投稿元:
レビューを見る
アメリカの国益上、最優先されるべきはアジア太平洋における覇権確立の阻止であるとして、そのための戦略としての拒否戦略を提示する。
我が国の安全保障を考える上でも非常に示唆に富む。
投稿元:
レビューを見る
筆者であるエルブリッジ・コルビーはアメリカのトランプ政権のNational Defense Strategy作成メンバーの1人である。そんな彼が書いた本であり、英語版は多くの文献で引用されている。そのような本が英語版が出てから2年程で日本語版が出たのはありがたい限りである。
内容としては中国の地域覇権を阻止するために何ができるかである。アメリカのすべきこと、各地域ができること、また我が国日本に求められることなどが書かれる。また、想定される軍事行動に対してどう対処するのか、またそのために何ができるのか、するべきなのか、もしくはしてはならないのかが書かれている。
英語版が出されてから2年が経った今、日本語版が出たこのタイミングで読むのは原版が出た時よりも考えさせられる。2022年から本格化したロシア・ウクライナ戦争や2023年からのガザをめぐる戦争はこの本が「してはならないこと」という部分から考えさせられ、悩ましいものである。
日本人への提言、もしくは日本に関しての提言もある。そこから考えさせられることも大きいのではないだろうか?
投稿元:
レビューを見る
日本語版への序文
まえがき
謝 辞
第1章 米国の戦略の目的
米国の戦略の基本的な目的/勢力均衡の中心的な役割
第2章 好ましい地域的勢力均衡
反覇権連合を形成・維持における課題/集中的な順次戦略/
連合の中核の重要性/域外の中核となるバランサーとしての米国/
現在の反覇権連合の見通し
第3章 同盟国とその有効な信頼性ある防衛
反覇権連合内の同盟の役割/有効な防衛/有効な防衛の実行に伴う課題/
信頼性の重要性/差別化された信頼性
第4章 防御圏の定義
差別化された信頼性を守るためのコミットメントの調整/含意
第5章 限定戦争における軍事戦略
限定戦争における軍事戦略/限定戦争についての検討/
国家が戦争を限定する方法/限定戦争における勝利
第6章 敵の最適戦略に注目することの重要性
なぜ中国の最適軍事戦略の理解が重要なのか/戦略の代替モデル
第7章 中国の最適戦略
韜光養晦とその限界/集中的な順次戦略の実行/制裁アプローチ/
征服アプローチ
第8章 拒否的防衛
優位の回復は不可能/コスト賦課戦略の偽りの魅力/
米国にとっての最適戦略――拒否的防衛/既成事実化の拒否
第9章 有効な拒否的防衛後の限定戦争
長期戦
第10章 結合戦略
なぜ拒否的な防衛は失敗する可能性があるのか/
拒否的防衛の失敗への対応/決意の醸成/結合戦略/
より強固な決意の源泉/戦争の勝利
第11章 含 意
軍事的含意/米国の防衛圏/米国の防衛圏の変更?/集団防衛/
アジアにおける反覇権の取り組みとより広範な米国の防衛戦略/
パンデミック/核抑止/対テロ/同時生起の問題/北朝鮮/イラン/
ロシア/もし本戦略の負担が大きい場合はどうするのか/友好的核拡散
第12章 適切な平和
原注
訳者あとがき