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もうすぐ地球が滅びる
その前にどう行動するか…
想像したくないけど本当にこんな混沌とした状況におちいるのかなぁ…
殺伐とした情景が思い浮かんで途中から読んでいてしんどかった
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「1か月後に小惑星が地球に衝突して、人類が滅亡する。」こんなニュースを目にしたらあなたはどうしますか。この本はあたりまえに続くと思っていた毎日に期限がつき、思い描いていた未来が閉ざされた時、この世界がどうなってしまうのかを描いた作品です。突飛な設定に思えるかもしれませんが、私はコロナ下の今と通づるものがあるなと感じました。人類滅亡を伝えるニュースを目にし、一般の人々は「きっと専門家が何とかしてくれるだろう」と考え日常を何事もなかったかのように続けていきます。しかし、テレビの番組が放送されなくなったり、スーパーから食料品がなくなり始めたりすると、学校が閉鎖され、電車や車で人々は疎開を始めます。なんとなく想像できる状況だと思いませんか。荒廃した社会の中で、高校のスクールカースト底辺に属していた友紀は、秘かに思いを寄せる少女を守ることを決めます。いい大人なのにチンピラから抜け出せない信二は、かつて愛した女性を探します。平和な社会では上手に生きることができなかった彼らは、この状況にならなければ自分から行動することはなかったでしょう。彼らの一歩はどのような結末に向かっていくのか。人類はどうなってしまうのか。物語の世界を味わってみてください。
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わたしも明日死にたいと思うことがままある。誰にも必要とされていないと感じることも多い。だからこそ、路子の章はグッと来るものがあったし、彼女の心境の変化や言葉には共感した。敏い江那くん、同じく家族の愛に不信感を抱く藤森さん、肝っ玉母ちゃんの静香さん、頭に血が上ると手のつけられない信士さん。章が進むごとに彼らの辿ってきた経歴や心境、関係性が明らかになり、彼らが互いをいかに思い遣っているかを知ることができる、とても聡くて深い作品だった。全員に平等に死が訪れるという究極のシチュエーションのなかで、人々は誰を想い、誰とどのように過ごすのか。とても心のある、優しいお話だった。
p.90 「悲惨な目に遭ってたら、身の回りがそんなに行き届かないと思う」
小学生のころ、少ない服を着回していることをクラスメイトにからかわれたことがある。
そのとき、うちは貧乏なのだと知った。不幸はいつも他人の目や口によって露わにされる。
p.190 ーーあたしたちは、なんで、まっすぐ生きられないんだろう。
あたしは親に殴られて育った。信士もそうだ。毛のように手足を引っ込めて丸まり、なぜ殴られるのかわからないまま、ごめんなさいと必死で謝り続けたことを一生忘れないだろう。その痛みを知っているのに、どうして士は嫌悪する親と同じことをするんだろう。
子供はこれから建てられる新築一軒家みたいなもので、家を支える柱の一本一本に、あたしゃ士は暴力という名の傷をたくさんつけられた。家が完成したときにはそれだけを抜き出すことはできなくなっていて、どれだけ築年数がいっても傷ついた柱はそこに立ち続ける。
あたしや肩士や悪い仲間たちを支える柱は脱弱で、なにかことが起きるたび家全体が不安に揺れた。信士が拳で鳴らす鈍い打撃音は、幼いころ散々傷つけられた柱が軋む音で、そんなものいっそぶち折って、自分と言う家事、壊したがっているように思えた。信司の衝撃を凄まじく、それは時に恋人である私には向けられる。シンジがドアホだとしたら、私はアホで、同類なのに、少しましな分、シンジよりシンジの全体がよく見えた。こいつ苦しいんだろうなぁ、寂しいんだろうなぁ、あったかい飯を食わしてやりたいなと、してやりたいことが増えることに惚れていったように思う。
p.210 友も雪絵ちゃんも生えている。暴力というカードにも裏と表がある。悪漢を叩きのめすのはいいが、老夫婦殺害は受け入れられない。そりゃそうだろう。けれどそれは善悪ではなく、自分が許せるか許せないか、自分の気持ちゃ正義に添うか添わないかだけの判断で公正とはほど遠い。
