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別れの言葉を伝えるタイミングをなかなかつかめないキツネの子ども。
おばあちゃんへの想いと絵のタッチがマッチしていて、しんみりほっこりする。
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8歳9ヶ月の娘に読み聞かせ
自分の想いは
ちゃんと伝えたいね
おばあちゃんとぼくとの
思い出が どれもステキ
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表紙の子ぎつねの後ろ姿の、計り知れないもの寂しさが漂うような、そのただ事ではない雰囲気の絵からも肯けるものがある、本書は、子どもがどのようにして、大切な人との別れと向き合っていくのかを、一緒に考えることが出来る絵本であり、そこに明確な答えが書かれていないのは、子どもそれぞれに、その時の状況や思い入れが異なることもあるのかもしれないが、それ以上に、自分自身の人生も大切にしてほしいといった意味が込められているからだと、私には感じられた、お互いの思いを大切にする素晴らしさであった。
物語は、朝、子ぎつねが手紙を書こうとするシーンから始まるが、そのペンはなかなか進まず、それだけで何かあったのだと察するものがあるが、それは太陽が顔を出さなかったり、小鳥の歌声が聞こえなかったりと、普段とは異なる静かな森の様子から漂う、厳粛さに気後れを感じたのかもしれない。
それでも子ぎつねは手紙を書こうとするが、そもそも何と書いたらいいのか分からない。それくらいショックを感じていた、その理由は、普段彼が見ていたのとは全く異なる、体も小さくなって動かない、ベッドの中のおばあちゃんの姿であり、その周りには、彼もよく知っている、おばあちゃんの大事な物たちが、いつもの顔をして存在しているだけに、なおさら信じられないものがあったからこそ、何も言葉をかけることが出来なかった、それは、ここではない世界へ旅立つ準備を終えてしまい、様変わりしてしまったことを信じることが出来ない、人には寿命というものがあることを初めて痛感したときの、際限のない悲しさであった。
そして、そこからは、おばあちゃんとの楽しかった思い出を振り返り、胸がいっぱいとなる、子ぎつねの姿があり、それらを見ているだけで、彼にとって、おばあちゃんが如何に大切な存在だったのか、よく分かる中、帰ってきたお母さんから知らされたのは、おばあちゃんは行ってしまい、もう帰ってこないことであった。
それに対して、そんなの信じないと、家を飛び出した子ぎつねの場面の、彼が見上げた、鳥たちが悲しそうに旋回する曇り空の絵も、彼の動揺と喪失感を表している中、彼はおばあちゃんとの思い出の地を巡り始めるが、当然の如く、どこに行っても見つけることは出来ず、やがて、ここも彼にとって思い出の地であった川の側の石に座り、じっと水面を見つめながら考え始めたのは、それまでの感情的な悲しみが少し落ち着いた中で、おばあちゃんに対して何が出来るんだろうといった思いであり、そこで、彼なりに答えを出した、彼の言いたいことは、とても辛くてやり切れないほど悲しいことなのかもしれないが、きっと、それがおばあちゃんに対する敬意であることも、彼は本能的に感じていたのであろう、そんな吹っ切れ方であった。
世の中には、時が存在する限り、いつかは失ってしまうものがある。
しかし、それとは対照的に新たに再生するものだってある。それは、雷に打たれても、その傷を癒してまた色鮮やかな葉っぱを見せてくれる、樫の木のように。
そして、いつまでも残り続けるものだってある。そ���は、おばあちゃんと一緒に作った、いつまでも彼と一緒にいてくれる、大切なきつねの人形たちと、その素敵な思い出のように。
本書の原作者である、カナダの作家、ジャン=フランソワ・セネシャルの作品が日本に紹介されるのは、これが初めてだそうで、その彼の言葉からも分かるように、この作品は、彼自身もおばあちゃんに伝えたいことがあったけれど、それが叶わなかった経緯から、おそらく作品の中で、それを果たしたかった思いが、とても強かったのであろうと思われた、そんな気持ちが、短いながらも様々な葛藤が見え隠れした文章によく表れているようで、印象深かった。
また、岡田千晶さんの絵は、ひと目見ただけで、すぐに彼女のそれだと分かる、子ぎつねやおばあちゃんの愛らしさに加え、細密画の極みとも言える、どこか幻想的で美しい、その紗のかかったような世界の描き込みは、まるで、おばあちゃんの思い出を、子ぎつねがフラッシュバックしたようなもの悲しさを、そっと演出しているようでありながら、それとは対照的に、厳かで雄大な大自然の悠久的な存在感には、子ぎつねをそっと見守るように再生し続ける、見返しの森の絵や、天候によって描き分けられた光と影(特に雷の絵の圧巻なこと)、そして曇り空から晴れ間へと移り変わっていく展開には、まるで、子ぎつねの心情のそれを重ね合わせたようでもあった、そうした事の重大さに寄り添うような、大いなる時間の流れも見事に表現しており、特に終盤の、彼がどれだけ長い間、思考を巡らせていたのかがよく分かる、文章の無い見開きには、この絵本の大きなサイズ感で細かい描き込みや美しさを存分に味わえた分、それをじっと眺めていた、彼のおばあちゃんへの思いもしみじみと伝わってきたようで、胸に迫る思いであったが、こうして子どもは成長していくのだと感じ取ることが出来たのも、私には、とても嬉しく感じられるものがあった。
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文字が少ないので詩のような。穏やかで温かい絵がその世界観を広げてくれている。
頭の中のイメージに近くて、写真よりも身近に感じられる。
文のないところの挿し絵がまたストーリーに沿っていて、ステキな想像力だなと思った。
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ストレートに切なくて、
愛嬌に満ちた絵柄をしていて好感を持った。
文章の少なさは読みやすさにも繋がるし
テーマを無駄なく伝えることも出来ててよかった。
表紙の後ろ姿に切なさを覚えたり、
作品自体のテーマである死への辛さに
しっかり向き合う主人公に共感した。
ありがとうございました。
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〈 大切な人とわかれる気持ちを、キツネの男の子に託して、あたたかく、包みこむように描きます。〉
ストーリーが心に響きます
でもこの絵が!
岡田千晶さん、なんて静かで温かい絵なんでしょう
色々な絵本が色々な国で出版されているのですね
すごいです
ふと気づけば、私もたくさん読んでいました
今も心の陽だまりに残っています
表紙のキツネの子のうしろすがた
そしてラストのポーズにはつい涙が
≪ おばあちゃん 見ててねぼくを 川流れ ≫
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ママが帰って来て言った。お婆ちゃんが、いってしまったって。もう、帰ってこないって。ママのいう事なんか、信じない。お婆ちゃんを探しに行った。ふたりしか知らない場所にも行ったのに。どこにも見つからない・・・。川のそばに行って、しばらく眺めていた。川はずっと流れていて、とめようとしても、とめられない。時間が過ぎていくように、すぎていく。・・・朝、手紙を書こうとしたんだ。もう、読んでもらえないのは分かってる。それでも。言いたいことがあるから。お婆ちゃん、大好きだよ・・・〟大切な人との別れの切なさに、涙する絵本。