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社会学習で居残りをしてい陽向と友人達。ふと目を覚ますと学校中に謎のマス目が配置されていた。状況が飲めず混乱していると、サイコロを振れという校内放送が流れてくる。なんと、生死をかけたスゴロクに参加させられてしまったのであった。
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角川つばさ文庫より2月に発売された新シリーズ。しくじると死ぬのでデスゲーム系ホラーという事でいいのだろうか?(脱出要素があるので、読んだ感じちょっと違う気もするが……)過酷なミッションを課せられ、追い詰められた生徒たちが徐々に脱落し、学校から消えていくというストーリーラインだが、いつも読んでいる様な復讐するためであったり、見せしめの大量殺戮を目的としたデスゲームとは様子が違う。普段読んでいるデスゲームと言えば一部の人間が即座に殺された事による混乱、そして疑心暗鬼からの保身、秘密の暴露、蹴落とし等々と吐き気のする展開がもりもり(この作品も全くそういうのがないわけではない)。そして、登場人物が疲弊していくだけで得るものが全くない、という希望もへったくれもないラストというのが定石。
なのだが、こちらの作品は困難を経て、たしかな友情を深めあっていくという展開で以外だった。そういうデスゲーム物もあるのかと、少しびっくりした。途中で課せられるミッションの緊張感や妨害行為ともいえるゾロメの行動を掻い潜りながら進んでいく陽向たち。外部からの揺さぶりに分裂しかけながらも、相手を信じる心を忘れず、それを糧に困難をクリアしていく様はまさに友情、努力、勝利といった感じで少年漫画のような展開だった。なんかちょっと元気でた。
スゴロクや、ゾロメの正体、そして目的など謎を多く残し物語は一旦結末を迎えたが、まだまだ先は長そう。 数ヵ月後に続刊が出るようなので、そちらをいまから楽しみにしている。