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面白かったです。久々のヒストリカルロマンスでした。書店で新刊として発売されていたところ、タイトルと表紙に惹かれ、面白そうだったので購入。
かなりの分厚い長編でしたが、途中でもたつくこともなく楽しく読了しました。
ヒロインのミネルヴァは、自称放蕩伯爵のヒューが母親から結婚をせかされるのを阻止するため、作り上げた架空の婚約者を演ずることになりました。
到底上手くいきそうにない、この茶番劇にヒューが提示した報酬のため、彼女はやむなく引き受けることになるのですがー。
まず感じたのは、契約結婚あるいは偽りの婚約者のふりをしている中に、いつしか本当の恋に落ちてしまうーという設定は王道というか、ありがちかなぁということ。また、ストーリーも面白くはあるのですが、ちょっとリアルさに欠けるかなと感じました。
伯爵が考え出した偽りの婚約者の話そのものが荒唐無稽なのは、そのような設定だと理解はできるのですが、その到底あり得ない「偽りの婚約者」を実在するように見せかけるストーリー(物語の中での【現実】)もまたかなり破天荒で、現実はこう上手くはゆかない、不自然なほど出来すぎていると思いました。
その辺りが少しどうかなと個人的には感じましたが、小説としては面白かったです。
特にキャラ作りが良いなと思います。
ヒューの親友ジャイルズが雇ったメリウェル姉妹の母親役を務めた女優などは特に笑わせくれました。
また、個性豊かな三姉妹、ヒューのお母さんオリヴィアなど印象的キャラが縦横無尽に活躍して物語を盛り上げます。
最後にオリヴィアが言ったように、次女ダイアナとジャイルズもなんだか恋の予感を匂わせています。
この物語りはもしかして、続編があるのかもしれないなと思いながら、楽しく読了しました。