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「若者の本離れ」が進んでいるという人口に膾炙したイメージに対し、マクロデータをもとに、小中学生の平均読書冊数は近年V字回復しているといった若者の読書の実態を明らかにし、さらに、「学校読書調査」などで挙げられた中高生が好む本を著者が実際に網羅的に読み込むことで、近年の中高生がどんな本を読んでいるのかを分析。
そして、中高生が本に求める「3大ニーズ」として、①正負両方の感情を揺さぶる、②思春期の自意識、反抗心、本音に訴える、③読む前から得られる感情がわかり、読みやすいを挙げ、それに応える人気の本の「4つの型」として、①自意識+どんでん返し+真情爆発、②子どもが大人に勝つ、③デスゲーム、サバイバル、脱出ゲーム、④「余命もの(死亡確定ロマンス)」と「死者との再会・交流」を指摘している。
近年、子どもの読書推進政策の影響により小中学生の読書率・読書冊数が上昇していることや、いつの時代も(おそらく遺伝の影響で)大人は2人に1人程度しか読書していないことなど、データから若者などの読書状況の実態を知ることができたのは勉強になった。
また、自分は月10冊程度とかなり読書するほうだと思うが、本書で紹介されている最近の中高生が好む本はほとんど読んだことはなく、正直、あまり今後読みたいというものも少なかったが、こういう本が最近の中高生には好まれているのねというのがわかったのは、興味深かった。
「10代が読みたい本」を軸に考え直すという提言など、若者に対する読書推進施策をよりよいものにする上でも参考になるところ大である。
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以前、「トレビアの泉」というTV番組がありましたが、そこにあった「へぇ~」ボタンをバシバシ叩きたくなる内容です。
「若者」と言っても、主に10代を軸に書かれていますが、①小中学生の読書率・平均読書冊数は2000年以降V字回復(児童書は一人当り販売額はほぼ倍増)、②日本人の半分が本を読み(平均月1~2冊、一日30分程度)、長期間この傾向は変わっていない、③但し、「雑誌」は減少傾向に歯止めがかからず伸びしろがある、ということにつき、グラフを交えてデータで検証しています。特に、「子どもの読書量に関して、本棚や蔵書などの環境要因からの影響は確認できず、遺伝的影響だけが『影響あり』と統計的に見なされた」というのには少なからず驚きました。
「若者」には太宰治の『人間失格』が依然人気のようですが、売れるには「お作法」があり、①正負両方に感情を揺さぶる、②思春期の自意識・反抗心・本音に訴える、③読む前から得られる感情がわかり読みやすい、が三大ニーズと書かれています。これを踏まえた「型」もあり、子どもが大人に勝つ(『名探偵コナン』)、脱出もの(『王様ゲーム』)、余命もの(『余命10年』)などなどが分類・列挙。
書店で「いま売れています!」のポップにつられて購入したものの、どうもしっくり来なかったのは、ネット小説や「若者」向けのものだったのだと「へぇ~」ボタンを押しながら納得しました。
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理解はできる考え方だったけど、だからなんだという気持ちになってしまった。5年前の高校までの読書習慣を考えたが、内容のカテゴリー分けは私のその時代そのものって感じでわかる、となった。タイトルで買ったけど私にとって興味深いものではなかった。誰に向けた本かわからないけど半分超えたくらいで読むのやめた。
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中高生の読書に対する3大ニーズと4つの型
1正負両方に感情を揺さぶる
2 思春期の自意識、反抗心、本音に訴える
3 読む前から得られる感情がわかり、読みやすい
である。これを効率的に満たすための「四つの型」が存在する。
①自意識+どんでん返し+真情爆発
②子どもが大人に勝つ
③デスゲーム、サバイバル、脱出ゲーム
①「余命もの(死亡確定ロマンス)」と「死者との再会・交流」
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いろんなところで書評されてるので気になって読んでみた。
タイトル通り、若者、特に10代の小中高生がどのような本を読んでいるかについて書かれた本。
思ったよりは意外性はなかったかなという印象。自分が高校生のころ(20年近く前)とさほど変わってないようにも思った。自分が高校生のころは、ほとんど読書しなかったけど。
ただ、書籍については決して読書離れしてないし、むしろ増えてるそうだけど、雑誌については減ってるらしい。
どおりで、いろいろな雑誌が廃刊になるわけだ。
後、読書のなかでもラノベについては、10代から読まれなくなってるのだとか。自分の場合、前から10代はラノベ読まずに、20代になって読み始めたから、特に意外ではなかった。10代にラノベがよく読まれることもあったのか。
それと、ケータイ小説は今でも人気だとか。これは意外だったけど、昔のケータイ小説と違って、感情を丁寧に表現するようになってるのだとか。
昔も今もケータイ小説は読まないけど、そういう意味なら、今のほうがいいような気はする。