みんな勝手なもんだ。そう思いながらも、怖いから信士と暮らしたくないと友間が言ったら、あたしはもう一度友たちを連れて逃げるだろう。あの寂しがりの男を最後の最後にまた置き去りにするだろう。あたしは母親で、あたしの一番は子供で、一番勝手なのもあたしだ。しばらくするとスマートフォンが鳴った。信士からだ。
「花を探してきてくれ。なんでもいい」
p.248 愛情にも適正な距離というものがある。近づくほどに深まるものもあれば、離れている方がうまくいくものもあり、憎んでしまう位なら手放したほうが良いこともある。
p.253 「お父さんから喧嘩の仕方を習うんだ」
「なんのために」
「強くなるんだ」
あと十日しかないのにーいまさらすぎる言葉を飲み込んだ。
「藤森さん、最近すごく不安定なんだ。さっきまで普通に話してたのに、急に泣き出したりする。だからぼくは絶対に怖がらないでおこうって決めてるんだよ。あと十日、藤森さんを守れるように強くならなくちゃいけない。まあ、守りきれはしないんだけど」
「おまえは怖くないのか」
「怖いに決まってるだろう。でもこうなる前の世界より、ぼくはずっと自分が好きなんだ。
前の世界は平和だったけど、いつもうっすら死にたいって思ってた」なにげなく放たれた言葉の重さに胸を衝かれた。
「今は死にたくないって思ってるよ。でもあと十日しかない。悲しいし、怖いし、最悪だけど、それでも、ぼくはちょっといい感じに変われた気がする。あのままの世界だったら、長生きできたかもしれないけど、こんな気持ちは知らないまま死んでたかもって思う」友樹は恥ずかしそうに人差し指で身の頭に触れた。
「それって、どっちがいいことなんだろうね」あたしは答えられず、友樹も答えは求めていないようだった。
「もうすぐ死ぬんだし、お母さんも遠慮なくお父さんといちゃつけばいいと思うよ」
p.331 一時期、SNSを更新するのが怖かった。なにをアップしても、混みたいなコメントをなすりつけられる。周りは気にするなと言うが、馬鹿か、気にするに決まってるだろう。
けれど反応したら負けだと論され、がんばって心を麻薄させていった。なにに触れても痛みを感じないよう、笑わず、泣かず。あれは間違っていたと今では思う。
どうして石を投げられているほうが痛みを我慢しなければいけないのか。石を投げているほうが悪いに決まっているだろう。けれど今、ぶつけられる愛と憎しみが倒れそうに嬉しい。
p.341 あたしがSNSを更新するたび、尽きない泉のようにどこからともなくあふれてくるコメントを思い出す。憎悪、愛情、憎悪、また愛情。延々と続く輪。
1路子が正真正銘、日本で最後の歌姫や。
そうなんだよ、ポチ。あたしは歌姫で、実のところ、ようやくそこから解放される安堵を感じている。おまえの肩に何千人という関係者の生活がかかっていると脅されなくていい。新曲を出すたびオリコンチャートを気にしなくてもいい。今度こそクジラに抜かれるのではと怯えることもない。生きるために食べたものを吐いて、あたしはなんのために生きているんだろうと、涙と鼻水と延にまみれなくていい。あたしはやっと、ようやく、ゲームの盤から降りられる。
明日死ねたら楽なのにと、Locoだったあたしはずっと夢見ていた。
その明日がついにやってくる。
あたしはしゃがみ込み、地面に手をついているポチを頭ごと抱きしめた。もうなにもできることはないのに、それでもあと十五日ばかりの間、あたしたちは呼吸をし、食事をし、排出しなくてはいけない。ただ死ぬために。それにどんな意味があるのかわからないまま。
ーなあ、生きるってなんやねん。
あたしはその答えを、いまわのきわまでに見つけられるだろうか。
p.351 「そうやって、自分を支えとるんやないかな」「支える?」
「なんもやることないと、おかしうなりそうやん」
みんなが黙り込んだ。ほうっとただ死がやってくるのを待つのは耐えられない。それくらいなら誰かに頼りにされる自分、崩れそうな世界を支えている自分、という自負心でもって迫りくる恐怖をコーティングしたほうがいい。皮肉なことに、死を前にして、みんなが自分たちが生きる理由を探しはじめ、それは善悪に関係なく行われている。
誰かの役に立ちたいと願う人もいれば、暴れることに命の煌めきを見いだす輩もいる。
あちこちで暴動が起きているけれど、ガラの悪いおっさんたちが守っているおかげで、このあたりはまだ安全だし、町内会による炊き出しまである。食料があると聞きつけて夜襲をかけてきた連中は返り討ちに遭い、逆に車に積んでいた物資を根こそぎ奪われ、命からがら逃げていった。
