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あらすじ(集英社より)平安文学研究者出身の作家・奥山景布子が、「フェミニズム」「ジェンダー」「ホモソーシャル」「おひとりさま」「ルッキズム」など、現代を象徴するキーワードを切り口に「源氏物語」を読み解く。そこに浮かび上がってきたのは、作者・紫式部の女性たちへの連帯のまなざしだった。時空を超えて現代の読者に届くメッセージ──希望ある未来へとバトンを繋げる新解釈。著者初の古典エッセイ。(https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-781744-7)
大胆不敵な朧月夜、他人と比べて悲観しない末摘花、おひとりさま貫く朝顔姫。
平安時代の女性の生活ををリアルに、かつ、批判的に観察していた紫式部が描く女性たちに共感。
そしてマンスプ光源氏、光源氏と頭中将のホモソーシャルな関係、女性をモノ化する薫など、いくら「そういう時代だった」とはいえ、許せない態度や行動を示す貴公子たちにも遠慮なく、フェミニズム観点で、女性たちの目線で、「そうだよね!」という批判がされていて痛快。源氏物語未読でもとても楽しめた。
以下、引用
私は別に、光源氏の目線に沿った読みが間違っているなどと主張するつもりはまったくありません。彼の立場からしたら、御息所はやはり物の怪で、怖くて執念深い、扱いにくい女ですし、黙ってついてきてくれた夕顔は、忘れがたいかわいい女であることはその通りです。
ただ、登場人物の女たちの目線に立ち、その言動に自らの体験を重ねた読み解きの可能性は認められても良いのではないか。そうした解釈が、「権威ある客観的な読み」を担ってきた人々から、「主観的だ」と切り捨てられてきた一面もあるのではないか、と言いたいだけなのですが'いかがでしょう。(p.57)
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源氏物語を、現在の女性の視点で解説する。
いや、実に面白い。
作者がそこまで考えてたのかと思うところはあるが、人物描写が真に迫ってるんだ。それを、当時の社会環境も踏まえ、あくまで、現在の女性の視点で語る。
型どおり、通り一遍じゃないんだね。「女性の」心の描き方が。
男性は、型通りだが。
だがそこに「現実的でないある意味理想的な」男性キャラを配置することで、女性を浮き彫りにする。
なるほど、最古だけでなく、現代でも十分に人を魅了する小説なんだ。
作者、男性批判も含めてはいるが、この本のタイトル、マイナスだと思うな。別段、紫式部はフェミ的なことは、言ってないと思うし、この本に関していえば、作者自身もそれが趣旨ではないだろう。
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面白かったけど、紫式部がフェミニストなわけではなく、フェミニズムの観点で源氏物語を見直すという内容なのでちょっと思っていたのとは違った。
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フェミニズム的な視点で源氏物語を読み解く。
源氏が紫の上や玉鬘に「教ふ」ことが多いこと、どれもキモいんだけど、それを「マンスプレイニング」でまとめるとなるほどなと思う。昔も今も、おっさんは若い女性に上から目線で教えたがるもの。
薫は誠実な男性の印象が強いけど、妻ではなく都合よく関係を結べる召人が結構いた、とか、大君の人形を作りたがって中君に引かれているとか、むっつりスケベ感が意外と強くて印象が変わった。浮舟は大君に似た人形として薫に愛され、主体性のない女性なんだけど、匂宮が戯れに渡した硯で書いた歌に無意識の本心が表れてしまったり、自殺未遂後に手習をして独詠歌を何首も詠み、そこで自分の言葉を獲得していたり、そして最終的には薫を拒絶するそのあり方が、女性の自我の目覚めみたいで興味深い。浮舟が、一番多く歌を詠んでいる女君らしい。
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研究書って、読みにくいのだけれど。
これは面白い!
と思ったら、研究者でもあり作家さんでもあるんですね。
ならば、他の本も読んでみたい。