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投稿者:にゃんぱり - この投稿者のレビュー一覧を見る
門井氏の作品は、同じく建築家ヴォーリズを主人公とした「屋根をかける人」以来でした。
辰野金吾、日銀と東京駅を設計した国民的?建築家。作品もその2つの建物を柱に組み立てられます。師匠コンドルとの確執と和解、終生のライヴァル、曽禰達蔵との関係はストーリーを貫く2本の太い梁でしょうか。
構成のしっかりしたある意味「堅固」な作品でした。留学時代や親との関係なども描かれれば、さらに良い作品となったことでしょう。
次回作に期待します。
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明治期に日銀や東京駅を設計し、近代建築の祖となった辰野金吾の物語。巻末に自ら史実に基づくフィクションと書いてあるから物語なのだろうが、参考文献の記載がないのはなぜなのか。実在の人物を描いているにも関わらず、出版社が参考文献なしをよしとする基準はどこなのだろう。高橋是清が意外(私が知らなかっただけなのですが)な役割を演じていて、興味深かった。この作品と無関係だが、明治期の血気盛んな人物を描くと、なぜかみんな漱石の『坊ちゃん』に似るのは気のせいか。日銀といい、東京駅といい、新しい工法をその都度試していく先駆者の心意気には感服する。
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【日銀、東京駅…近代日本を建てた男の一代記!】下級武士出身で学問に励み、列強と日本の差に焦り、恩師コンドルから日銀を横取り!江戸を壊し東京を建てた建築家・辰野金吾とは。
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日本近代建築の父と言われる辰野金吾の物語
日銀や東京駅の建設を担い、東京の街づくりに貢献された方
恩師であるコンドル先生とのやり取りや周囲の達蔵さんとのやり取りに面白さを感じた。
多くの政界人物との関わり合いも触れられていて、ロマンを抱いた
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偶々出くわして、大変に愉しく読んだ小説だ。明治期から大正期を背景にした物語ということになる。素早く読了に至った。
本作は、日本橋の日本銀行本店や東京駅の建物を手掛けた建築家、辰野金吾の物語ということになる。
記憶が確かなら、日本橋辺りに三越前駅という地下鉄の駅が在り、その辺りに日本銀行の本店が在った。本店の建物そのものではなく、近くに日本の通貨の歴史が判る、古い貨幣のコレクションを展示している日本銀行関係の資料館が在って、立寄ったことが在ったような気がする。その建物の建設に辰野金吾が携わっている。
そして東京駅は、戦災等で傷んでしまった後に修復した状態で長く使用されていたが、創建時の様子を再現するとして工事が行われ、現在ではその創建時の姿になっている建物が見事なのだが、その創建時に建設を手掛けたのが辰野金吾であるという。
こういう、或る程度広く知られた建物を手掛けた人物の物語ということで、日本銀行の件や、東京駅の件は物語の重要な柱ともなっている。
物語は、辰野金吾が英国留学から帰国したという辺りから起こる。横浜港に下立つと、友人や妻が迎えに来ていたというようなことになる。英国帰りの辰野金吾は、未だ江戸の面影が色濃く残る東京について、「東京そのものを建てるのだ」と意気込む。
物語は主に辰野金吾の目線で綴られる。が、時に同郷の友人である曾禰達蔵(そねたつぞう)の回顧や、終盤には息子の辰野隆(たつのゆたか)の目線の部分も在る。英国帰りの辰野金吾が色々な事に取組もうとする様子と並行し、戊辰戦争位の頃に10代後半辺りだった世代ということになる辰野金吾や曾禰達蔵の来し方が振り返られる部分を交えて展開する。辰野金吾が何を目指したか、如何してそう考えたか、そして日本銀行や東京駅という、当時の「空前の大建築」に取組む様子が描かれる。そして最晩年の様子へ進む。
偶々なのだが、比較的近年に東京駅の建物を眺める機会が何度か在った。そんなことも在って、辰野金吾が当時の“大計画”に邁進した様を、本作に描写される往時の辺りの様子を想像しながら大変に興味深く読んだ。少し夢中になってしまう雰囲気が溢れる作品だ。
読後の余韻に浸りながら、少し思った。辰野金吾が近年の東京を観たら、如何いうような感想を漏らすであろうかというようなことをだ。本作はとにかく愉しかった。
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辰野金吾のイギリス留学からの帰国後から日本銀行本店と東京駅の設計建築までの生涯を描いた一冊。
辰野金吾という名前は知っていましたが、初めて人物像を知ることができました。
明治維新で江戸時代の名残が残る時代。
西洋に追いつけ追い越せと日本が大変貌を遂げた時代。
師匠のイギリス人のコンドルと日本銀行の設計を巡り、時の総理の伊藤博文への直談判した時の師弟対決。
その師弟対決を超えて、友情を死ぬまで持ち続けてきた二人の絆。コンドル先生の懐の大きさがあったからこその辰野金吾がいたのですね。
妻の秀子の献身ぶりや、苦楽をともにした曽禰達蔵の身分を超えた友情。高橋是清との接点。
偉人は偉人を呼ぶですかね。
死の間際に梅太郎の言った「お義父さん。このおちょこは、今度は別のものを飲むのに使いたいですね」が涙を誘いました。
「人が仕事を選ぶのでなく、国が人を選ぶのである」
仕事の本質をつくハットする言葉な気がします。
最後の方は名言ばかりですが、辰野金吾や当時の偉人たちが今の日本を見て、何を思うのでしょうね。
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明治中〜後期の「はじめて物語」は
バイタリティがあって楽しいね!
