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選手として一流の人はフィールドの外でも一流
いや、ワールドカップメンバーとして活躍するほどの選手になろうと思ったら、そこまでの領域に達しなければいけないのかもしれない。
シア・コリシ選手もやはりフィールド外で素晴らしい人間。そう感じました。
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ラグビーワールドカップ2023フランス大会。
準々決勝からのフランス、イングランド、ニュージーランドとの3試合を
すべて1点差で勝ちぬいて、見事連続世界一に輝いた南アフリカ、
スプリングボクスのキャプテン、シア・コリシ。
ニュージーランドの名将リッチー・マコウに並ぶ連覇主将になった。
ひとつ前のブログで「もやもや」など、微妙な言葉を綴ったが、
ボクスを貶めるつもりは全くない。
ましてやシア・コリシを。
彼らのプレーは称賛以外の何物でもない。
ただ、勝者と敗者を分けた「運」が残酷だと、
この4年の各国代表の試合を見てきて思っただけだ。
そんな、頂上に再び上り詰めた彼が大会前に出版したこの自伝。
読みごたえがあった。
1,2章は彼の生い立ち。
食べ物がなくて砂糖水で我慢するほど貧しかった少年時代。
ラグビーの虜になり、見い出され、スーパーラグビー・ストーマーズに入団。
さらに南アフリカ代表、スプリングボクスの一員となる。
ここから、私はシア・コリシを見ていることになる。
まだリザーブだったコリシはブライトンでのラグビーワールドカップ2015イングランド大会の初戦、
我らがエディジャパンにまさかのアップセットを喰らう。ジャイアントキリング。
この試合にかじりついてみていた私は、当然コリシを見ていたことになる。
コリシの視点からのあの試合。新たな感動。
この後スーパーラグビー、テストマッチとコリシの活躍の場が広がる。
これらの試合も私は見ていたはず。
しかし、彼をはっきり認識するようになったのは、彼がキャプテンになってからだろう。
あのアパルトヘイトの国だった南アフリカの、初の黒人キャプテン。
話題にならないはずがない。
コロナ禍、ヨーロッパは早い段階から試合を再開したが、
最後まで動けなかったのは日本と南アフリカ。
そんな中でライオンズと闘い、テストマッチを闘い、2023に臨むところでこの本のラグビーの話題は終わる。
最後に彼は、今の自分の立場を最大限に利用して、いや、その立場の責任から、
社会に訴える。
差別のない国にしようと。
その差別、20世紀は肌の色がメインだったが、今回彼が訴えたのは男女差別だ。
差別なんて生易しいものではない。暴力、レイプ、殺人。被害者は女性。
女性が社会の弱者になっていることをコリシは許せない。
自分の名声を最大限に生かし、新しい社会のために財団を作り、声をあげる。
大統領候補と言われるゆえんだ。
そんなコリシも酒におぼれ、暴力のさなかにいて、女性を蔑視した時代があった。
家庭を持ち、キリスト教徒となり、身を質したからこそ言えるセリフ。
いい選手だ。
・・・ボクスの選手の多くが日本でプレーするが、コリシはその気はないらしい。
それは社会的活動のためという。本物だ。
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そもそも自伝というものをほとんど読んでこなかったが、南アのラグビーワールドカップ 優勝を機に読んでみた。
南アの置かれた社会的な状況の中で、身を立てていくこと、リーダーシップを発揮していくことがどれほど難しいか。
悪いところも見せながらも、考えて行動してきたその足跡を見ることができたのはよかった。
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表紙がカッコ良すぎるんだよな〜。立場が人を作っていく経過を読むことができる。彼のリーダー論はもっと深く学びたい。
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東洋経済20231021掲載 評者:田中充(尚美学園大学准教授、元産経新聞スポーツ記者、スポーツメディア論)