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きつねの出てくる絵本を探していて見つけた作品です
小さな子どもが大人から性加害を受けた場合、それをまわりの大人に訴えることの困難さ、回りの保護者がどのようにケアを行えば良いのかの指針が、可愛らしい絵と率直なテキストで描かれている作品です
また、扱っているテーマの難しさから感想として上げにくいのですが、絵本としての面白さもしっかりあるところもお勧めしたいです
キツネくんのおうちの可愛らしさや、もりのようちえんのクラスメイトの様々などうぶつのこどもたちの姿、おもちゃや絵画がたくさんのキツネくんのおうち、そしてキツネくんに性加害をしたオオカミのおじさんの優しい時の姿や、すてきなツリーハウスの様子、優しい顔のままにキツネくんに触るおじさんの恐ろしさや口止めをする悪辣さも、とてもリアルに感じます
個人的な話になりますが、自分もこの絵本のキツネくんに近い経験をしたことがあります
住まいの地域は治安が悪かったのか、見ず知らずの男性に触られたり付け回されたりすることが何度もありました
しかし保護者にそれを相談しても、どうしてちゃんと逃げなかった、早く言わないのかと、とても責められました
この絵本では、きつねくんはまず話したことそのものを、勇気がある、えらいと誉められたし、となりに住むおじさんからの被害であることを受け入れられ、何も心配しなくて良いと安心させてもらっていました
自分もこんなふうに、話を聞いて欲しかった
でもその一方で、身近な大切な子どもから、性加害を受けたことを告白された場合に
「よく勇気を出して話してくれたね」「大丈夫だよ」って、まずそれを伝えることは極めて難しいとも思うのです
だって、小さな子どもがそんな目に遭ってしまったなんて、自分が被害に遭うより辛いです、ショックです
だから、そんな目に遭って欲しくなんかないから、「早く言わないのか」「なんで逃げなかった」って口にしてしまう気持ちも、今は分かるのです
しかし、こんな作品をあらかじめ読めていたとしたら、大人と子どもが一緒に話し合えていたら、きっと違う行動がお互いに取れていたはず
打ち明けたことを誉める、そして安心させる
それが、子どもと大人という関係のみならず、性加害を受けた人に対する適切なケアなんだって知ることが出来る作品なんです
だから、広く読まれて欲しいと感じました