裏を返せば、町を襲ってきた連中とあたしたちは変わりない。腕自慢の連中が毎日町のへと出かけ、食料を担いで帰ってくる。どうやって調達してきたのか誰も問わない。自分たちが食べるために誰かから奪い、それを見ないふりで小さな平和を享受しているのだ。
毎日自分たちの弱さや卑しさを恥じながら、それでも生きるしかない。絶望と目を合わせないよう、誰も善悪を断じない。断じる資格が誰にもない。
「大丈夫や。神さまのやることには必ず意味があるんやから」南実ちゃんが穏やかに言い切った。
「あたしらは罰を受けるんやない。人間がおらんようになったあと、世界にはすごくいいことが起きるんやて。おっきい隕石で恐竜が絶滅したときも、そのあと哺乳類が増えて、それがあたしらにつながったやろ。それと同じ。きっとあたしらよりいい『なにか』が生まれるんや。波光教の地区長さんが毎日お話を配してはって、わたしもお義母さんと一緒に聞かせてもろてんねん」
南実ちゃんは自分のふくらんだお腹に手を当てる。聖母の笑みと言っていい。
「そうやんな?」
南実ちゃんに問われ、ポチは大きくうなずいた。
「そうや。俺らにはわからん、でっかい意味があるんや」うなずき合うポチと南実ちゃんは穏やかで幸せそうに見えた。
ああ、そうか。ふたりはこういう「納得の仕方』を選んだのだ。
みんな、なにも言わない。ここまできたら、それぞれがじたいものを肩じ、自分なりの方法でそのときを迎えるしかない。他人から見て納得できる、できないは関係ない。
生き方も、死に方も、それぞれの胸のうちだ。
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どうしても読みたかった本。
あと1ヶ月で世界が終わるとわかったら、私ならどう生きるだろうーって考えたりしながら読んでいました。
私に人生があるように、私が出会う人それぞれに人生があるのだなって改めて思いました。登場人物に合わせて違う視点でお話が描かれているので、寄り添えるところが見つかると思います。
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それぞれ苦しみの中から、どう地球最期の日まで生き抜いていくのか、凄まじい環境の中でも小さな幸せがそこにある、色々なことを考えさせられる作品だった·····。
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#滅びの前のシャングリラ (文庫)
#凪良ゆう
24/1/23出版
https://amzn.to/3OffDCS
●なぜ気になったか
凪良ゆうさんは現時点ではとても相性合う作家さん。そして、本屋大賞ノミネート作品は可能な限り読むことにしている。2021年度7位の作品、これは読まなければ
●読了感想
凪良さんの作品にはやはり引き込まれる。それは、人のつながりが描かれる中で心奥にある相手への優しさが垣間見えることが多いから。単純な表現だとシラケてしまうがそうでないから
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
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滅亡するときはこんな感じなのかな、
体験したことないのになぜか抱いたことのある感情に共感をしてしまいました。
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1カ月後に地球が滅亡する
秩序が崩壊し、腐敗していく世界
誰と何処で何をしてその日を迎えるか。
もし、自分だったらどうするか?と考えずにはいられなかった。
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地球に隕石のようなものがぶつかって滅亡する前の話。もし本当にそんなことになったら、同じような世界になるのだろうかと少し怖くなった。
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あらすじを読んで、全然違う立場の人間がそれぞれ滅亡の日に何をするのか……て話かと思ったら、実はそれぞれ繋がってたのは面白かった。
最期の日だからこそ巡り会って、きっとそのまま人生を歩んでいたら一生交わらなかったであろう縁が儚く綺麗だなと感じた。
