投稿元:
レビューを見る
2~4才向きの、「みぢかな生きものと出会う絵本」シリーズの本書は、1993年発行の、「こどものとも年少版」が元となっていますが、こうした生命の神秘の素晴らしさを描いた内容は、いつ読んでも変わらない普遍性があり、たんぽぽも生きていることを、改めて実感させられます。
洋題が「JOURNEY OF DANDELION’S SEEDS」とあるように、たんぽぽのたねの長い旅を、ごんもりなつこさんの、見たままを忠実に描いた、生命の躍動感を感じさせる鮮やかな水彩画をそっと引き立てるような、詩人の鈴木ユリイカ(すずき ゆりいか)さんの簡潔な文が、読み手を心地好く、絵本の中の世界に入り込ませてくれる。
さり気なく花に止まっている虫たちも微笑ましく、それぞれの場面に於ける、丁寧に描いた自然の美しさも印象的な中、果たして、無事に旅の終わりを迎えることはできるのか?
だいたい3~5月頃にたんぽぽの花は咲き、花期が終わった約1カ月後の、4~6月頃に、真っ白な綿毛をつけるたんぽぽ、これからがちょうど見頃になると思われるので、もし、そんな旅の終わりを思わせる、貴重な光景に出会うことができたら、是非じっくりと見てほしい。
そこには、綿毛のたんぽぽのたねが、いかにして次の命へと繋がっていくのか? その過程がきっと分かると思いますので。