投稿元:
レビューを見る
『護られなかった者たちへ』『境界線』に続く第三弾にて完結編。
今作は笘篠とペアを組む蓮田将悟を主人公に置いたヒューマンミステリー。
始まりは仮設住宅で発見された他殺体。
被害者は南三陸町役場勤務、仮設住民の担当者・掛川勇児。
密室で起きた殺人事件の謎を紐解きながら、被災地復興の裏側や、未だ心が彷徨い続けている被災者の心情を並行して描く。
当事者にならない限り、被災者の真の苦しみを理解する事は難しい。
衣食住やガワだけを整えてもそれが被災者にとっての救いにはならない事を実感する。
風化させない事の重要性を心に強く刻んだ。
投稿元:
レビューを見る
「護られなかった者たちへ」から始まる“宮城県警シリーズ”3部作の完結編らしい。
前2作が面白かったので読んでみたけどそろそろネタが尽きてきたのか、社会派ミステリとしての重厚感はなく笘篠刑事の活躍も控えめで、蓮田刑事の個人的な感傷に終始したストーリーにゲンナリ。
震災復興の問題は数多あれど、仮設住宅にいつまでも居座り続けることと、個人の事情に寄り添うことは別問題だと思うし、国と行政の批判に徹する最近の作者の傾向には正直うんざり。
肝心のミステリもどんでん返しを狙ったからか展開に無理があり、どう考えても二人の同級生の行動には納得感がない。
読みやすくサクサク読み進めたのが救いだったけど、これで完結で良かったのか疑問。
まあ、前作以上のものはもう書けないかも。
投稿元:
レビューを見る
宮城県警シリーズ3作目。
東日本大震災から時は経ったけれど、決して風化できない現実がある。
自分も忘れてはいけないと思った。
投稿元:
レビューを見る
最後の1ページで長い物語の切なさが一気に頂点に達してしまった。
東日本大震災で取り残され、多くを失った人たちが今ある物を護ろうとする姿を、刑事の蓮田は傍観者ではなく友情と初恋を警察官として追わなくてはならなくなる。
「護られなかった者たちへ」から続く、胸が締め付けられる深い感動の小説だった。
投稿元:
レビューを見る
震災から明日で13年。
偶然手にした本が震災ものだった。
災害からの復興の難しさが扱われていた。
物理的な復興と精神的な復興
震災に寄って家族や家等を失ったものと何も失わなかったものとの関係も難しいだろうな。
自分も含め何も失わなかったものには本当の罹災者の苦痛はわからないかもな
投稿元:
レビューを見る
失った者とそうでない者
仕事と私情
家族と仕事
各々の想いが交差し様々な彷徨う者たちが現れる
事件としても2点3点していき面白いが
それ以上に心理描写が描き方に焦点を当てて読むと面白い
投稿元:
レビューを見る
「宮城県警シリーズ」3作にして完結編。仮設住宅の明渡しを担当する役場職員が密室で殺され、笘篠・蓮田のコンビが犯人を追う。震災によって奪われた者を、そうでない者が負目を感じながら追う…。幼馴染たちの人間模様を絡めた社会派ミステリー。
投稿元:
レビューを見る
前2作に比べると犯行動機が弱く無理やり復興と繋げた感が否めなかった。
でも、この3部作を通じてニュースでは知れない被災地の実情が分かりました。
投稿元:
レビューを見る
宮城県警シリーズ 3 完結編
宮城県警、笘篠誠一郎刑事と蓮田将悟刑事のコンビ。
蓮田刑事は、ある事がきっかけで、気まずくなり、仙台へ引っ越しして以来、会わなかった、仲の良かった3人と、事件の関係者として再会する。
震災の被災地に根ざす、復興に付き物の利権。
被災者の心より、復興を選ぶ、行政。
地震国に住む私たちは、明日は我が身と、心しなければ・・。
今回の作品は、どんでん返しはあったものの、中山七里さんにしては、パンチがなかった。
投稿元:
レビューを見る
