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ある日、奇跡のように重なった別の世界線に生きる中川くんとの繋がりが、徐々に途切れていき、もう二度と会えないのかと切ない気持ちで読み進めた。パラレルワールドといっても、中川くんからの通話とメッセージの情報として描かれるだけなので、パラレル要素は薄い。 むしろ同じ世界に生きる他者との価値観の相違や多様性のほうがパラレルのようだと、主人公の波間の視点で取りとめもなく語られる。
最終的にどう着地させるのだろうと思っていたら、結局中川くんとは数年のタイムラグを経てかろうじてLINEが入る程度の関係で終わってしまい、なんとも消化不良な結末。
抗がん剤治療に苦しむ波間を支える、お兄ちゃんのぶっきらぼうな優しさや、幼馴染の楓ちゃんの淡々としたヲタ風味がいい感じに和ませる。
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癌サバイバーが再発の恐怖を抱えながらも社会復帰し、自分を取り戻していく様子が、特別な事は何も起こらず淡々とつづられる。言いたいことを言わず、達観していく感じ。
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齢を重ねるに連れ、他人を理解できたと思うことがどんどん減ってきた。
人と同じ物を見ても感じることは
こんなにも違うのか
同じ言葉を受け取っても全く別の意味にとらえることもあるのかと
経験を積めば積むほどその違いの大きさに呆然としてしまうのだ。
だから自ずと、口に出して言わないことも増えている気がする。
言わなかったことの方に、本当に大切だと思うことがあったとしても。
私の周りにもパラレルワールドがあるといいな。
そこの世界ではもう会えなくなってしまった人も
元気で生きていて
一緒に旅行に行ったりお散歩したりしてるのかな。
そう思ったら嬉しくて泣けてきたわ。。。
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終始フワフワした感覚に陥りました。あっちの世界とこっちの世界の往来のせいか、読んでいて時間軸がブレると言いますか、不安定にさせられました。どっちの世界の立場で読み終わるのか、あるいは両方の世界にフラットな気持ちで読了すのかで、感想が変わってくる内容だと思いました。
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直木賞作家の著者の作品をしばらく読んでいませんでした。本作を図書館で見つけ、帯に惹かれて読むことにしました。
パラレルワールドというものに、なかなか入り込むことができず、中盤まで読むのに苦戦した作品でした。私の頭が硬いのか、それとも今のゲームのような世の中についていけない私のせいなのかもしれません。
中盤以降は抗がん剤治療をする主人公を亡くなった父の治療時と重ね合わせることで、なんとか気持ちを物語に寄り添わせ、最後まで読み切ることができました。
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図書館で借りた。
タイトルから小説だと思わなくて、読み始めてしばらくして小説だと気づいた。
以前は桜庭一樹の本は必ず新刊で買っていたけど、「東京ディストピア日記」あたりから買うのをやめてしまった。作風が少し変わってきて、戸惑って。
本作は「東京ディストピア〜」から派生したのかな、というような作品。
言いたいことはわかるし、そういうことってあるよな、と思うけど、作者の中で充分咀嚼されてない感じが否めないから、読後感が釈然としない。問題提起、なのだろうか…。
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パラレルワールドがあると思うと少しは生きやすくなるのかな
こんなふうに考えればいいよ
私はこんなふうに生きてるよ
って、確かに彼女は言っている
じゃ、言わなかったすべてのことは?
言わない彼女はどこにいるの?
