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最初は軽妙が過ぎる文体に取っ付き難さが有ったのだけど、読み進める内に何度もクスリとさせられたのだから恐ろしい。
ここ10年程ライトな百合作品は増えている。その枢要の一つは主要人物が女性で締められている事かな。例え男性が登場したとしてもたいして主要人物達に影響を及ぼす立場ではなく、それにより女性のみの世界が守られる
それを考えると、女性のみであるべき世界に男性が矢鱈と混じってきたら鬱陶しい事この上ない訳で
主人公は百合ゲームにお邪魔な男性キャラとして転生してしまった高校生。燈色としては百合を愛するが故に百合世界で花開く少女達の交遊を見守りたいのに、運命レベルでお邪魔キャラとして定義されているものだから思うように事が運ばないと
と言うか、女性ばかりの世界に主人公が特別な立場として転生したハーレムモノと受け取るのが真っ当な立ち位置か
又、燈色という人物が百合を愛するあまり、ヒロイン達を過度に守ろうとして採った行動が結果的にヒロイン達から好印象を受けてしまうというのも皮肉な話
かといって、お邪魔キャラだから世界に殺される前に積極的に動いて殺されないポジションを取る必要もあると
燈色としては止むに止まれぬ行動の結果、自分の趣味嗜好に沿わない人間関係を呼び込んでいるわけだ
もう一つ、本作の特徴を上げるとしたら、燈色がある程度ヒロイン達の好感情を察しながらも百合を愛しているが為に邪険にすることだろうか
ホント、一歩間違えば好感度がゼロになりそうな言動だってあるのに、相手の押しの強い態度や燈色の性根の良さが災いして意味を為さないという
そもそも燈色が目の前の少女達を捨て置け無い性格をしている時点で、そこが百合世界だろうが結果は見えていたのかもね
自分が手を出さなくても、ゲームシナリオとして哀れな境遇に堕ちている黎はいずれ主人公によって救われるとしても今泣いているのなら放っておけない。だから自分を犠牲にしてでもシナリオに介入する
それが百合世界にお邪魔してしまった燈色の特殊性であり、且つ裏主人公としての矜持と言えるね
今のところ、ヒロイン達は可愛らしいものの、燈色のキャラの濃さの方が目立っている印象
それでもラピスは五十歩百歩なヒロインレースの中から早くも抜け出そうとしているような。燈色に婚約者が居ると知ってもお弁当を作り、更には黎と桜を前に窮地に陥っていた燈色を救う為に自分の恋心を公言してみせた
その胆力と真っ直ぐさは今後燈色を振り向かせる上で一歩も二歩も彼女をリードさせるものになりそうだよ