投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
新日本プロレス50周年記念本の3冊目・最終巻。
現役東スポ記者にして帝国の広報官(^^;)、の岡本記者の
執筆となる。タイムラインは2009年から2022年。つい
最近までの記録、なのだが。
・・・もしかすると、僕はこの時代の新日本プロレスがいち
ばん好きなのかもしれない、と思った。暗黒のゼロ年代、
K-1やPRIDEなどの格闘技興行に押され、極一部の選手を
除いてそういう場で「新日本の強さ」を証明することも
出来ない。プロレス内部に目を向けてみても、当時のフ
ァンから絶大な支持を受けていた三沢率いるNOAHに煮
え湯を呑まされ続ける。ああ、もう新日本は終わるんだ
な、とか思っていたのだけど・・・。
新日本には、棚橋弘至と中邑真輔が居た。
特に全方位でひたむきに頑張る棚橋の姿はあまりにも印
象的。少ない観客を前に全力ファイトを魅せ、どんなに
辛くとも笑顔を絶やさない。そんな絶望的とも言える勝
負から逃げない棚橋が気になり、僕はまた会場に足を運
ぶようになった。そこから表題通り、奇跡のV字回復を
成し遂げてしまった新日本プロレス。もし、この時期に
棚橋弘至という存在が無かったら、僕はプロレス自体か
ら離れていた可能性すらある。もの凄く失礼な言い方か
もしれないが、棚橋の出現で「強さ」を必要としないプ
ロレスも全然アリになった。
僕にとってこの3巻は、非常に優秀で努力を怠らない誇る
べき「息子」たちの成功譚。棚橋・中邑・真壁の3選手に
は、僕をプロレスに留めてくれてありがとう、と心から
お礼を言いたい。後藤はまぁ・・・。
そして、岡本記者の表現力にも脱帽。
こんなドラマチックな文章、書け!と言われて書けるモ
ノでは無い、と思う。読後感はちょっとした長編小説。
それも、傑作のレベルである。
全三巻、それぞれ読み応えタップリでした。
何年かしたら読み返しちゃうだろうなぁ、きっと。