本の中には、TikTok売れという現象があるようで、SNSの影響力はやっぱり大きいのだろうなと思った。TikTok売れされる本を買う層は、普段それほど本を読まない人が多いのだとか。10代をターゲット層にした商品をだすなら、TikTokはしといたほうがいいのだろうな。
大人は読むけど、中高生はあまり読まない本のジャンルの一つに、『「本好き」向け、本と関わる仕事の話』とあって、過去には『ビブリア古書堂の事件手帖』と『図書館戦争』がランクインしたぐらいとあったのだけど、他に一般には人気なこういうジャンルの本って何だろう? 一般でもそんなに話題になるジャンルではないと思うのだけど。
デスゲーム系が人気というのは、バトロワからということなので、自分の世代ぐらいからなのかなと思う。バトロワ以前にはそういうジャンルの本ってあまりなかったのかな。そう考えると、バトロワの影響力ってすごいと思う。
今の時代に映画をリバイバルするのもありなんじゃないだろうか。
後、児童文庫については小学生だけでなく、中学生まで読まれるようになってるらしい。そもそも、昔のラノベみたなものが児童文庫になってることもあるし、昔ならラノベを読んでいた人が児童文庫にうつっただけなような気もする。
それにしても、日本の若者の自己肯定感の低さがひどい。自分もたいがい自己肯定感低いと思ってるけど、日本人全体が低い傾向があるよう。ある種の社会問題だよなと思う。
『夢をかなえるゾウ』は自己啓発小説という扱いだけど、ある意味、アンチ自己啓発でもあると紹介されてあって、なるほどと思った。そういわれてみれば、1巻以外はあまり自己啓発本っぽくないような気もする。
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50年前と現在で高校生の読書量は横ばいであることに驚いた。メディアやSNSでは明確な根拠なく「読書離れ」を話題に上げるが、実際は読書離れどころか小中学生の読書量はV字回復しているのが現状である。
また、平均より多く読書をする大人(司書や出版関係者)が自分たちよりも読書量が少ないからといって、小中学生が本を読んでないと決めつけてしまうのも問題である。月の読書冊数の平均が2冊以下であることから比べると、上記の人はマイノリティである。そのことを自覚した上で、小中学生の読書推進に向けた企画を起こすべきである。
大人がおすすめする本と子供たちが実際に読む本では、種類も求めているものも違う。図書館司書の方が子供たちに本をおすすめする場合には、受け手である子供たちの意見を聞くのがよいのだろう。
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若者の読書離れが叫ばれるようになって久しいが、統計データを引用しながらその実態の如何に迫る本。
以下覚書
・若者の読書離れは言うほど進んでいない
・小学生は中高生よりも読書をしている
・社会人に限れば、二人に一人が読書している
・雑誌に限って言えば、若者の読書離れが進んでいる
・行政による読書推進活動により、邦国における読書率は隣国に比べて見劣りしているわけではない
・若者が読みたい本と親世代が若者(子ども)に読んでもらいたい本には相違がある
・読書推進活動をすれば、読書率が上がるわけではない。読書の習慣は半分遺伝で決まる
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なんとなく若者の読書離れが進んでいると思っていましたが、そんなことなかったです。
データの分析やこういった本で知識をアップデートするのって大事ですね。
「どうせラノベが好きなんでしょ」って少し馬鹿にしていたかもしれません。どんなジャンルも馬鹿にしてはいけないこと、今の若者の好きなジャンルを教えてもらいました。
大人が呼んで欲しい本を子どもに押し付けないように気をつけます。
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すごく勉強になるが、私が活用する局面はなさそう。知らない世界を紹介してくれる本なので楽しい。
表題に関係する、小中学生の読書量は減るどころか増えている(朝読の成果)という指摘には個人的には新鮮味は感じなかった。
ただし、そうやって最近の世代で読書量が増えているのに、年齢が上がるに従って旧世代と大差なくなるというのは面白い。
結局のところ読書になじめるのは一定数でそれは遺伝的に決まっている、という仮説の当否はともかく、朝読で若者たちに読書習慣を身につけさせた社会実験の結果なので重たいと思う。
…というような話は面白いけどヘッドラインを読めば済む話なので、本の評価がそんなに上がる要素ではない(私にとっては)。
この本のすごいところは、小中高生たちが好む本を読んで、そのパターンを抽出したところ。
21世紀になってから子どもたちの間で広く読まれてきた本を、私の代わりに読んで説明してくれるのがありがたい。
最近のヒット作の多くがその系統なんだけど、あんまり自分で読む気にならないのですよね(あえて具体名は出さないが本屋大賞の系統とか)。
一方で、太宰『人間失格』とか東野圭吾とかが、アダルトな(?)作品の中で特に子どもにも好かれる理由を推測しているのが、大人読者との接点になっている。
子どもたちに人気で映画の原作になろうが山田悠介とか読む気にならないよなあ、と思っていたのだが、今となっては彼も徐々に読まれなくなってきているとのこと。その理由は、ちょっと切なかった。