''人類滅亡''というテーマだからこそ重く、想像がつきにくいものだから、個人的には余りのめりの込むことは出来なかったけど、巻末の雪絵ちゃんの物語は切なく、複雑な心境にすこし共感した。兄弟姉妹がいる人は少なくとも感情移入できるんじゃないかな。
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ん~。
いまひとつ、のめり込めなかったかな。
確かに、小惑星接近につれて世界は荒れてゆくのだけど、なんというか、真実味に欠けて。
そもそも本作は世界の荒廃の様子より、人の心の移り変わりに焦点を当てているのだから、私の方こそ読み方を誤ったのかもしれない。
いや私は、人足るもの、迫り来る事態を目の当たりにして、もう少し愚かに取り乱すのではないかしら?と思ったのだ。
でも読み終えた今になって少し思うのは、登場人物たちは皆、どこか人生に諦めていた人。
そんな彼らであるからこそ、取り乱すなんてしなかったのかもしれないね。
元から人生への期待値が薄かったんだもの。
友樹、雪絵、信士、静香、路子たち登場人物は人生を上手く生きられずにいたけれど、荒廃してゆく社会を前に、自分の大切なものを守ろうと一筋の光を見つけ出してゆく。
これが普通の世界なら、うっすらと射し始めた光に希望を感じてハッピーエンドなのだけど、
この作品は違う。
同日に滅びる運命にある人々の話なのだから。
人は不思議な生き物だ。
1ヶ月後、1週間後、いや明日滅びると分かっていても、瞬間瞬間に幸せを感じることができるのかもしれない。
(現実ではないから本当のところは分からないが、多分、そうなのだろうと思いたい)
中でも、静香さんは好きだったな。
強くて優しくて、口ぶりが粗っぽくても温かい。
だから「エルドラド」の章が一番好きだった。
「間違わないやつなんていない。それを許しすぎても、許さなすぎても駄目になる。」
ト書きにあった静香さんの心の声が印象的だった。
この言葉は、生きている私達全てに当てはまると思えたからだ。
本書には、単行本『滅びの前のシャングリラ』の初版限定特典付録だった「イスパパン」が収録されている。
ラスト1行の雪絵の言葉が、計り知れない恐怖や全ての感情を越えた望みなのだと思うと、深い余韻がもたらされた。
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読みながら、新井素子にもこんなんがあったなーと思ってたら、あと書きの代わりに新井素子X凪良ゆうの対談があったので、なるほどなーと。
1か月後に隕石が地球に衝突するが、避けられない。社会が壊れていく中で、学校の下層とされていた友樹くん、ムチャクチャしてきた目力信士、友樹くんの母で信士が最後に会いに行った静香、友樹くんが好きで守ってあげたい藤森さん、藤森さんがファンだった歌手のLocoちゃんが、ラスト=滅亡に向かって集まっていく。諦めたり嘆いたりするだけでなく、生きたい気持ちを目標を作って維持した彼らが目的地に到達できて良かった。
先日鑑賞した「愛と哀しみのボレロ」もラストに向けて集まっていったな。
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1ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる。
設定としては目新しくはない。(伊坂幸太郎の終末のフールが思い浮かんだ) あと1ヶ月で世界が滅びるとあって、作中は世紀末感が漂っている。 荒れ果てていく地球で、生きていく家族の物語という感じか? 4人の視点で描かれている作品。いじめられっ子の高校生。 半グレで自分の暴力性を抑えきれずに生きてきた40代。 女手ひとつで息子を育ててきた母。 日本最後の歌姫LOCO。
前情報なく読んだので、2つ目の短編読んで、あ、繋がんのねとなった。展開はハラハラもあるし、サクサク読めた。
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図書館で借りた本。
隕石が1ヶ月後に地球に迫り、世界は亡びるという世界線の話。それぞれの登場人物の目線で話が語られる。
今までに無かった設定なので楽しく読めた。
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怖かった。苦手な分野のストーリーなのに、惹きつけられて一気に読んでしまった。
こんな世界に巻き込まれたくないし、巻き込まれたとしても最後は穏やかに迎えたい。