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2017年「十七月の娘たち」で
第63回角川短歌賞受賞されています。
この歌集は私にはもったいないものでした。
角川短歌の川野里子さんとの対談で何が書いてあるのかなんとなくわかったのですが、やっぱり難しい。
出てくるのは、女の子、いもうと、母、猫。
甘くて、女の子のつける香水と砂糖菓子の香りが漂ってくるような歌集だと思いました。
装丁もとっても素敵で、この歌集にぴったりはまっています。
連作というところに意味があるらしいので、単独で短歌を載せてもしょうがないのかもしれませんが、意味がなんとなく掴めたもので素敵だと思ったものを載せます。
<婚なさず子なさずをれば一日がシロツメクサ
のやうな涼しさ>
<わが飼へる苺ぞろりとくづほれてますすべも
なし春の星夜に>
<そこらぢゆう木香薔薇が咲いている 夜なの
に子どもの声がしてゐる>
<花に雨かすめるやうなしづけさの母と妹 朝
のおしやべり>
<風薫る五月の夜の屋根の上に猫やはらかに歩
みゆくなり>
<もんしろ蝶 光の路地にあらはれてみるみる
燃ゆるまひるなるかも>
<お母さんわたし幸せなのと何度言つても聞こ
えぬ母よ 銀杏ふる日の>
<妹が帰らぬ夜のひとつあり真珠のやうに寂し
かりけり>
<最後にみたあなたのなみだの一粒を記憶はう
つくしくしてしまふ>
<その日からいまも降りつづく白い雨 あなた
が姉妹都市になる夢>
<雨音のまどろみのなかを抱きよせて猫とは毎
朝届く花束>