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刑務所で教誨師を務める保阪は、ある日娘を殺されてしまう。犯人にはまったく反省の色もなく、死刑判決を受けたにもかかわらずそれを恐れる様子もない。心痛から教誨師を辞めた保阪だったが、犯人を地獄へ突き落すため、死刑囚の教誨師として犯人に接触することを試みる。胸が痛くなるような作品です。
極刑とはいえ、恐れない者に対しては死刑なんてまったく抑止力にはならないし罰にもなりません。だからこそ死の恐怖を味わわせることこそが最大の復讐になり得るわけなのですが。しかしそれって、「人間らしく」なることとも直結してしまうんですよね。その状態で死刑が執行されたら、それって犯人よりも周りの人間のほうがよほどつらいのでは……と感じてしまいました。
自らも罪を背負った保阪だからこそ、それこそ自分自身に対する罰のようにして憎い犯人と対峙するのだけれど、ほんっとうにこれがつらい。刑務官の立場もつらい。死刑っていったい誰に対しての罰なの? と思わざるを得ません。そしていよいよ迎える最後の瞬間に、保阪はどのような道を選択するのか。最後まで目が離せません。
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半ば楽しみのために若い女性を殺した死刑囚、彼と対峙する為に教誨師として拘置所へ出入りすることにした牧師、二人を見守る刑務官。
人生を自暴自棄になって女性をなぶり殺した死刑囚は人間としての心を取り戻せるのか?
復讐の為に教誨師となった牧師は彼とどう向き合うのか?
なかなか知ることのない死刑の様子とその周りの人々の苦悩も興味深く、一気に読み終えました。
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教誨師であることを利用し、宗佑は娘の復讐を果たそうと死刑囚石原に近づくのだが…繊細且つ重厚な作品。苦悶しつつも一気読み。ラストシーン、宗佑の赦しと祈りに涙した。
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題材は特筆すべきものと思いますが、凶悪犯が牧師に心を許す過程が呆気なさすぎるように感じました。また、登場人物の名前が、、、あまり個性を発揮しない名前の方がリアリティを感じるのではないかと思います。
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教誨師とは
悪を悔い、正しい道を進むよう教えさとす人
自分の娘を殺された教誨師は
確定死刑囚となった犯人と牢獄の中で
対話をするために東京拘置所へ
心の闇を抱えた殺人鬼に
「生きたい」と思わせてから
死刑台へ送るという復讐を誓う
殺人鬼と教誨師の会話や心の変化を
見事に描いている
物語がどう完結するのか
最後まで読み応えがあった作品でした
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死神にはならなかった。実の娘を殺されて、教誨師の立場を最大限利用して石原を絶望のどん底に叩き落とすラストも考えられたはずなのに、敢えて赦しを作者は選んだ。人は赦し、赦されることを望んでいるのだろうか?たとえそうだとしても、ドス黒い思いを抱えた2人の男の救いのない結末が良かった。
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今まで殺人犯に向かって『神の前では赦される。社会的な赦しと宗教的な赦しは違う』と諭していた教誨師の主人公がいざ娘を殺されたあと、自分がこれまでに教誨した殺人犯から『あなたのお陰で自分は神から赦され、やり直す希望を持ちました!』と言われたときの嫌悪感と胸糞の悪さにこちらも吐き気を催すようなおぞましさを感じました。
そんな主人公が父として教誨師として、明確な動機もなく身勝手に娘を殺した犯人とどう立ち向かっていくのか。これまで何人も教誨してきた主人公が自分の行なっている務めを根底から覆されるような出来事に対してどう向き合うのか気になって読み始めた本です。
娘を殺された父親でありながら、教誨師として確定死刑囚である娘の殺人犯と向き合う苦悩と葛藤を抱えた主人公が最後に導き出した答えは、教誨師であり遺族だからこその答えだったように思います。
犯した罪はなかったことにはならないですし、遺された者こそこれからの人生で抱えていくものはあまりにも業が深い。最期の最後で主人公が投げかけた問いと殺人犯の答えはこの著書の言いたかったことであって、主人公が求め行き着いた終着点だったのではないでしょうか。
物凄い作品を読ませて頂きました。
とてつもなく心を揺さぶられるような本でした。
この物語の余韻があまりにも深く、なかなか次の本を読むことが躊躇われます。もう少しだけ余韻に浸ってから、同じ著者の方の本を読んでみたいと思いました。
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妊娠中の娘を含む4人を惨殺、まったく反省の色をみえない犯人に対し牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として、犯人へ復讐を試みる。その手段は犯人に反省を促し死への恐怖を味わわせることだった…。殺人を楽しみ死を恐れない犯人に対し対峙する宗佑、その結末は?
