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巻末の「作者の言葉」にはっとする。
世間の風潮と考えが外れるものは
排除しようとする今の時代だからこそ
自分と他人を
じっくり見つめることが大事で
たった一人の自分であり続けるためにも
他人への視線は
静かな眼差しであるべきなのだ、と。
まさにその言葉通り
誰かが誰かを見つめ、思うことで
自分自身を知ろうとする短編集だった。
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低温で湿度の高い内容と文章に惹き込まれてしまうが、やはり短編集なのでアーモンドほどの衝撃は少ない。でも、癖になる文体。
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本屋大賞翻訳小説部門にて
『アーモンド』『三十の反撃』で二冠達成した
ソン・ウォンピョンさんの新刊は、短編集♪
人間心理と心の中枢温度がなめらかに混合し
私たちの生きる世界そのものを描き出す。
人間の裏側の様々な感情が
重くくすんだ色を成しても
そこから立ち昇るかすかな光が
たしかな希望として胸に届く。
この才能を、8つもの短編で味わえるのは至福。
多彩な作風で描く、心織り成す短編集。
あの韓国文学の傑作
『アーモンド』のスピンオフは必見⸝⋆
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ぞくっというか、ふわっというか、
味のないガムみたいな
硬いのに崩れやすい
全部おんなじ味みたいな結末ばかり
惹き込まれて仕方なかった
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「アーモンド」が面白すぎて、それから、ソンウォンピョンさんの本を読むのが好き。
「四月の雪」じんわりする話だった。結局、どういうことになったのか?離婚しないで戻れるなら、その方がいいなぁ。辛いことあったけど乗り越えてほしいと思った。
「他人の家」
駅近、スタバとシネコンが徒歩圏内の、最高に優良物件のマンション。
だけれど、ちょっとありえない設定。ツッコミどころ満載で面白い。
その広いマンションを借りている男の人が、部屋を又貸ししてシェアハウスに。
でも本物のオーナーが、やってきて大変な状況に。
まず、自分の大切な荷物は、ごみ置き場に置いてはいけない。持って行かれることを想定していなかったのか?浅はかすぎる。悲しい結末。
「箱の中の男」
これがいちばん心に残った。
難しい問題。
困った人を見たら助ける。
正義感。これは当たり前のようだけれど、人を助けたことによって自分を犠牲にできるのか?
トラックにひかれそうになった子供を助けて、一生寝たきりになってしまった兄。
弟は、その兄の苦しい日々を見て、もう何事にも関わらない方が正解だと思ってしまうのは理解できる。
加害者の気持ち、犠牲者の気持ち。
両方を理解できた時に、誰かは喜び、誰かは辛い思いをすると、わかってしまった。
そんな悶々とする中で突然、目の前に倒れている女性が。
その場に居合わせてしまったことに後悔して硬直して何もできなくてただ立ちつくす弟。
そこに現れた女の子は、学校で習ったと、心肺蘇生を始める。「AEDを持ってきて、救急車を呼んで!」と的確な指示も出してくれた。
呼吸の止まってしまった女性を夢中で、蘇生した。2人で協力して。
やはり人助けは、するべきなのだと思い直す弟。
弟の知りたかった答えは見つからないままだけれど、心の中に吹く風は爽やかなものに変わったのだと思う。いい話だった。
後書きで知ったが、「アーモンド」の少年が出てくる。弟が目撃した殺人事件が「アーモンド」のユンジェが経験した事件だった。その時の忘れられない表情というのが、なるほど!と納得してしまう。
短編集だが、どれも印象的で、丸ごと良い本だった。
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訳者あとがきに「著者は「自分だけでなく他の世界にも視線を向ければ、逆に自分が深まっていくということを伝えたい」(265頁)」とありました。8つの作品それぞれの登場人物に力を持つ立場、弱い立場が固定されているように見えても階層が一段ずれたらまた違う世界がありました(他人の家など)。それを包括した世界で起こる驚愕するような事件に対して人物の人生に思いを馳せることなく忘れ去るゆえに何度でも驚愕してしまう(文学とは何か)。他者の人生を生きる訓練は物語を読むことの意味につながると思う作品でした。
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著者初の短篇集。8本の短篇が収録されている。
