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太平洋戦争の話は読んだ。
さて、次は戦後である。私は昭和42年生まれであるが、今日までこの日本という国がどんな道を歩んできたのか、整理したこともなく、具体的なイメージがない。現代に起こる様々な問題、少子化、パワハラ・セクハラ、汚職だらけの政治家、格差社会、限界集落等々、どうしてこのような社会になってしまったのかトンとわからない。恥ずかしいが、わけらないのだ。
そんな時に、目を引いたのがこの書物である。
昔観た「Always 三丁目の夕日」に出てくる六子ちゃん(堀北真希ちゃんが演じてましたね)と、架空の子供達、孫達の生活を追いながらその時代の出来事を振り返り、検証して行く旅は実に充実したものだ。
そこには。正に私の求めていたanswerが書かれていた。
1950年代に始まる高度経済成長期は、集団就職列車から始まり、これにより「一括集団雇用」「年功序列」が定着する。これが、少なからず少子化、パワハラを生む原因になっている。戦後の復興をスピードアップして欧米に追い付け追い越せと高い目標を掲げて突っ走ろうとしても、そもそも国民がなかなか付いて来ないと思うが、そこで「偏見」「差別」「いじめ」を利用して、国民の尻を叩いた。
「24歳までに結婚しない女性は売れ残り」や「学校を卒業したら即仕事に着かねばならない」等、それに従わない人間をあたかも非国民として扱い、他の人達から排他的に扱われる様に仕向けた。
結局、この政策により一時欧米を抜き去ったのはよいが、バブル崩壊で、すぐに高度経済成長期で突っ走りすぎたそのツケを払わなければならなくなった。それが今である。
要は、オーバースピードで無理してエンジンを長期間ふかしすぎたのである。日本という乗り物は、今、様々な箇所の部品がはずれて、炎上している。
これが、昭和、平成の実態である。
「昭和えも~い」等と表面だけ見てただ「昭和礼賛」するのやではなく、自分や親たち、爺さん婆さんがどんな世界でどんな人生を歩んできたのか、興味を持って六子ちゃん達と一緒に旅してみて欲しい。そこには、必ず知らない日本がたくさん隠されている。そして、それが、何故事実が説明されていないのか、考えるスタートになると思う。
そのきっかけにするには、最高の1冊だと思います。