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なんとも不思議な物語だった。これは誰が語っているのか?マルユウ?マルセイ?と頭の中でグルグル回ってた。UFOが出てきたり、謎のメッセージが届いたり謎だらけの物語で解読が難しかったけど、これは解読しなくてもいいのかもしれない、この世界を楽しんで読むことにしようと考えた。そしたらやっぱり再読したいと思った。
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ある夜、丸田優は誰かわからない謎のメッセージを受けて…。
その後、丸田誠一郎の葬儀があり…。
丸田優(マルユウ)と丸田誠一郎(マルセイ)は、幼馴染であり、そこに佐渡理が転校してきたことにより、似ている丸田の区別をつけるための呼び名がマルセイとマルユウになった。
しかし、高校になると2人を間違って覚える同級生もあって…それが大人になってからもあり、混同しがちである。
だが、それはこの3人の男児が小学生の頃に「UFOの子供たち」と呼ばれていたからで、そのあと18歳のときに天神山の事故で何かあったのでは…と。
この事故の後からマルセイとマルユウの違いが明確でなくなるような不思議な感覚になってくる。
不思議といえば、なにかしら車に関係してきて…
運転免許を持たないままだったこと。
そういえば湊先生も…だ。
最後も気になるメッセージが残されていた。
これは誰から…。
最後まで謎めいている。
今、UFOなのか?という気持ち。
そして、なんとも捉えどころのない不思議な感覚にどう消化したらいいのかわからないでいる。
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小学校からの友達、マルセイとマルユウと転校生だった佐渡くん。彼ら3人がUFO を見たことによって何かが変わる。記憶と人格の入れ替わりと混在、噂と過去の創造でますます世界とズレを生じる主人公たち。過去がどんどん改変されていく様子が不気味だった。そしてマルユウたちは不思議を受け入れそれでいいのだ世界観でハッピーエンド。
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これは読みにくい小説ですねえ。
最初は、何とも曖昧で、一人称の当人も入れ替わり立ち替わりで事態が呑み込めません。勿論、これは意図的な書き方であり、上手いのですが、その分鬱憤が溜まります(^_^;)
読んでいくうちに分かってくる?いえいえ、ますます混乱が増すばかり。えっ、丸田君が入れ・・・
終盤になってようやくこういうことらしい、とは分かるものの、とんでもない内容なので。
今まで見たことのない小説でした。決して読みやすくはないものの、途中で放り出すわけにもいきませんでした。少しでも真実、いや話の本質を知りたくて・・・
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小学生時代の親友といつの間にか疎遠になって、同窓会で無責任に噂話をして…というのはよくある話だけど、UFO見た仲となるとなかなか無い。ミステリーのような、SFのような不思議な物語。
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記憶があいまいになって認識が揺れるというのはカズオ・イシグロの世界を想起させます。また、二人の人格が入れ違うという「とりかえばや」的な要素もちょっとあり、おもしろい。湊先生は作者そのものなのでしょうか。少なくとも私にとっては現実感が乏しいストーリーで、感情移入はしなかったけど、ところどころリアルなので、そのアンバランスが魅力なのかもしれない。すごーくおもしろいというわけではないけど、一気読みさせられる佐藤正午ワールドです。『身の上話』のときも、”そんなわけないだろー”と思った記憶があります。
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Xで見かけて表紙が酒井駒子さんだったのに惹かれて読んでみた。
人の記憶の曖昧さを逆手にとったSFって感じがした。最初は、ん?ちょっと…と思ったのに、途中から一気に読んでしまった。
噂話は怖い。子供はいくつになっても自分の言うことを聞くものと思い込んでる親、子供の頃はなんでも話してくれたのにと子供に自分の知らない部分があることを嘆く親も怖い。
あんなに自分があんなことをしたからこんなことをしたからと嘆いていたのに、最後にまた余計なお世話を焼こうとしている杉森先生w
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読み終わったあと、なんとも感想を言えない、そんな気持ちになりました。
スッキリしない、というか。
ファンタジー?ミステリー??
小説の中の話だから、ファンタジーであろうとなんであろうと、気にしなくていいのですが。
子供たちの不思議な体験やそれを取り巻く親や関係者、その遺族たちの絡み合った感じ、なかなかに不思議な話。でも読んでよかったとは思います。
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不思議な小説だった。
「僕は大事なことを忘れているかもしれない。〜そしてそのせいできっと誰かに歯がゆい思いをさせている。」p16
丸田君が自分の過去をうまく思い出せないように、登場人物の誰もが茫漠とした靄の中にいるようで掴みどころがない。
いっそすべて超常現象と言ってほしい。
大切な人に届かない手紙も、「おまえはいったいだれだ」p244 という父親の叫びも、母親の後悔も、教師の無力さも、何もかもUFOのせいですと言ってもらえたら、どんなに救いがあるか。
けれど、「不思議な出来事って〜手に取ってほらと見せられるようなものでもないです。たぶん普通の顔をしてもうそこにあるんですよ。」p354
どんなに言葉を尽くしても伝えきれない思い。理解されるはずもないと諦めている真実。他者に踏みこんでもらいたくない記憶。
人間は自分自身のことでさえも不確かだ。それでも誰かを理解したい、伝えたい、守りたい、と願うのもまた人間だ。
ラストの湊先生のとめどない涙は、そんな曖昧で不確かなすべての存在を「愚かしく悲し」p361 みながら、深く愛おしむ涙のように感じた。
朝日新聞
私の信頼する書評家、藤田香織さんによる紹介。