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ロシアの木工芸、マトリョーシカは、実は19世紀末に誕生。
その起源が日本であるという説がある。ロシアと日本を巡り、
マトリョーシカ誕生にまつわる謎を探訪する。
・カラー口絵8ページ
・プロローグ マトリョーシカ誕生をめぐる謎
第I部 ロシア篇 第II部 日本篇
・エピローグ マトリョーシカと七福神
コラム、引用・参照文献有り。
・あとがき
別のマトリョーシカ関係の本で気になっていた、日本起源説。
典型的な言説やマトリョーシカ誕生の諸説を検証し、
それでも深まる謎を究明するための行動は、探偵の如し。
ロシアのおもちゃ博物館にある、最古と伝わるマトリョーシカ
《雄鶏を抱いた娘》と日本製《日本の老人》の調査を振り出しに、
ポレーノフ博物館のマトリョーシカにも焦点を当てる。
マトリョーシカを制作・販売した「子どもの教育」関連の
マーモントフ家と、ポレーノフ家の関係。
アブラムツェヴォでのマーモントフ・サークルによる
ロシア様式の木工工房とその後。
「子どもの教育」では1898年にはマトリョーシカを
制作・販売したとの、手紙の記述。そしてその後。
ろくろ師のズヴョーズドチキンの生涯。
画家、マリューチンのデザイン担当の可能性。
パリ万博でのロシア館にマトリョーシカを出品の事実とは。
一方、日本では《日本の老人》と《小さな顔付き物入れ》を検証。
来日したロシア人。箱根挽物細工の店売りと輸出。
道上コレクションのマトリョーシカと入れ子七福神。
《小さな顔付き物入れ》の正体。
そして著者の推測と結論。
まだまだ調査の余地がある内容でしたが、
合い間に語る、ロシアの木工芸や、日本の奈良時代の百万塔や
木地師、挽物細工と輸出の話等、興味深い話が多かったです。
特に、コラムのポレーノフ博物館にあるトルストイの折り紙。
何処で折り方を知ったのか?こちらも解明して欲しいなぁ。