東日本震災にかかる事件のシリーズの3作目にして最終編。いち早い復興をめざすなかでの想いやゆがみが様々表出し、復興ということば一つからでは計り知れない重さがあることを感じさせる作品。
投稿元:
レビューを見る
宮城県警シリーズ三部作の完結編とか。
東日本大震災を底流に、その後の復興の軋みを描く。被災したことで人生観が変わった者、被災しなかったことで負い目を感じざるを得ない者、それぞれの生きざまが描かれる。
が、この真相は……
良くも悪くも著者らしい。風呂敷を大きく広げて、権力批判に見せかけて、ごく身近に落とす。慣れていると意外性はない。だから意外性のために被害者を貶めるのはやめてくれと思ってしまう。意外性のためでもなければ、貶めるつもりもないのかもしれないけれど。そういう印象を受けてしまった。
投稿元:
レビューを見る
宮城県警三部作と言うことになるらしい、前作「護られなかった者たち」「境界線」はかなり犯行に無理があると考えていたが、本作も一番情けない人物が犯人なんて、よぼよぼの酔っぱらい殺された公務員なんて余りにも不憫だし、このシリーズは公務員受難シリーズとも言える、今回も明らかに立ち退きを渋っているだけの我儘ジジイじゃないか、そのせいで周りのものが全て不幸になると言う納得いかない話で、一番悪質な似非NPOにはお咎めなしかい、このシリーズは好きになれなかった。
投稿元:
レビューを見る
東日本大震災をテーマとした「宮城県警シリーズ」三部作の完結編とのことだが、2作目はまだ未読。それでも本作を読むのに支障は無かった。
仮設住宅の一室で他殺死体が見つかり、密室殺人事件の様相を来す。読了後、犯人にはそうせざるを得ない事情があり、密室トリックのためのトリックでは無いことが明らかになる。
題名の『彷徨う者たち』とは、仮設住宅から災害公営住宅へと移転させられる震災被害者たちとともに、蓮田刑事と彼の幼馴染みたちをも含んだ暗示のようである。
殺されたのは、仮設住宅の被災者を災害公営住宅へ移転させる町役場の担当者。
その捜査の過程で蓮田刑事は、事件に彼の幼馴染みたちが絡んでいる可能性に導かれる。
刑事の役割と友情・恋情との間で揺れ動く蓮田。
著者の代名詞とも言うべき「どんでん返し」もあり、復興が進む被災地の問題点を描き出したヒューマンミステリー。
投稿元:
レビューを見る
「護られなかった者たちへ」「境界線」の宮城県警シリーズ第三弾にして完結編です。この作品にも前作にも登場した人物が描かれていることと、背景には東日本大震災が大きく関わっていることなどは共通してます。前作では宮城県警の笘篠のことが、この作品では蓮田のことが大きく取り上げられています。
宮城県南三陸町の仮設住宅において、同地区役場職員掛川が殺害された。国は仮設住宅から災害公営住宅への転居を推奨しており、現場となった部屋は空き部屋だった。それでも費用面や慣れない環境で今後過ごさなければならないことに難色を示し、現在も仮設住宅で3世帯が暮らしていた。宮城県警の笘篠と蓮田が捜査にあたる中、浮上したのは蓮田と過去につながりのあった友人たちだった…。
震災などなければ、その前に色々あったとしても再会を単純に喜び合えた4人だったんじゃないかな…そんな風に思いました。国や行政は復興に前のめりになって、肝心な被災者さんの思いを蔑ろにしていることはすごく問題だと思いました。ここまでできるか??と問い詰められたような読後を持ってしまいましたね…。この作品で完結してしまうのは、なんだかちょっとさみしいかな…。
投稿元:
レビューを見る
「護られなかった者たちへ」シリーズ完結編。
蓬田刑事の過去に連なる物語。
震災や津波で身内に犠牲がなかったことに負い目を感じる蓬田が、高校の同級生が絡む殺人事件を追いながら、自らにとっての震災の意味を問う。
最後に友情の深さを知り、過去を取り戻す。