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2024/2/6読了
約30年振りに〈ファイロ・ヴァンス〉シリーズ最高傑作を読んだが、思ったのは、最初の事件で屋敷の内外を徹底捜索すれば凶器は発見出来た筈で、この時点でファイロ・ヴァンスの御高説を拝聴するまでもなく、一気に事件解決が出来た筈だということ。100年前の話とは言え、これはNY市警の失態でしかないだろう。――とか、ロマンの無い感想は措いて、これはミステリ風のゴシック・ホラーと思えば十分に楽しい。
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犯人は当たった!嬉しい!
さすがのヴァン・ダイン、古典かつ本格のミステリで私好み。警察なんとかできるでしょ、はさておき、構想が素晴らしかった。訳も読みやすい。
引き込む力、謎を際立たせる構想、読んで満足間違いない。
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新訳が出たということで再読。とは言っても、高校生のときに読んだのだが、どんな内容だったか全く覚えていなかったので、実質的には初読と同じ。ただ一つだけ、本文が始まる前に「有名なグリーン家殺人事件があったころのグリーン屋敷」という版画が挿入されているのだが、この屋敷の立派な構えや聳え立つ尖塔については鮮明に記憶が残っていた。
下肢が麻痺してしまった未亡人、亡くなった家長の遺言に縛られ遺産を相続するためには四半世紀はこの屋敷に住むことを余儀なくされている4人の子どもたち、そして養女。これらの面々がいがみ合って暮らしていたグリーン家で、次々と家族が殺されていく、果たして犯人は家族の中の誰かなのか、そしてその動機は、手口は?というもの。
探偵役のファイロ・ヴァンスのペダンチックさが鼻持ちならないということは良く聞くが、確かに捜査陣の側からすれば「あんたの言っていることが捜査と何の関係があるのだ」と言いたくなるのは分かるものの、解決と全く無関係なことでもないので、読んでいてそれほど嫌な感じはしなかった。
次々に関係者が殺されていくので容疑者が絞られてしまい、犯人自体の見当はだいたい付いてしまうのだが、犯行方法の詳細は分からなかったので、最後まで面白く読むことができた。
創元推理文庫よりヴァン・ダイン新訳の刊行が2010年に『僧正』から始まり、『ベンスン』2013年、『カナリア』2018年、そして本作『グリーン家』が2024年、一応「S.S.ヴァン・ダイン全集」と銘打たれているが、果たして12作全部出るのだろうか。