これまでソンさんは長篇作家だと思っていたが、短篇も滅法うまくておもしろい。男女の機微や親子関係、韓国社会を風刺した作品など、1篇ずつ違っていて、次はどんな作品だろうとわくわくしながら読んだ。中にはあの『アーモンド』と直接つながった作品もありびっくりした。
「四月の雪」、「他人の家」、「箱の中の男」が特に好みだった。
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つまらない訳じゃないのだが、文章が滑っていきとりあえず読んでしまった。自分の集中力が足りなかった。「zip」「アリアドネの庭園」は他人事ではない未来を想像できて、苦い気持ち。
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ソン•ウォンピョンさん3冊目。毛色の違う短編たちで、どれも面白かった。「zip」「箱の中の男」「他人の家」「アリアドネの庭園」が好み。「zip」は自分の話かと思うくらい共感。「箱の中の男」はユンジェが出てきて嬉しかった。話の内容も、考えさせられるものだった。韓国って、日本と似たところが沢山あり、でも違うとこともあって面白い
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"たぶん僕は、相変わらず箱の中に潜んで安全な人生を夢見るだろう。すでに凝り固まってしまった大人の心はそう簡単に変わるものじゃないから。それでも、誰かに向かって遠く手を伸ばすことはできなくても、握りしめた手を開き、誰かと握手するくらいの勇気なら、ときどき出せたりするんだろうか。"(p.206)
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8編の短編集。
どれも人間心理を掴んでいるなあと…。
zip〜家庭を築いた女の後悔ばかりのようで、身動きすることなく流されていく生活は膿んでしまっている。「家」から抜け出そうとしながらずっと出ることができない。これからも…。
「このお話の終着点が、おまえだからだよ。」と孫娘に言ったのがこわい。
アリアドネの庭園〜予測したくない未来。
たぶんこれに近い未来かも…と思うとモヤモヤ。
他人の家〜ルームシェアで暮らす部屋の不自由なところと値段に折り合うところ。だがそれも期限がある。どうする、どうなる…。
箱の中の男〜アーモンドの番外編。途轍もない経験をすると他人の存在を行動を過剰に意識してしまうのに気づく。
上記4作が特に心に残った。
深くて濃い、短編なのにずっしりと感じた。
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お国柄の違いかあまり共感できず、短編なので結末も中途半端な、物足りなさ、モヤモヤ感。
箱の中の男はよかった。
アーモンドがよかったから3冊目チャレンジしたけど、、
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ソン・ウォンピョン(손원평)さんの短編集。どの短編も登場人物の心理に惹かれる。自分にもそんな状況なら同じように感じる心があったかもしれないと思える。「箱の中の男」の弟の気持ちも分かる。見ないふりをしていればそれで厄介ごとは通り過ぎると。でもある突然の出来事であの時の女の子に出会えたのは、兄があの時に彼女を助けたからだった。それでまたある女性が助かったのだ。
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人間心理のおかしみを悲喜さまざま、細やかに、ジャンルを問わずに描き上げた短編集でした。人の心に踏み込む心理表現の巧みさがほかの作品同様卓越していて、文章を追うだけでしみじみと感じ入るものがありました。
表題作では他人がエゴを滲ませながら厳しい日々をやり過ごさなければならない現実をビターに描き、「四月の雪」ではつかの間触れ合った外国人との交流により仄かな未来がそっと浮かび上がるさまを、「箱の中の男」では「アーモンド」作中の出来事と被らせながら辛い日々を送る青年のささやかな救いを与える。
どれもが単純ではない人の心情を繊細に描き上げ、また、明快ではないけれどそっと未来を指差すような温かさを滲ませていて、そのやさしい著者の眼差しがとても素敵だと思いました。
「アリアドネの楽園」は、超高齢社会を迎えた日本においても充分にリアルに差し迫った。SFの体裁ながらも近い現実を見透かしたような作品に感じました。
どれもが少し毛色が違う趣を持ちながら、どの人物の心情にも寄りそえる。そんな、派手でもインパクトがあるわけでもないけれど、身近に携えたくなる作品集でした。とても良かったです。
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『アーモンド』の著者の短編集
読みやすいが印象も薄い作品が多い
そんなにもソウルに住まなくてはならないのか?と不安になるくらいだ
息苦しいほどだった
最後の『開いてない本屋』だけがファンタジーで好みだった