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今の子たちは今までで一番本を読んでいる、というのはびっくり。でも、確かに、毎週図書館の本は持って帰ってきているし、学校の子どもの引き出しには、いつも何かの本が入っているな。。。
5分間シリーズも、朗読時間に読むのにちょうどいいからなのですねー。ほー。。
漫画の映画化の小説が売れる理由が、ちょうど1冊に収まるから、原作を全巻揃えるよりコスパがいいというのは、目からウロコだった。なるほど!大人買いが当たり前になったことに、ちょっと悲哀を感じた。
ちょっと前まで、息子がカービィにはまっていたので、カービィで精神年齢が・・・の行は面白かった(笑)うちのコはまだまだ、カービィですよ。
自分が知らないジャンル(ボカロ小説とか、韓国エッセイとか)も知ることができたので、機会があったら見てみたい。
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気になった部分しか読んでいないので偏った感想になります。
若者の読書離れや、スマホの普及、本の印刷数が減っているという情報で勝手に若者は本を読まなくなっていると思っていました。昔と今ではあまり変わっていないという結論でしたが、依然として低い水準だと感じたので、本の魅力に多くの人が気づいてほしいです。
若者がどのようなジャンルの本を読んでいるのかはあまり気になりませんでしたが、面白いと思いました。
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昔も今も読書をしている人の割合はあまり変わっていない。
それでも本に対して求めているものが若い世代では昔とは変化してきているかなという印象は持ちました。
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現代の「若者」の読書傾向を示した本。
イメージとは異なる意外な話が出てくる。
活字離れ、と言うが、実は書籍の読書率は2000年ごろからV字回復している。
朝読などの活動の影響があるとのこと。
一方、雑誌離れは現在まで続く。
大筋はこんな傾向。
では若者はどんな本を読むか。
意外だったのはここからで、ラノベ離れが進んでいるとのこと。
大人向きにシフトした結果、中高生層が離れてしまったという。
たしかに、周りでも今ラノベを読んでいるのは大学生あたりのような気がする。
それに関わって、中学生が青い鳥文庫などの児童書レーベルから卒業しないという現象も、初めて知った。
「自分たちのもの」だという気持ちが持てるかが大事なのらしい。
ラノベの問題として、寿命の短さがある。
本書の中で、その構造的な問題が指摘されていた。
内容的には古びていなくても、ジャケットのイラストは短い期間で古い感じになる。
すると、もう読まない、買わない、となるのだという。
学校図書館で、ジャケットを外して配架することで、読み続けられることがあるというのは、皮肉な話だが。
これはマーケティングの問題だと感じられた。
出版社はロングセラーをあまり歓迎していないのか?とさえ思ってしまう。
筆者によると、中高生のニーズは以下の3点にあるという。
1 正負両方向に感情を揺さぶられる
2 思春期の自意識、反抗心、本音に訴える
3 読む前からどのような感情が得られるかわかり、読みやすい
これは、中高生に支持されているフィクションから導き出された傾向のようだ。
さらに、ジャンルを超えて共通する型(話の型であろうか?)が存在するともいう。
① 自意識+どんでんがえし+心情爆発
② 子どもが大人に勝つ
③ デスゲーム、サバイバル、脱出ゲーム
④ 余命もの、死者との再会・交流
この型については、自分の周囲を見ていても、ああ、そんな感じはあるなあ、と思う。
この辺り、若者に人気の具体的な作品をよく知っている人が、帰納的に分析したんだなあ、と感じられる。
(思春期の脳の発達に結びつけなくても十分説得的な気がするのだが・・・)
非常に刺激的で面白い本だった。
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「若者は読書離れしている」という、一般に思われていることの否定が主な内容かと思いきや、それだけにとどまらず、ではどんな本が読まれているかという点も知ることができてなかなか面白い。朝読によって読書時間は増えているという認識は合っていたけれど、『ハリポタ』とかラノベのおかげで読書時間が長くなっているのでは?という想像は、すでに古くなっていた(って『ハリポタ』は何年前よって話か)。三大ニーズと四つの型による若者に人気の書籍の分類はその世代を知る上で役に立つ。
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飯田一史『「若者の読書離れ」というウソ』読了。イメージで語られがちな若者の読書傾向を統計調査の量的データと人気上位本の内容分析という質的アプローチする。最近の小中学生は「朝読」で読書率があがってるとか、大人の読書量は月平均2冊未満とかふむふむ、と。世の中こんなに読まない人が多いとかそもそも読書するしないは遺伝的要因が社会的要因よりも支配的(ただこの辺の話はエビデンスが弱いような)とかわりと身も蓋もないことをわかりやすく突きつけてくれる。中高生が「読んだ本」の分析は売れ筋本と異なる位置付けをふまえた"読み"はなかなかおもしろかった。政策提言としては中高生に「読ませたい本」よりも中高生が「読みたい本」を、というのはその通りだな、としみじみ。