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『百人一首の現在』(青簡舎)所収の論文群を一般向けに書き下ろした本。だけど『〜現在』では頓阿編纂説まで踏み込んでるのにそこははっきりとは書いてないんですね。なんで? おもしろい詠み人の官位表記の指摘についてもさらっとだけ。
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謎の多い百人一首。撰者は本当に藤原定家なのか。定家撰の百人秀歌とはどういう関係か。撰歌や配列に意味はあるのか。今も愛されるアンソロジーの成立と受容史を解き明かす。
「小倉山荘に飾るため定家が選び色紙に書いた」という話は伝説である、という指摘は目から鱗。原型となった百人秀歌は、定家が縁戚である幕府の御家人・宇都宮頼綱に贈ったものだった。そこに手を加え、承久の乱で敗れた後鳥羽・順徳両上皇の歌を末尾に入れたのは後世の誰か。だがその改変こそがドラマ性を生み、時代を超える輝きを与えた。長年の疑問が解けると同時に、ますます百人一首が好きになった。
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