投稿元:
レビューを見る
「澪標」から「玉鬘」まで。藤壺の宮との秘めた子が新帝に立ち、六条院も落成する。光君は栄華の頂点を極めるが・・・。物語が大きく動きます。4巻は2月上旬発行予定。待ち遠しい。
投稿元:
レビューを見る
1巻、2巻に比べると光君の行動はやや落ち着き、年齢もアラサーに。年相応の振る舞いが求められている立場もあるだろうし、これまで出会ってきた数多くの女性との繋がりを絶やさないように動きまわるため、以前にくらべて「女遊び」をしてる感はない。けど、正直ここら辺から私はグッと『源氏物語』が好きになってきていて、光君の人柄がより複雑に、ありていに言えば”人間くさく”なってきていてとても好いなあと思う。それに呼応するかのように院内の人物図も変化し、光君の美しさや威光だけではどうしようもない事柄も増えてくる。象徴的なのは【朝顔】のエピソードで、彼になかなかなびかない女性が登場したり、【薄雲】や【玉鬘】では光君とは別軸で話が進み、物語全体に厚みが出ている。これまでの物語が桃源郷やエデンの園におけるしあわせで守られた暮らしについての話だったとするならば、3巻における流れはそこから一歩踏み出し、どうしようも無い数々の出来事に対面する物語。そんな印象だ。相変わらず「無常感」というものは作品の根底に流れるテーマとして(というよりも作者の観念?)としてあるように思うけど、そうした「ままならなさ」自体を小説の形に昇華している話が増えてきている。好きな帖を選ぶとしたら【蓬生】と【朝顔】かなー。千年前の景色が”視える”とき、「作品と自分自身が繋がった」と思えて言いようのない気持ちになるのだけど、この巻はそんな瞬間が多かった。それって『源氏物語』の、そして読書という行為の、一番しあわせな瞬間なんじゃないかな。
はい、というわけでいつも通り各帖ごとの徒然感想文です。一部のやさしくてもの好きな方には好評なようなので今回も併せて載せておきます。
【澪標】
予言では天下を統治するはずだったけど、思うようにいかず、色々あって結果的には最高の位を獲得。あー、なんとなくドラクエ5を思い出した。ドラクエ5は源氏物語を参照にしてる説。
イカ(50日)の祝い……。
政務とか院内の役職が変化したこととか、そういう話が多め。ちょっと政治小説っぽい帖かも。
【蓬生】
「もともとあれていた常陸宮邸であるが、いよいよ狐も棲み着いて(P.53)」狐が棲み着いたら嬉しいやろがい!
末摘花ふびんだなー、光君さいてー、と思いながら読んでたのだけど、何故かすごく好きな話だった。
季節が移ろい、人の心も移り変わる中、ひたすらに光君のことを待ち続ける末摘花。わびさびと共に、矜持みたいなものを感じる。
【関屋】
秋の情景が美しい。って短!
空蝉も尼になっちゃったよ。他に選択肢ないの?
【絵合】
頭中将の娘である方のこきでん女御のことはファンの間ではどう区別して読んでるのかしら。
便宜的に大こきでん、小こきでんとでも呼び分けようか。
持ち寄った絵を見せ合っての評論対決。なんかすごい優雅な遊び。自分も混ざりたい。っていうか流行の遊びだったのね絵合。
【松風】
明石の姫君のことめちゃめちゃ褒めるじゃん。そんなに美しいのか。
光君「不思議だよ、なぜこんなにも気苦労が絶えない身の上なのか……(P.132)」自分で蒔いた種なのでは���
省略がうまいよね紫式部。
んん?明石の姫君のことを紫の上に任せるの?なんかいまの感覚からすると大胆というか図太いというか……。まあお互いそれでいいならいいけど。
【薄雲】
入り日さす峰にたなびく薄雲はもの思ふ袖に色やまがへる
「年齢的におかしくない方々が寿命を迎えたのですから(P.168)」37歳で亡くなるっていまの感覚からすると早すぎるよ。
頭中将最近出番ないな。
冷泉帝の心境にもっとフォーカスしてほしかった。
【朝顔】
「(光君の)その名残を、女房たちはいつものように大げさなくらい褒めそやす(P.188)」ちょっと辛辣で笑う。
「まあ、こうした歌というものは、その人の身分や書きようによってよく思える時もあれば、その当時は難がないように見えても、もっともらしく語り伝えていくうちに、そのままを伝えているのかどうかわからなくなり、それをうまく書き繕おうとして、いい加減なことも増えたのかもしれません(P.190)」大笑い。そんな的確に言わなくても笑
ないしのすけ久しぶりの登場。
この話も好きだなー。光君がこれまで出会った数々の女性について想いを馳せていて。光君の女好きは回り回って美徳に見えてくるから不思議。
【少女】
おお……登場人物系図だいぶ複雑になったな。
勉強会か。
若君の恋愛模様が中心に。
やあやあ、こきでん太后の登場だ。
【玉鬘】
亡き夕顔の形見の姫君登場。
『源氏物語』って、世の中が無常に移り変わっていく中で、光君はかつてひと時でも愛した女性たちのことを決して忘れないという、その対比を書いてるのかな。そんな風に思えてきた。
おお、運命的な流れ。これまでになく物語的というか、映画的というか。
投稿元:
レビューを見る
高校のとき、「あさきゆめみし」の漫画で源氏物語の全体像を知り、はまりました。
もし、そのとき角田光代さんの訳があったら、漫画と平行して読んでいたと思います。とても分かりやすく読みやすいからです。
光源氏と女性たちの和歌のやりとりで、文字や墨色、使用されている用紙の色の記述にうっとりします。平安時代のコミュニケーションは優雅だったんだなぁ。