もちろん、今と比べて一長一短あるけど
こうして後世から見てみると
何事かを成したいという熱量がすごい。
そのなかでも、これは建築の物語。
好きな分野だから、なお楽しかった。
この時代の建築関係の本には
かならず名の上がる「辰野金吾」
東京駅や日本銀行を設計した人として
名前はもちろん知っていたものの
その人となりと人生を
小説にアレンジされているとはいえ
これで追うことができました。
まぁ、天才のまわりの人間は
いつでも巻き込まれて大変ってことで( ̄∀ ̄)
曾禰達蔵もよくずっと交遊を続けてたなぁ。
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先日読んだ「帝国ホテル建築物語」と比較すると、どうも作品へ思い入れが出来なかった。
上述した大正期の苦労人達の物語と、維新を這い上がった(本書の辰野金吾も十分苦労はしているのだが)才能ある野心家の物語では、自分の性格的にどうしても前者に思い入れてしまう。勿論フィクション上の辰野に対して、だが。
辰野に対比されるジョサイア・コンドルや曾禰達蔵は実際もなのかも知れないが余りに恬淡としているし、辰野に似ている妻木頼黄は大して書ききれない内に病死してしまう。
辰野の対立軸を決められないまま作品が終わってしまった、という印象が強い。
天神橋筋 西日本書店にて購入。
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めっちゃ面白かった銀河鉄道の父の作者×大好きな東京駅の話
と言うことで大期待して読みました。結論楽しめたし、すごく勉強にもなったのですが、主人公自体の魅力度、魅力的に描かれているかどうか、で言うと、完全に政次郎に軍配でした。笑
でも本当に勉強になりますよ!
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熱き建築家の一生を描いた物語。
この時代を生きた人の情熱はすごいなと
シンプルに感動した。とにかく熱い。
男というより漢感。
建築の専門用語が多いので、少し内容は難しめ。
わずか30年間で統治体制が変わり、身分が変わり、街並みも変わった激動の明治時代。
今は見慣れた東京駅や日本銀行がこの時代に作られた背景など初めて知ったし、
デザインに込められた思いなど時代を知らないと理解できないものも多かった。
一応星3だが、読み返すほどいい作品じゃないかなと思って、また時間を置いて読み返そうと思う。
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辰野金吾の生涯を,イギリス留学からの帰国後からその死までを闊達に描く.金吾の生涯が東京建造に注がれたので,東京が物語の場となっているが,骨子としては金吾の為人が破天荒に淡々と描かれる.偉人伝にあまり心動かされない我が身としては,その動機の源が知りたい.
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HKさんのお勧め。
たとえ、建築に興味がなくても知っているであろう「辰野金吾」のお話。
日本銀行本店、東京駅舎をはじめ、
中之島公会堂を設計したのはさすがに知っていたが、
唐津で高橋是清に英語を学んだとか、
鹿鳴館を設計したジョサイア・コンドルが先生だったとか、
国会議事堂の設計を争った妻木頼黄は
神奈川県立歴史博物館や横浜赤レンガ倉庫を設計してたとか、
いろいろ学べて面白かった。
もちろん、専門書を読めばそういうことは書いてあるのだろうが、
時系列で書かれているだけでは、なかなか入ってこない。
物語にしてもらうことによって、
人間関係や時代の雰囲気が感じられて良かった。
ペルーの銀山でだまされ会社をつぶした後、
日本銀行本店建築の事務主任になった
高橋是清の話も面白そうだった。
当時世界的に大流行したインフルエンザ「スペイン風邪」で亡くなったのは、
辰野金吾らしくないと思ったのは私だけだろうか。
一丁倫敦が見たかった。
そして、日本銀行小樽支店を見に行きたい。
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建築家、辰野金吾の大河小説。
正に大河と呼ぶに相応しい、波乱万丈の人生だった。
決して順風満帆ではないし、何より集大成とも言える建築に向かう頃には自分の老いを受け入れて新しいものを拒絶してるんだもんね。
栄枯盛衰、なるほどなるほど。
好きなシーンは色々ありますが、どこか1つを選べと言われたらやはり前述した箇所、辞表を突き付ける松井とのシーン。
時代の移り変わりと共に老いからも逃れられない。。。
『コーヒーにはうるさいぞ』からの『コーヒーはなかなかうまかった』の流れがより一層胸を締め付けます。
もはや、自分は最先端ではないことを社会全体が示してるんですよね。
切ない、切ないよ。
コンドルとの再会も最高ですね。
ラストも良かったなぁ。
思わず国会議事堂の建築家を調べちゃったよ笑
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日本銀行、東京駅を建築した辰野金吾さんの一代記
留学先から戻った場面から始まり、夢や理想を語り実現に向けて進んでいく。
欲しいと思った仕事のためには師匠を否定することも厭わない豪快で単純な金吾。
晩年、弟子から否定され若かった頃に自分が師匠にしたことを思い出し、老いた自分に嫌気がさしながらも新しいことを生理的レベルで受け入れられないことで喪失感を覚えるあたりは切なかった。
時代が時代なだけに、色々なものが西洋式に変わっていく過渡期に取り残されていくような感覚は社会人なら誰でも経験することだけど、仕方のないこと。
物語の中の言葉を借りれば
人間は、真摯に仕事する限り、誰でも過渡期の人である。
そして、盟友の曽禰達三さんや弟子たちの存在が終始、光り、辰野金吾さんの人柄がよく分かるようだった。
建築業界に興味はなく、タイトルで購入したけれど
建物を知っているだけにその建築過程を覗き見ることが出来たような作品だった。