知り合う人はみんないい人なので安心
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パラレルワールドを背景に、生きることについて考え続ける作品。大きな起伏はなく、闘病中の女性の日常が綴られているが、リアルな心情に深く共感できる。
インタビュー 「小説丸」https://shosetsu-maru.com/interviews/authors/quilala_pickup/177
書評 ダ・ヴィンチ https://ddnavi.com/review/1161775/a/
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どんな本も感じることはある。
パラレルワールド
選択しなかった(?)ほかの世界
そちらの人とつながるのは
村上春樹とか得意だから 私はそっちのほうが好き
がんサバイバーの話
友人にもいるからだいたいはわかる
(とはいえその人の感じかたにはとうていなれない)
普通の更年期も辛いものだよ
死と隣り合わせではないけれど
ずっと続く鬱にはなるかも で
会話の言葉遣いが好きでないので
速読に近い読み方をしてしまって
入り込めず
そして
最後もなんだか あれ? だった
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【更新されていく自分と自分の境界】
人からの影響、社会の出来事、環境の変化、
見たり聞いたり知ったことを自分なりに理解、想像して、自分なりの世界観ができている。自分の持つ認識の多くは無意識にも更新されていく。そして自分を動かしている。
普段は何気なく変わっていってて
忘れていってて
記憶から選択していってて
結局自分の境界はどこにあるのか
自分でもコントロールできないままに変わっていく、適応していく自分。自分と周りの関係性の不思議。
私も私たちも実は常にニューノーマルにいる、のかもしれない。
時にうまく言語化できない、自分との関係性とか周りとの関係性についての思いが綴られる。
あともうひとつ、
母親はどうしても心配する生き物なのか。
母と子、親と子の関係性も変わっていくものなのか。
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このジャンルの本を久しぶりに読んでみた。
パラレルワールドなんだけど、世界線がちょっと変わっていてとても面白いと感じた。あと絶妙に散りばめられた時事ネタも。
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何かを持っているかいないか(それが一般的に良いことか悪いことかは関係なく)で、一線のあちらのこちらに分断されてしまいがちな世の中で、その一線を超えようと対話すること。
それは簡単ではないかもしれないけど、対話しなければ何も始まらない。
コロナ禍を経験した私たちだからこそ、その経験をあらためて振り返らないといけないんじゃないかと思った。
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ほんタメで紹介されていた本。ある事件をきっかけに主人公の波間が学生時代の友人である中川くんと再会し、連絡先を交換するが、2人は実はパラレルワールドのあちら側とこちら側にいて、、というお話。
2人(メインは波間)こ数年間が描かれるのだけど、中川くんの世界ではコロナが流行して緊急事態宣言が出たり、オリンピックが延期されたり、有名人が亡くなったり、読者の現実とリンクしていて面白い。最後には波間の世界では2024になり追い越されているのも。
波間の考えていることが、思ったままの口調で書かれるのでこちらに直接語りかけてきているように感じた。大きなドラマがなくても、淡々と続く日常でも、私たちはここに存在している、という波間の言葉がよかったな。この物語自体も、波間は病気のサバイバーであるけれど、ドラマチックな起伏はなく、まさに"波間"のような時間のまま最後まで決定的な結末で終わるのでなくてよかった。読後も色々考える余韻が残る作品でした。
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タイトルの「彼女が言わなかったすべてのこと」、どういうことなのかなーってずっと考えながら読んでて、読了後に「あぁっ!」という感覚に陥った。なるほど、そういうことだったのか、と。
最終章からの怒涛のタイトルの回収が実に上手い。
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「彼女が言ったすべてのこと」
再会は叶うことなく。
唯一連絡の取ることができるSNSを通じて知る世界は、色んな意味で面白く話題は尽きることはなさそうだよな。
「The end of the ant world.」
終わりゆく世界には。
うっかり誰かに話してしまったとしても、こんなことが普通ならば有り得ないからこそ聞き流されてしまうのだろ。
「Our new normal.」
忘れ物を取りに行く。
戻って来て欲しいと頼むのであれば、病名を聞いて治療方針なども少しは知識として知っておくべきだったのでは。
「TOKYO 2020 Olympic」
変わりゆく時の流れ。
いつまでも繋がり続けることはないと分かっていても、これだけ毎日話をしていたら居なくなるなんて想定外だろ。
「Survivor's guilt」
途切れ途切れの映像。
どれだけ察しが悪かったとしても、生きている姿を見ただけで大袈裟なぐらい反応されたら何となく想像するよな。
「War」
ヒーロは存在してる。
有名人が病名をカミングアウトすると、皆に知れ渡るメリットはあるが言い訳に使われたら最悪の形になるだろう。
「波間のふたり」
数年ぶりの連絡には。
根掘り葉掘り聞かれるのは気分も良くないだろうし、他人にわざわざ丁寧に説明する理由なんて特にないだろうに。