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話題になった一冊のようですが、タイトル、サブタイトルから想像するような本ではありません。非常に読み応えのある、極めて真面目で、そして、何より勇気を与えてくれる本でした。
遺伝的多様性が誇示と社会を規定する重要なファクターであることを認めた上で、それがものようなものかを行動遺伝学、心理学の知見から解き明かすもので、優生的な発想でも、決定論でも、過度にヒューマニズムな本でもないです。特に、第5章が広く読まれてほしい。特に223ページ以降が最も盛り上がる箇所です。
私は感動を覚えました、この本に。
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この本を読む前は遺伝の影響もあるが、成長してからの環境や行動が社会的な立場を左右すると考えていた。
その考え方は合っている部分と間違っている部分があった。
遺伝は非常に複雑である。また、能力が発揮されること自体も想像以上に単純ではない。
大前提としてあらゆる能力に関することに遺伝が影響を及ぼしている。そして、遺伝情報は外生変数であり、環境などの外的要因の影響を受けない。遺伝情報はセントラルドグマである。
本書では能力と才能という言葉を使い分けているが、才能は遺伝と学習、社会的な文脈が合致したときに発揮される。
さらに、能力も個人間・個人内・環境のレベルの確率状態が影響する。
後半には行動遺伝学の発見についての説明、知能に関する遺伝の影響を図るポリジェニック・スコアについて書かれている。
遺伝のことについてわかっていることとわかっていないことを峻別し、そのうえで倫理的な判断を下すようにしていきたい。
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遺伝と環境って種と土のような関係だなと感じました。
どちらかだけでは成長もできないし実や花も咲かない。
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同窓会で会ったときに昔と変わらないなって思うことは、内面のところは環境によって変わらないことを指している
遺伝によって決められるセットポイントが正規分布の頂点で、そこから環境や努力によって移動させるイメージ。何もしなかったらセットポイントに戻ってくる
全くもって同感だし、科学的根拠に基づいて書かれているので、納得もする。ただそれによって落胆し努力を止めるのではなく、できるだけ緩やかな正規分布を目指すことが大事だよね
では学習は何のためにするのか。それはすでに持っている能力を発現させるためにする
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遺伝と生活環境と交差因子が多くて、0、100の議論は難しいなりに、どのような手法が取られてきて、どのような成果が知られているのか解説している。
男の子っぽさ、女の子っぽさ、社会性なと興味深い。
一読では表面的なところに終始してしまい、もったいなかったかも。
ブルーバックスって、確かにこういう位置付けだと思うが、素養や興味がないと読み進めるのはきつい。他国での著名な本のの翻訳本とかの方が読みやすいように思う。
まぁ、専門的な話でも、こうやって一般向けに売られるいるというのが、恵まれた環境なのだと思う。
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遺伝の話には抵抗がある。優生学とナチスの話は避けては通れない。でも、すでに明らかになったことがたくさんあるので、それを知ってから、倫理的に考えていくことが大切なようだ。
遺伝と共有環境、非共有環境という、双生児研究の基本的な話が主となる。心理学の教科書にグラフが載っているやつだ。あれをどう見るのか、解説してくれる。
DNAのアノテーションとか、より詳細な話はその次に出てくる。ポリジーンの話。
読んでみて残っているのが、セットポイントの話だ。遺伝が決めるのはセットポイント。そこから環境や教育や努力でポイントを頂点とした正規分布になる。セットポイントを遺伝によって正規分布になる。
統計学の授業で重回帰やら分散分析やら、説明を受けたのが思い出され、腑に落ちた。
安藤先生は最近たくさん本を出しているので、どれがおすすめになるかは他を読んでいない私には分からない。どれか一つ読んでみるのがいいだろう。それはこの本でもいいと思う。