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良かった~!
チェコ語の翻訳家である、60代・著者の
少女時代からチェコとの関わりをメインに
半生を語るエッセイ。
たぶん、同世代だからというのは大きい。
何を読んでも、わかる、わかる、
空気感が通じるのだ。
少女時代に憧れた、神原くにこ「パンと葡萄酒と太陽と」のような
ケストナーの「エミール」を読んだような
そんな感じ。
いまやネットで世界はつながっているから
おおよそのことは想像できるけれど、
かつてはそうはいかず・・・
子どもにとって世界は憧れの遠い世界、
それが東欧チェコだもんね。
何度か旅したことがあって、
もう行かなくても良い国の筆頭だったのだけれど・・・
(海外で現地人とケンカした最初で最後の国)
こんな顔もあったのかと、
人々とのあたたかな交流に感動。
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チェコを愛し、チェコに住まう人々を愛し、そこで生まれる作品を日本に伝える著者の半生。
チェコに行きたくなる。
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【翻訳を超える、チェコとの関係】
チェコの絵本の翻訳家の自伝エッセイ。
はじめてチェコに行ったのは、父親の新聞社の海外赴任のためで、小学校3年生から5年生。その2年半がどれほど濃くて木村有子さんの人生を形作っているかが伝わる本だった。
その2年前の1968年にはプラハの春と、ワルシャワ条約機構による侵攻という、世界的な一大事が起こっていて。でも当時子どもだった木村さんはその歴史的出来事に大人になってから気付くのだけれど。
先日読んだルーマニアでの暮らしに比べ、社会主義体制でありながら、そして時代ももう少し早い時期の、駐在先チェコでの暮らしは、明るく、穏やかで、でもときに現地の人たちの移動の不自由にも触れられていた。
スクレプーしかという地での森のなかの学校、も、森には要請がいるという伝統的信仰と合わせても、なんだかすでに絵本の中にいるみたいだった。
そして、次にまたチェコを訪れたのは、1986年、20歳を超えてからの留学時という。
長い年月を経て、戻ってきたときは、言葉では書ききれない思いがあったと思う。
そして1989年。11月にベルリンの壁が壊されるところを西ベルリンから経験し、12月末にはチェコでのビロード革命。歴史の中にいる方なのだなーと。彼女にとっては、自分の友達がどうしてるか、という話であり、絶対に伝えきれないものがあるのだと思う。
チェコ語の翻訳をプロとして始めたのは40歳になってからという。
でも木村さんのストーリーを読んでいると、全ては小学校の時にチェコに行き、そこでの現地の生活に入り込んだ時に始まっていたんじゃないかなーと思ってしまう。
自分の仕事、生きがいって、もともとあるものではなく、自分のこれまでが紡いでいくものなのかもなー。自分が体験してきたことは多くが偶然だけれど、それらの体験に対する印象や記憶が自分なりにあって。そしてとくに感受性の強い10代頃の出来事って、人生に渡って大きな影響を与える、というか、人生を作るものでもあったりすると思った。