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発禁作家チョン・ジアの韓国32万部超えの作品
敗北した革命家の両親の一人娘のアリ
彼女は苦労して大学院を出て講師をしているが、
電信柱にアタマをぶつけて突然死んだ父の喪主をすることに。
葬儀(韓国では3日間)に弔問に続々とくる人たちは多彩
彼らのほうがインテリの娘よりもずっと父を知っていたことに初めて気づく
社会主義者で唯物論一点ばりで騙されてばかりの元パルチザンというだけではなかった
「ただ私が知らなかっただけだ」
「人間には千の顔がある」
ひややかにブラックユーモアを混じえて父を見ていたアリだが、彼女はまぎれもなくあの父の娘だった
あとがきで本書をチョンジアは亡き父のに捧げている、ありがとうの言葉とともに。
過酷な朝鮮半島の歴史にさらされた人びとを端正に静謐に書いた「歳月」と同じ著者とは思えないくらいのチェーホフ的ユーモアに満ちていた。