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大学で有機化学を専攻し、卒業後化学会社で合成ゴムの技術開発部に勤めた後、めぐり巡って調理師になっていた。自分のつくる料理は化学反応だったし、パン生地をこねて焼くのはタイヤ用ゴムを成形する工程と似ていた。「料理は化学です」とブックカバーにあったからこの本を手に取った理由。
しかし、本編は、そのフレーズの後に続く「それなら、あなたはなにを変えるか」を背景にしていた。
とにかく、嫌な奴がいっぱい出てくる。嫌なシーン、どうしてこうなるとか、偏屈さ、もう読みたくなくなるようなシーンが続く。どれも自分の中に居る、男、女、人だから、読んでいて気分がどんどん落ち込んでいく。1960年代アメリカが舞台となれば、これはどこまでいっても救われないではないかというのと、いや、小説だ、何処にハッピーが出てくるはずた。
人は自分の中でいろいろ勝手に考える。化学の実験はその手法が仮説を立てて実験し、結果は成否がある。この方法こそが変化を導いてくれるだ。この本が実話要素を含むのは、この2020年代のジェンダー平等や女性の地位向上の一旦(日本においては入口に立てたか)にあることだろう。皆、誰もが力を発揮し正当に評価において夢を持って生きていける世の中ができることを改めて思わせてくれる本だった。力があるのに、自信を持たずに進めないでいるあの人に読んでほしい。あなたはすごいだから。
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前半はすこし取っ付きづらい部分があったけど、中盤以降はテンポよく物語が進んでいって一気に読み進められた。化学が好きな人はもちろん、嫌いな人でも気持ちよく読める本。
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1960年代、女性が社会進出するのを拒む男性たちの醜さとそれに負けずに我が道をいく主人公科学者エリザベスの奮闘物語。出会ったキャルヴィンとの唯一無二の愛と信頼が不幸な事故で壊され、妊娠を理由に解雇される。マッドの出産、シックスサーティとの出会い、そして何より料理番組での化学の授業など愉快なエピソードと不愉快な出来事のてんこ盛り。権力を握っている男たちに腹を立てながら、最後にやっとスッキリ。非常に面白かった。
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いいっ!
ゾットの強さに憧れつつ、逆境を乗り越えていくのを全力で応援したくなる。とってもスカッとする作品。
こういう人が世界に勇気を与えていく。なんとなくの当たり前に疑問を呈していく。女性の幸せは結婚であると周りの合意がある世の中で育った私にはドンピシャでした。こういうロールモデルが欲しかった。
1人の観覧者の人が夢を叶えたところはウルっと来てしまった。
やりたいことをやる、なりたいものを目指す、カッコいい
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サラッと当然のこととして書かれる一つ一つの女性への扱いが中盤までなかなかしんどかった
エリザベスは正面から向き合うのに向き合ってももらえない、それどころか同じ階層にいるとも思ってない、でもそれが当然なのしんどい~
そんな中で女性をエンパワメントしたエリザベスとその家族に拍手を贈りたい
実際の状況はもっと悪かったと想像できるし今も名残はあるけど、ガラスの天井を削り続けてくれた先人たちのおかげで今がある
私たちも後ろに続く女性のために立ち止まってはいけない
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アメリカって自由の国って思ってたけど、女性の置かれた立場は日本と変わらないんだということに驚いた。
女性の目を覚ますエリザベスの言動が爽快だった。
男性がエリザベスを困らせようとする時に、エリザベスが返す言葉には思わず笑ってしまった。
読んでよかった。
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女性が正当な評価を今以上に得られていない1960年代のアメリカで、主人公の女性科学者が唯一自身を認めてくれる優秀な科学者と出会い、困難な中で道を切り開いていく物語。ワクワクする内容で面白かった。取り扱っている問題は男女平等や女性の労働などやや堅い内容だが、敵、味方がはっきりしていてスカッとする作品だった。
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つい最近迄、アメリカに性差別があったとは。日本でも、なかなか女性が管理職にはなれない。自分達が首になっても女性進出を促そうという政治家は、現れない。残念ながら。
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女性への偏見に辟易し、科学的知識に基づいた論理的思考を貫く主人公の女性科学者。
我々の様に周囲に配慮したり、おもねたりすることは一切思考の片隅にも考えず、発言し、行動する人物。
長身で美人で頭脳明晰と現実離れしたキャラクターですが、その徹底した言動の痛快さに引き込まれてしまいました。
女性蔑視など様々な無知がもたらす偏見、その温床でもある文化や宗教の問題点、それを是正するのは科学的知識に基づいた論理的思考かも知れません。
性別や人種、宗教など様々の違いに対する偏見、差別は内容や程度は違えど誰もが受けていたり、受ける可能性はあるはず。
そんなことも真面目に考えながらもエンタメ作品としても楽しみつつ読みました。
著者が主人公の投影でもあると分かり、そうかと頷いてしまいました。
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エリザベスは取材を受けて語る。
「彼女はふたりの恋愛を〝膨張〟や〝密度〟や〝熱〟といった言葉で説明し、その情熱の基盤にあったのはたがいの能力に対する敬意だったと、力をこめて話した。「それがどんなに特別なことかわかりますか? 男性が女性の仕事を自分の仕事と同じくらい大事なものと認めていることが」」
「化学を理解すれば、世界の仕組みがわかるようになります」
「宗教はわたしたちを責任から逃れさせるものだと思います。なにごともわたしたちのせいではないと教えていますよね。何かが、あるいはだれかが糸を引いているのだから、究極的にはわたしたちに責任はない。現状をよくするには祈りなさい、と。でもほんとうは、世界のだめなものを作ったのはほかならぬわたしたちです。そして、わたしたちには直す力がある」
このインタビューの記事から急展開する。
偏見に満ちた時代を生きる優秀な女性の、苦しい境遇を背景にしながら、テンポ良く、明るく話が進む。ひょんなことで担当することになった料理番組のシーンは本当に楽しい。
家族の在り方に目を向けさせられ、感動とともに長い話は終わる。
アメリカでもとても売れたみたいだし、ドラマもあるみたい。
素敵な物語だった。
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圧倒的な筆力!ドラマ化はされてるみたいだが、映画化も待ったなしでしょう。争奪戦が水面下で繰り広げられてそう。