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衝撃的な設定、展開。こういうものはラストがいまいちな事が多い。本作もご多分にもれず…と一口では言えないというのが個人的感想。
読んでいる間も、読み終わった後も苦しい。
結末がどうとかではなく、向き合ったからこその苦しみを書き詰めた作品。
この犯人がそれなりに社会経験積んだ人間なら、たぶん許されなかった
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最後の最後で唸った!なるほどー
石原が4人を殺害したって書いてあるんだけど3人の間違いじゃないのかなー?
お祖母さんと若い女性2人じゃない?
で、婚約者どこいった。
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「13階段」や「グリーンマイル」などで、死刑囚の映画は視たが、この本ほど、詳細に描かれているのは初めて。
絞首刑というものが、それを執行する刑務官、教誨師など、どれだけの精神的なストレスを与えるのか、ひしひしと伝わってくる。
処刑の方法は、もっと見直されなければ、成り手がいなくなってしまうのでは?
死刑反対を唱える団体もあるが、
実際、自分の大切な人が殺められたら、どうだろう。
その犯人が、塀の中とはいえ、規則正しい生活の中、食事と睡眠を保証されている。
それも、すべて、国民の税金で賄っている。
どんな理由があるとしても、命を殺めた人が、殺められた人の遺族にとっては決して許されるはずがない!
ストーリーとしても、さすが!
石原の心を開き、殺人鬼から人間に戻った姿を見届ける姿に胸が熱くなった。
虐待や親の身勝手で、子供たちがひどい幼少期を過ごさないためにも、もっと支援する工夫が大事。
未来の犯罪者を作らないためにも。
出生率を上げるだけが、子育て支援ではない。
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薬丸さんは何て非情な人間関係を描くのだろう。
今回はずっしり重く、非情慣れしている私でも休み休み(約3日で)読了しました。
死刑の描写は以前読んだ事があるのですが、今回その業務の過酷さを改めて知り何とも言えない気持ちになりました。
石原の最期、自分はどのような言葉を期待していたのか…保阪さんが死神にならずほっとしたような、地獄に落として復讐を果たして欲しかったような…
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教誨師 刑務官
それぞれの仕事がこんなに精神的においやられる職業であるということ この本を読んで知りました
でもやはり死刑廃止という気持ちにはなれませんでした
自分の死に向き合うことによって自分が犯したことの重さを知ることになると思うし 被害者感情も考えると…
最後まで容疑者から謝罪の言葉はなかったけれど お姉さんに対して残す言葉を言わなかった それが贖罪だったのではないか…
結局被害者はそういうふうに考えるしか自分を納得させられない
ただただ辛かった
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途轍もなく重い物語だった。
東京拘置所で、教誨を行う牧師や刑務官たちの、並々ならぬ苦悩が辛すぎて、何度もページを閉じたくなる。さらに、牧師の抱えるものが重すぎて、胸が塞がれる。正気を失わないのが奇跡のようですらある。考えさせられることが多すぎる一冊である。
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若い女性2人を殺害した石原亮平は人の心を持ってない悪魔のような殺人鬼のようだった。しかしその殺害された女性の父親である教誨師の保阪によって少しずつ変化していく様子に読んでいる私も少しは反省とかするのだろうか、とあっという間に読み進めた。石原亮平もホントは最初から人の気持ちを持っていたけど、それが書かれていないから余計に鬼畜に思えただけかもしれない。教誨師という仕事は中山七里先生の死にゆく者の祈りで初めて知りました。とても辛い、重い仕事だと感じました。
そして若くないけどコンビニでアイスを買うのは注意しなければと思いました…ていうか、うちやとコンビニでアイス買ったら液体になりますわ