw
・osaka.sora
小山健「osaka.sora」から一部を掲載
出版社で働く山形さんとハナちゃんの仕事中の雑談マンガ
お仕事あるあるとして面白い
小山健は「生理ちゃん」で知ってたけど、こんなマンガも描くのですね
老齢の親の看取り、壮年男性の今後のキャリア、主夫と
私が近しいなと感じる共通点があったので、とてもよかった
いい時期に出会えてよかったと思える本でした
全て既に他の書籍雑誌に掲載済みの作品なので、ちょっと残念な気もある
でも、気になってその本を読んでみたいという気にもなったので、こんな形式のアンソロジーもそう悪くはないのかも
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古市憲寿「彼は本当は優しい」が、ちょっと自分と重なって苦しかった。こんなにバリバリ働いてないけど、気持ちの揺れが。一穂さんと夏川さんは既読だったけど楽しかった。単独で読むとちょっと変わるというか。彩瀬さんのは男性の生きづらさもあると気付く。最後の漫画でふと肩の力が抜けて、良かったです。
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「男性主人公」のお仕事小説アンソロジー。
「自分にとって仕事とは何なのか」
仕事と家庭のバランスとか両立とか、生き方とか、そう言ったことを立ち止まって考えさせてくれるような一冊です。
古市憲寿さんの『彼は本当は優しい』だけは、雑誌掲載時に読んでいるのですが、再読してもやはり優しさが感じられる。
アナウンサーとして華やかに生きている主人公が、家族の病気によって、これまでの生活リズムが心身ともに崩れていく。
ただ、そのおかげで家族との繋がりもまた持つことができるようになって。
心の揺れ動き方とか、何気ないところで優しさが感じられる作品です。
古市さん以外だと、彩瀬まるさんの『わたれない』が印象的でした。
退職を機に、主夫業をがんばる主人公の話。
見るとやるでは家事って大違いですよね。
ワンオペ育児は本当にしんどいと思います。
そうわかっていても、自分の中にも固定観念があるんだと気付かされた部分があって、そこは反省というか受け止めないとなと。
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◾️サマリー
・5つの短編集で構成。
・職場、家族との関わりにスポットが当たっている。
◾️読む前
・月曜日がタイトルにあるくらいなため、
どんよりした小説かと思っていた。
◾️心に残ったフレーズ
・中年男性を題材にした
泥舟のモラトリアムが印象的。
・身体さえ健康なら何とでもなる。
・自分のやりたいことに気付かずに死んでいくのは
何人いるのか。
◾️所感
自分が本当にやりたい仕事って何なんだろうと時々考える。
それが明確にある人、実際にできている人は超ラッキーである。
もちろん、苦労もそれなりにはあるだろう。
やりたい仕事は、いろいろなことを経験しない限りは分からない。
合う合わないは、やった人にだけ分かる。
身体さえ元気であれば、何とでもなる。
どうにかこうにかしてでも何とかなってきたから、今があるのだから、前を向いて生きていこうと思える清々しい気持ちになった一冊だった。
強いて言えば、古市さんの内容は、何でエントリーしたのか理解できませんでした。
私の読解力の無さだろうなー。