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ロシア語研究・翻訳家の著者が翻訳について語る。
クエストを提示して、どう解決するかを考える形なのでわかりやすい。
外国語を学ぶことの意味から始まり、翻訳の極意に至るまで。単に言葉を置き換えるだけでない楽しみを伝えてくれる。
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翻訳の極意も興味深かったが、ことばに向き合う姿勢が面白い。
特に、「ことばの子供時代」が新鮮だった。自分の子に読み聞かせしているとき、自分の中にいる子どもの自分にも読み聞かせている感覚になることがあったが、同じようなことなのか?
「文化」に枠組みはない。忘れずにいたい。
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ロシアの迷信
鳥が家の中に入るとそのいえの誰かが死ぬ。もし入ってきてしまったらすぐに外に放った上で、その日はその家でない方が良いとも言われていると言う。
鳥が飛んで入ってきても不潔だと言うが、これにはロシア語で朝を意味するバーバチカがおばあちゃんを意味するバブーシカ似ているため、おばあちゃんの例が迎えに来たことを連想するからだと言う説がある。古代ギリシャ語で長であり魂でもある募集型の話が思い浮かぶが、実際飯の中には古代ギリシャ由来のものも多い。
忘れ物をして一旦家に戻るのが不吉というものがある家と外との境界線である色をまたぐことが何か決定的な行為でありその前後混同すると良くないと言う類の名称世界各地にありこの飯もその一つ見られているしかし忘れ物して家に戻れないと言うのも困るのでこれには幾つかその行いをなかったことにする方法が伝えられている。よく聞くのは、鏡に自分の姿を映して舌を出すと言う方法。鏡がない時は自分のことをパパと払って、その肩越しに後に向かって3回PePePeと唾を吐く真似をするのでも良い。あるいは道中の無事を願うおまじないで家消すと言う方法。出発前にみんなで少しの間腰掛けると言うものだが、これには家を出る人の無事を願う効果と、家に残された座敷わらしのような妖怪…もとい精霊であるともボーイに家を任せたぞと頼む効果もあると言われている。一説によるとどもボーイは心配性なので、そうやって行ってきま~すをつけないと家主についていってしまって、家を守るものがいなくなるらしい。なかなかいいやつなのだ。
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外国語を読むってどういうこと?それは言葉の白地図を作ることらしい。目的の言語をまず選ぶことで白地図に印が付く。それから色々なクエストをやっていくのだ。その手助けにこの本はなってくれるかも。作者のロシア語を学んでいった経験が表れている。
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翻訳のすすめ。翻訳ってただ単語を訳す作業ではなかったんや。奈倉さんは原書を10回は読み尽くして、好きなフレーズは暗記するほど。音声もあればそれも聞き尽くすとか。そういう作業をしてはじめて翻訳にとりかかるそうだ。
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『夕暮れに夜明けの歌を』では、ベランダで静かに詩を朗唱していた著者の姿が印象的だった。本書購入時にもその面影がちらついていたが、いざページを開くや、些かキャラ変していることに気づく。
いきなり飛び込んできたのは「Quest 0(クエスト・ゼロ)」の表題。
「この本をとったってことは、つまりこの本がきみを探していたってことだ。あ、目のまえが白く光りはじめて、光のなかに1枚の紙が浮かんできた」と続く。その白地図をプリントした印刷機が自分に話しかけてきて(驚)、「旅に出て、世界で何が起こっているのかをことばを学びながら知ってきてほしい」と依頼してくる。そこでようやく著者が案内人として登場。印刷機の号令?とともに、「クエスト」が始まる…。
?????
「誰かとの共著なのかな?」と著者名を振り返ったけど、彼女ひとりしか記載がない。上記の謎シナリオに一瞬戸惑っちゃうほど、前作から様相がガラリと変わっていたのだ。
著者の奈倉さんはロシア文学研究者で翻訳家、大学でも教鞭を取られている。本書は彼女のロシア語学習や翻訳活動の経験・そこから編み出された言語観を通して、10代の若者(恐らく本書のターゲット層)に「ことばを学ぶとはどういうことか」「翻訳で分かる世界の見え方」をクエストの間突き詰めていくというスタイルである。
はじめにお断りしておくと、見た目のゆるさとは相反して結構奥深い。奥深いというのは、彼女の言語観や哲学のようなもの…と言うべきか。(まとまっていなくてごめんなさい泣)
例えば原書の翻訳は注釈をつけてもそれが誤情報だったり、読者をストーリーから引き離す危険性がある…というもの。「注釈ついてる!ラッキー!」とすぐ安心するチョロい読者だった自分は愕然。(「今まで読んだ注釈の中に間違いが紛れていた可能性がある…ってコト?」)
原書を母語とする読者と同じ読書体験を日本の読者にしてもらう為、翻訳者は魔術師のように言葉を構築していかねばならない。原文と原文読者の関係性を完全再現しなければならない。
これは翻訳の話だけど、本当の世界の見方・理解の仕方って案外こうなのかも。めちゃ気が遠くなりそうだけど。。
翻訳作業に限らず、ことばにまつわる学習には必ず「妖怪 あきらめ」がついて回る。
著者曰く、目標を定めても気力体力が切れた時や本当に身についているのか不安になった時に出没するとの事。「妖怪 あきらめ」は表紙の果物台の下から飛び出している黒い物体で、恐らくヒトの幼児くらいのサイズはある。
でも個人的には可愛いく思うし、何だかんだでヤツも自分の一部である。頑張ろうとしている時にいちいち出てこられるのは困るけど、クエストが原因で事切れないように見守ってくれていると考えれば良いだけの話だ。
一生懸命な自分の失敗を笑ってはいけないと著者が言うように、クエスト(ことばを学びながら世界を知る)に失敗してもヤツは笑ったりしないだろう。
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ロシア文学者による翻訳への招待。
ロシア文学中心だが、異文化を学ぶとはどういうことなのか、ということをよく教えてくれる。
ゲームをプレイするようにして、翻訳論、異文化コミュニケーションの世界へと分け入って行く。
イーグルトンやサイードへの言及もあり、子ども向けに書かれた書籍ではあるが、大人の自分でも勉強になった。
ロシア文化・文学の魅力にあふれている。
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母語ではない言語を学ぶ面白さ、翻訳の醍醐味、ロシアの文化(衣食住や迷信など)について楽しく読める本。
翻訳で大事なことは、母語の読者が味わう読書体験を届けること。異文化の異は人間の意識がつくりだす恣意的な線引きで、異などという考え方は忘れてしまおう。この2つについて書かれたクエスト(章)は特にお気に入り。
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私も中学の頃にベルリンの壁崩壊をテレビで生で見て、ドイツとドイツ語に大興奮し、ドイツ文学を大学で学んだ。が、不真面目過ぎてただただドイツやドイツ語に憧れるだけで人生終わりそう。
奈倉さんに運命の言語を見つけたら、妖怪あきらめに取り憑かれないで向き合ってみて、とこの本で色々熱く丁寧に具体的に指南されたので、ドイツ語の本だけは沢山あるから、まずは引っ張り出してみます。
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クエスト13の翻訳論は、白眉。
まず、原文を何度も読むのだ、と。
それから日本語だ、と。
トルストイが孫と手を繋ぐ方の手が、手袋を外していること。
学習法。効率の良さ(文法書)、効率の悪さ(行き当たりばったり)、理解度チェック(執拗な確認)
言葉を、学ぶことは子供時代を体験するという側面もある。
占いを毎日見てみる。
使い捨てカイロはロシアでは役に立たない。
翻訳は読書体験を再現すること。