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戦時中の共産主義(アカ)狩りの話。
重めの内容ですがテーマが一貫しているので比較的読みやすい。
柳氏のジョーカー·ゲームのシリーズが好きな方、戦時中の政治のゴタゴタ好きな方におすすめ。
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時代背景や時間の経過が上手く染み出す感じで、その中でそれぞれと立場で、必死に生き方を模索している様子が印象に残りました。
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ちょっと気になる文章があり、備忘録に。
P160『国民の多くが欲しているのは正確な㊤ではない。彼らは、ああしろ、こうしろ、と指示されるのを待っているだけだ、その方が楽だから。彼らには未来が見えないのではない、見たくないだけなのだ。』
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ジョーカー・ゲーム作者のもう一つのスパイ小説、
と言われているけどスパイ要素は少ない。
戦時中の共産主義者(アカ)を巡る短編集。
1番印象的だったのは「蟹工船」の小林多喜二が
スパイの対象として登場する「雲雀」。
蟹工船に乗る人々の地獄の日々をインタビュー形式で。
罠にかけるよう指示を出した相手に反対に罠をかける、
終盤の物語の逆転劇が軽快でエンタメチックで
暗い暗い時代のお話ですけど軽快に読み進められました。
この「雲雀」が最初のお話でこのタッチで進んでいくと思いきや、これ以降、特に3篇目以降は重苦しさが増して戦時中のリアルをそのまま読んでいるようでした……。
読者に訴えかけてくるような作品。
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面白かった。ジョカゲ人気にあやかって、スパイミステリとしてるかもしれないけど、そこまでスパイでもミステリーでもない。暗号やら偵察やら工作などのスパイ要素はあるけど、そこまでがっつりではない。
史実と小説としてのエンタメの絡め方めちゃうま。こういうのもっと読みたい。
「雲雀」
小林多喜二に取材を受けるしスパイもする、というのが面白い。蟹工船読んだこと無いけど読もうかなという気持ちが強くなった。
雲雀=小林多喜二
P78、“谷の脳裏に、早春の空のきわめて高い場所で囀ずる雲雀の姿が浮かんだ。鷹も烏もハヤブサも、かれは少しも恐れる様子もなく、空の一角で囀ずることで春の訪れを告げる。雲雀の声を耳にして、地上の者たちは春が来たことをはじめて知るのだ。”
「叛徒」
特高と憲兵との駆け引き。川柳も侮れないというか、まあ風刺の意味が込められてるからな。丸山がぺろっと川柳の魅力伝えちゃうの迂闊すぎ。
「カサンドラ」
戦後生まれの身としては、予想出来るオチだけど、この時代に生きた者としては受け入れがたい予想で面白かった。だから真実を言っても信じてもらえないカサンドラ。
P213、
”助言しようにも、もう遅い。
志木は目を閉じた。
俺たちは動物園の象以下の存在だ。
足下から雀の群れがぱっと飛び立つ。
虐殺が始まった。”
このラスト好き。
「赤と黒」
クロサキの話。アカを追うからクロサキ。
クロサキが東京大空襲の被害を受けて慄然とするとこ好き。
P254、“相手国の意志決定機関は破壊しない。それが、戦争当事国同士の暗黙の了解だ。権力者は戦争では死なない。だからこそ彼らは気楽に戦争を始め、どんな状況になっても平気で戦争を続けていられるのだーー。”
また、特高という組織の維持のためにノルマをこなし、ノルマのために難癖付けて捕まえる。最悪すぎる。
でも最後の三木清のとこ泣いちゃった。パンセの、人間は考える葦である、に続きがあるとは考えたことなかった。ちょっと考えれば、そりゃあるだろなんだけど、その続きが良い。結局、意志は死なないということだろうと読み取った。尊厳は誰にも奪えない。
だからこそ、思想は恐ろしいんだよなあ。
クロサキが浮かべた絵画について調べてみた。おそらく、ゴヤの「砂に埋もれる犬」だと思う。ゴヤは結構政権批判政治批判してる画家だと思うけど、その画家のこの作品を選んでくるとは。クロサキどこで知ったの!?
ゴヤは有名作品として我が子を食らう~とかは知ってたけど、犬のは知らなかったので知れて良かった。目に入っていても気に留めて無かったかも。
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一つ一つの話は理解できるのだが、
連作としてそれぞれの話がどのように
関連づけられているかが理解できなかった。。