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なんか凄い展開になってしまう掌編集
この何処へ行ってしまう終わり方は余韻を残すものもあり、呆気に取られるものもある
筒井康隆にしかできない芸当だ
最後は現実にまではみ出してくる
付録までつけて、これで引っ込んでしまうの?
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今年で90歳の筒井さん。「最後の作品集」と言われたら、とりあえず読まないわけにいかない。さすがに昔ほどの毒はもうないけれど、レトロ感たっぷりで、ドタバタや批判精神も忘れない御大〝らしさ〟が散りばめられた走馬灯のごとき25篇。芳山和子や小松左京ら懐かしい面々が登場する「プレイバック」が感慨深かった。ほとんどマニア向けと言えそうな一冊。
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掌篇の背景に死を思わせながら自身の生を見つめて言葉を紡いでいく。私たちの日常はひとつの物語に終始するのではなくルーティンな営みに励み時折妄想で多様な世界を旅する。心地良さで構成されている世界は理想郷ではなく思考停止した隷属社会であり、不快・苦悩を受け入れてこそ世界はときめきを宿すのではないか。と筒井康隆の筆致から感じる。
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短篇集だけあって読みやすいが、内容は難しくて社会風刺的。2020年末から執筆した小説を集めた本らしく、時事的な話が多い印象。
最初の方で読むのをやめかけたが、「楽屋控」「美夜禍」「夜は更けゆく」「手を振る娘」「文士と夜警」は読みやすかった。
「プレイバック」は作者過去作品の登場人物や亡くなった小説家などが現れて入院中の作者と会話する、作者ファンには嬉しい小話だと思う。
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*星4つ相当です
じっくり時間をかけても1時間半で読み終わります。コロナ禍明け2024に読める筒井節。ご子息が少し前に亡くなっていたことはこれを読んで知りました。
確か今は89歳で、少し前までは大阪(堺か天王寺辺り?)にお住まいで、関西ローカル番組に出られていたと記憶しています。
リズミカルでアイロニックでシニカル。少し上の世代なので何とか既知のネタについていける部分と分からない部分もありつつそれも楽しい。
町田康って筒井意識してるのかな。してんねやろな。ちゅう感じ。
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何だか、星新一のショートショートを読んでいる気分で、サクサク進む。筒井康隆を読むのは、何十年ぶりか?よくもまぁこんな作品が書けるものだ。この年齢でこの頭の柔らかさと、創作力は、脅威的。
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「文学やるなら常識捨てて、世間の糾弾身に引き受けて、何でも書くのがまともな作家」(コロナ追分より)
「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」帯に大きくそのように書かれている筒井さんの作品集。1934年生まれの89歳。2020年末~23年、86歳〜89歳までの25作品が収録されている。
巨匠であり、文豪。書き上げ、出版していただけたことがファンとして嬉しい。
SF、ブラックユーモア、ドタバタ劇など、多彩な“筒井ワールド”がギュッと詰め込まれている。
「書いている最中から、『もうこれ以上ないな』と思った」
「書いたら面白そうだという着想はあるけど、書く前や書きかけて、『ああ、これ前に書いてるわ』って」
そう語る筒井さんが最後に書き上げたのは、昔知り合った小料理屋の女将が出てきたり、劇団の女優が久しぶりに公演を行ったり、人生を振り返って書いたのだろう。哀愁を感じるものが多かった。
特に好きだったのは、楽屋では役作りに専念してくださいと助監督に厳しく言われ、復讐を試みる『楽屋控』、時間航行し、古代人を連れてきて環境整えて現代の美食を食べさせる『美食禍』。最高のショートショート。
そして以下の3作を語らずには、この本を読んだことにならないだろう。
『コロナ追分』では、コロナ禍の日本・世界の出来事をめちゃくちゃリズミカルな文体で茶化しながら綴った。めちゃくちゃ面白い。そして最後には今を生きる作家へのメッセージが付いている。本当に筋が通った不良作家のままずっと生きてこられたんだなあと、感動した。直木賞選考委員を批判して暴れ回った『大いなる助走』から何一つ変わっていない。最高。
『カーテンコール』は名前+セリフの脚本形式で書かれていて、若いころに見て影響を受けた映画の記憶を、監督や俳優らの奔放な会話を連ねることで想起していく。過去の名作に明るくないから理解できない部分も多々あったので、後で調べて視聴したいと思う。
『プレイバック』では検査入院中の筒井さんのもとに、『時をかける少女』の芳山和子、唯野教授、富豪刑事、パプリカら、過去の作品の主人公が訪れ、筒井さんに向けて「よくもそのように書いたわね!」と非難めいた言葉を残して去っていく。筒井さんしか書けないようなすごい設定。筒井さんは言い訳したり、受け入れて謝ったり。面白いなあ。
そして最後、なんと小松左京と星新一が筒井さんのもとを訪れる。
小松左京は「おれの日本沈没の、たった三十枚のパロディで儲けやがって」
星新一は「そもそもおれのアイデアだ。おれの言ったことやしたことをそのまま小説に書きやがって」と言うために出てきたのだ。
そして最後「なんでそんな長生きなんだよ」と言われた後の筒井さんのセリフ、粋だったなあ。
———紹介(公式より)———
巨匠、最後の挨拶(カーテンコール)は25篇もの怒濤的傑作掌篇小説集!
著者曰く「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」(編集者「信じていません!」)。
筒井文学の主要登場人物が打ち揃う「プレイバック」をはじめ、巨匠がこれまで蓄積した技倆と��索の全てを注いだ、痙攣的笑い、恐怖とドタバタ、胸えぐる感涙、いつかの夢のごとき抒情などが横溢する圧倒的傑作掌篇小説集爆誕!
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以前読んだような気がする作品が多かった。まるで初期の短編集を読んでいるかのよう。
昔書いていた作品に似ている印象があるということは、ツツイヤスタカ、一周回って初期に戻ったということか。還暦ではないか。
しかし最後の作品集を読んでまた初期の作品から読み直したくなるとしたら、まさにぐるぐるまわるツツイ地獄。まさかそんな仕掛けを目論んだのではあるまいな……。
とはいえ、1冊の短編集としてはパワーダウンした、というのが率直な感想だが、この年齢でこのレベルの作品はやはり天才、と何やら複雑かつ煮え切らない感想になる。
亡くなったご子息の「川のほとり」、自然派みたいな「お咲の人生」、切ない不思議譚「手を振る娘」、過去作品の主人公やSF作家仲間が出てくる「プレイバック」が気に入った。ドタバタよりしんみり作品がよいということは、自分も年をとったということかなぁ。
というわけで自分は全集をもっているのでまた最初から読んでみようかとちらっと思ったが、氏の没後に続きの全集が出るとしたらどえらい冊数となるだろうし、現在50代半ばの自分が死ぬまでにすべて読めぬだろう。すごいなぁ。
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全部で25編の短編集。
怒涛のように筒井康隆劇場爆発!の後半7編がめちゃくちゃ面白い。
コロナ追分で言いたい放題笑 このお話大好きやわ。お話っていうより独白やんもう。すごい共感できたわ。
冒頭から前半にかけては、さすがに筒井康隆も気持ちまで歳とったんちゃうん?おっさん臭だけがプンプンなんちゃうん?と思ったけど、いらん心配でしたわ。
ある意味、初期に戻った?ていう作風。あ、おっさん臭は増してたわ
あの筒井康隆の、誰がこんなこと思いつくんや!ていうとんでもない設定ではないけど、なんかオモロイなぁ〜ってゆうアレ。
これで最後とが言わんと、まだまだ書いてほしい!
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オチがなかったり意味がわからないものも多いが、最後の方にある「プレイバック」は別格。
今まで筒井康隆を読んだ分だけ跳ね返ってくる内容となっており、読み終わる頃にはこみ上げるものがありました。
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正直オチがよく分からないものもあったけれど、文章の上手さは格別。最小限の文字数で内容がしっかり伝わる。驚天動地のどんでん返しに持って行くばかりがショートショートではない、というスタンスも感じられる。